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森と林業の本

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2023/07/14

「広葉樹活用のすすめ」で勧める施業法

森林総研関西支所が主催した「広葉樹活用のすすめ」という講演会に顔を出してきた。

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なかなかの盛況。コロナ禍明けもあるのだろうが、広葉樹に関しては関心が高いのだね。実際、会場では覚えのある人の顔がたくさん。なかには東京や岐阜ほか、関西から遠いところから参加した人も多くいた。またNPO関係者も多かったように思う。里山などにかかわる人が興味を持っていたのだろう。

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さて、その講演内容だが。広葉樹材をいかに使うかという点に特化した内容である。伐採方法やその生産コスト、曲がりくねって枝分かれの多い広葉樹からどれだけ用材が採れるか、その値段は……とわりとマジな研究。いや、マジでなければいけないのだが、よく調べたなあ、そもそもデータを集めるのが大変だったろうなあ、と思わせるものもある。

結果として、「チップにして製紙原料やバイオマス燃料にしたら赤字だよ」とか「用材になる2mの直材はこれだけ採れるよ」など面白い点は多数あるのだが、そこで浮かんだ疑問が。

なぜ皆伐するのが前提なのだ? すべての施業が、皆伐、つまり広葉樹林を全部伐る方式なのだ。しかし、それは全部同じ樹種樹齢を生やしている人工林なら、それなりの意味はあるが、多種多様な樹種樹齢の広葉樹では逆効果だろう。無駄に木を伐りロスが出過ぎ。燃料費や労務費が高くつく。
ならばチップにしたら赤字なら、用材を採れる木だけを択伐したらいいではないか。その方が森林生態系にも優しい。持続的でもある。今は細い木を残して、数年後に用材にできるかもしれない。そもそも昔の薪炭林も択伐だった。

皆伐しないとコスト高? 果たしてそうか。作業道も入れず重機も使わなければ、コストは劇的に安くなるはず。単木を搬出する方法は、ワイヤーロープで引っ張る小型集材機もある。馬搬だってある(笑)。択伐は難しいという人もいるが、私の取材したところでは、数か月でなれて問題なくできるという意見が多かった。

また木材利用も小物(カトラリーや器など)なら枝の部分も使える。家具材料でも1mから利用できるはずだ。広葉樹1本から30万円分の商品をつくれると計算した木工家もいる。
そして薪こそ、もっとも簡単で高く売れる商品であるが、どうも計算には入っていないみたい。すでに薪生産は、大きな産業になっている。1社で年間数億円の売り上げる例もある。もはやスギやヒノキより利益率は高い。

むしろ広葉樹の森のある地域に広葉樹材を製材乾燥できる製材所があるか、木工職人は何人いるか、薪窯を持つ料理店、薪ストーブの設置台数なんて調査をしてみても面白い。意外や多くて、需要を見込めるかも。

ようは、木材生産する前に、需要先を見つけて契約しておけばロスが出ない。これは人工針葉樹林業でも同じことである。

それにしても、心残りがある。会場で会った女性陣に、終了後の飲み会に誘われたのだ。だが、私は某氏の所を訪ねる約束をしてしまっていた……。涙を呑んで、断る。いや「早く終わったら、そちらに向かうよ」と未練の言葉を残したっけ。残念無念。断る方を間違えた(笑)。

 

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コメント

広葉樹は伐倒も搬出も非常に難しく、日本の機械ではコスト的に皆伐して架線集材するしかないでしょう。作業道を入れまくって集材距離を短縮することで択伐もできるはずですが、まだ現場の経験値が低いので、今後の課題でしょうね。小型集材機とはどんなものですか?

皆伐しか選択肢にない、と決め込むから進歩がないのでは? 実際に択伐や画伐でやっている人もいますよ。小型集材機もいろいろあって、ワイヤーで引っ張り出すのから、元口だけ乗せて運ぶものまで開発されています。架線だってできると思うな。

広葉樹で一括りにするから施行の視野が狭まるのでは無いかと思っています。例えば直径80cmクラスのケヤキが数本あれば単木択伐(周囲の邪魔な気は数本伐る)でヘリ集材でも儲けが出るでしょう(多分…汗)。薪にしても太い木のほうが材積は出ます。ただし、太すぎると搬出に困るので中径木を択伐していくのが良いでしょう。ようになります。ナラの純林に近くしいたけ原木にするなら細いうちに皆伐するのが王道でしょう(萌芽更新前提)。というように樹種と目的によって変えるのが普通だと思うのですが・・・違うのでしょうか

そうですね。広葉樹は日本だけでも何千種もあるし、針葉樹との混交もあるし,その割合や地形や地質まで加味したら、どうなるか。
ただ類型化しないと研究できないから(^^;)。
皆伐で収穫し、太さ30センチ以上を用材、その他をチップという前提で研究したのだと思います。
今後、実際に広葉樹林業を展開しているところが増えて、現実的な事例を提供されることを期待します。

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