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森と林業の本

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2023/07/25

『樹盗』書評の裏事情その1

『樹盗』(リンジー・ブルゴン[著]  門脇仁[訳]築地書館)の書評を共同通信からの依頼で書いた。

どうやら掲載が始まったようだ。下野新聞、沖縄タイムス、山陰中央新報など。。。私もまだ掲載紙を全部確認できていない。

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樹盗とは、盗伐のこと。なんか盗伐と記すとダサいが、樹盗にしたらオシャレに感じてしまう。伐って盗むというより生きた樹木を盗む方が感覚的に伝わるものがありそうだ。

そんなことよりこの本、なかなか濃い内容なのだ。そもそも分厚いし(笑)。が、書評の文字数はあまりに少ない。書きたいことの5分の1しか書けない。せめて倍は欲しい。だから、ここでぶちまけよう……かと思ったが、それはそれでよろしくない。まだ掲載していない新聞も多いだろうし。

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私の読書跡。

ただ、いくつか注目すべき点を指摘しておこう。もっとも大きな点は、舞台がカナダとアメリカであること。盗伐とか違法伐採は発展途上国の仕業で、欧米や日本はそんなことやっていないよ、植林された森から切り出す木材はみんな合法だ! と自慢げに言うどこぞの(林野庁か?)ボンクラこそ読んでほしい。

すでに『フィンランド 虚像の森』で北欧で進む非持続的な林業の世界を暴かれたが、北米だって酷いもんだ。年間10億ドルに達する違法木材が流通しているそうだ。

が、私が書評後半で取り上げたのは、日本の盗伐の話。日本も酷いんだぜ、ということを記さないと、また「日本は大丈夫だ」なんてほざく輩が現れるから。クリーンウッド法を、まるで海外から入ってくる違法木材を食い止める法律のように説明する輩がいるが、全然機能していない。むしろ国産材対象の法律をつくるべきではないか。
たとえばEUの森林破壊防止規則を国産材に厳密に適用してみろ。現在流通しているうちの半分も扱えなくなるから。国産材の大半にトレーサビリティがなく、産地偽装の塊なのである。さらに皆伐地の3割しか再造林していないということは、7割が非持続的な木材である。そして盗伐もしゃれにならないほど多い。

……ということを書きたかったのだが、いかにも文字数がない。そもそも本書の書評ではなくなってしまう(ーー;)。

なお北米の盗伐スタイルも少し違う。大木をこっそり伐ると、その中の高く売れる部分を切り取って持っていくそうだ。とくにレッドウッドのバールと呼ぶコブを狙う。その杢の美しさから高く売れるから。ほかに苔も「盗む」そうだ。なかなか森林資源を細かく価値を見定めている。日本のようにデタラメに伐って傷だらけの木材を安く大量に売り飛ばすのとは違う。

ちなみに著者は、わりと盗伐者に同情的だ。これもなあ。

 

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書評・番組評・反響」カテゴリの記事

コメント

熊本日日新聞にも日曜日に掲載されてました。

ありがとうございます。今は書評欄が、土曜日と日曜日に分かれるようですね。
共同通信の配信だから、林業地を抱える地方紙に多く載ることを期待します。

ご高評ありがとうございます。いろいろ考えさせられる書評でした。最後の文の深い嘆息が響きました。ただ著者が言いたかったことのひとつは、フォレスターの警察力を高めても森を守ることはなかなかに難しい、ということのようです。日本の場合、地元のコミュニティが守りたくなる森をどう作るかということなのですが、地域の人たちが、木材、食料など恵みを引き出しやすい森をどう作るかということではないかと思いました。

日本の盗伐は、残念ながらアメリカのように「森を愛する人」がやるのではなくて、「森にはまったく興味はないが、金になると思った人」がやっています。
そして盗伐をさせない取組以前に、盗伐をやっても罪にならない現状が歯止めを失わせています。
森への愛を取り戻すところから始めないといけないでしょうね。

こんにちは!千葉から海老原です。お変わりありませんか。樹盗を被害者盗伐のFacebookにシェアします。くれぐれもお体ご自愛下さい。

宮崎県盗伐被害者の会会長海老原。副会長志水。事務局長伊豆(宮崎市議会議員)。大分県支部長小串。現在盗伐被害者 166世帯(氷山の一角)。

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