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森と林業と田舎の本

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2023/08/25

森林境界線でもめたヒバの森

朝日新聞に、こんな記事。

高級木材の森 誰のもの? 国有化民有か 手つかずの群生

これ、「宙に浮くヒバの山(上)という連載で、しかも「けいざい+」とあるように経済欄に掲載。

紙面も紹介しておく。場所は、青森県の下北半島佐井村牛滝だ。

Img_20230825102342

まだ上だけなので、どんな記事になるのかわからないが、実はこのネタ、私も使っていた。山林の所有境界線はかくもいい加減で、国有林か民有林かはっきり確定しない土地があるという例で。民間同士でなく国と争い、しかも最高裁まで行くというのは希有な例であり、森林境界線争いは怖いのだよ、国の土地と言っても、怪しげなのだよ、というのに便利なのだ。ちなみに、その土地は裁判で争われて、最高裁まで上告されて国有林と認められている。つまり一件落着している。

おそらく背景には、明示の地租改正時に、東北は共有林・入会地のほとんどを官有林にしてしまった問題があるはずだ。しかも、この記事のあるところは、そこにヒバの大木が群生していた。ヒバの大木となるとかなりの高値になるわけだが……。この林区は160ヘクタールあるようだが、そのうち何ヘクタールが係争地だったのだろう。

とはいえ、民間側は納得したわけではないらしく、国は安易にこの山のヒバを伐れないだろう。皮肉にも、長年土地争いをしたことが森を守っている。もっとも、材価の低い今、伐採が必要とも思えないが。

私が気に留めていたのは、青森のヒバ林は、大正時代に営林所長・松川恭佐(後の満州国林野総局長官)が天然更新による恒続林施業に挑戦したところだから。各地で試したものの、ほとんどが失敗する中、ヒバ林だけは天然更新を成功させた。松川が担当したところは、今回の境界線不明確地とは違うと思うが、当時生やしたヒバは、現在100年生だから大木になっているはずだ。

ああ、誰か私を青森に呼んでくれ。そしてヒバ林を視察させてくれ。(自分で行けって?)

 

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コメント

朝日の記事に関心を持っていただき嬉しく思います。私はこの記事の元ネタに関わっており、つい最近そのことを自分のホームページに掲載しました。「公然の秘密、ヒバ林」で検索いただくと、直ぐに出ます。森林ジャーナリストの貴兄に関心を持っていただくと幸いです。

このネタを発信された方ですか。
一度、この森を訪れたいですねえ。

ちなみに、このヒバ(ヒノキアスナロ)と同種のアテが、能登半島に生えています。能登ヒバとも呼んでいましたね。

早速のコメント、ありがとうございます。
能登のヒバのことですjが、ある人から、下北のヒバを江戸時代かそのあたりの時期に移したもの(植林)と聞いたことがあります。

能登のアテの起源については、おっしゃるとおり下北から移植した説もありますが、自生していたという説もあり、はっきりしないところです。
アテの起源とする大木もありました。

いずれにしろ、能登半島の地震で、林業もストップしてしまっているのが現状でしょう。

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