無料ブログはココログ

森と林業と田舎の本

« 「ヒルの森」の宝物 | トップページ | 朝ドラの描く台湾領有直後 »

2023/08/29

再造林コスト上乗せした「立木市場」成立なるか

木材価格の決め方はおかしい。とくに木材生産のコストと言えば伐採して搬出するだけのコストで、植えて育てるまでの本当の意味での木材生産コスト、さらに伐採後の再造林コストを含めていない日本の木材市場(というより国の方針)の異常さを指摘してきた。

だから生産コストを明示して(農畜産物の)販売額を決めるフランスのエガリム2法などを紹介してきたのだが……ちょっと似た発想の議論が起きてきたようだ。

それは「立木市場」の設立。伐採する前の立木の取引を市場で行うのだが、その際に再造林コストを上乗せした価格にするというのだ。

議論するのは、林業と木材の業界団体による「国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会」と林業機械化協会。ただし、議論する、議論に着手する、だけ(^^;)。それでも本日29日に初会合を開き、取引条件や課題などの協議を開始したそうだ。2024年1月に報告書をまとめて、数カ所で実証実験を実施し、数年以内に全国的な市場の開設を目指す……とか。

林野庁の「顔の見える木材供給体制構築事業」に採択されたというから、それなりに危機感はあるのだろう。持続的な木材生産と流通体制を作らねば、外国に顔向けができなくなる。あ、それを顔が見える……というわけではないけど(^^;)。
やはりG7広島サミットで持続的な森林経営を謳ってしまったとか、カーボンニュートラル促進とか、国際公約的に環境対策をしなくてはいけないことと、国産材の利用促進が目的なのだろう。

たたき台としては、森林所有者が再造林コストを踏まえて最低価格を提示し、インターネット上で取引を行う仕組みを想定している。再造林の確認は、ドローン撮影の写真などを考えているようだ。立木市場で売買された木材には「持続性の担保された国産材マーク」を付与し、付加価値を高める……とか。

この当たりから、早くもツッコミどころがいっぱいでてきた。高くても求める業者がいるという前提で進めているらしい。ようするに立木取引の価格を上げたときに売れると思っているのか。ロゴマーク1枚では買い手が増えないのは森林認証制度で経験済みだろうに。外材だって入ってこないわけではない。そもそも新市場がスタートしても、その規模が小さすぎる。現今市場にメスを入れなくては。

それにドローン撮影の写真ではねえ。。どこの山かわからない写真を見せてごまかす業者が続出しそう。

木材を消費する業者に、持続的木材を使わねば非難されるようなシステムを作り上げるべきだろう。そして高くても買ってもらうためには、コストの見える化が欠かせないのではないか。同時に再造林しなかった場合の負のコストも山側に支払ってもらう。やっぱりトレーサビリティが欠かせない。

1_20230829212801
再造林用の杉苗栽培

 

« 「ヒルの森」の宝物 | トップページ | 朝ドラの描く台湾領有直後 »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

山梨県で実施されている方式です。これが正解とは考えていませんが、立木状態で価格を決めるよりは良いと思っています。

「持続的な国産材供給のモデルケースに」 身延町に工場を持つ企業が北杜市の組合と森林整備協定
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/357334?display=1

民間企業と提携したケースですね。ありがとうございます。2%がどれぐらいの金額になるのかわかりませんが、一歩前進ですね。

同じようなケースは、大分県佐伯広域森林組合が、ウイングと提携して再造林を行う契約の上で買取価格を大幅引き上げた例があります。
国か制度としてできないのなら、民間企業が調達リスクを回避するためにも山元と定型していくのが一つの手でしょうね。

昔、トレーサビリティシステムの開発を一緒にしていた山主が、ICタグを立木につけて、位置情報の他、価格(この立木から標準的に採材できる建築部材の本数とサイズ、そして伐採から搬出そして製材・乾燥費まで含めた)と、出材指示から納品までの標準期間を明示して、立木売りしました。もちろん全て売却でき、その後は管理のみを行った山林経営をやっていました。もちろん位置情報等は3Dレーザー計測して決めていましたよ。
その他としては、秩父市が私有林100ha程度をすべて3D計測して立木売りをしています。

立木のICタグに採材の寸法と本数を示すとは斬新ですね。
そこまですれば、高く(再造林費用込み)ても売れるのではないか。それを今はやっていないのですか?むしろその理由が知りたい。
今、木材を高く売るというのは、そういう情報を付加することではないかなあ。

やってますよ。全部で自己所有の森林は70ha位。代々林業をやっておられるので、林齢も様々。立木売りが出来るところは、既に売り切っていて、管理してるだけ。売った代金で他の森林の施業管理を行い、順次立木売りに仕立てています。例えば1本10万円程度ですが、全て自社内で完結しているので、再植林からの採算性も検討していると思います。最近ではお宝木の公開を3Dレーザスキャナで行おうとしています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「ヒルの森」の宝物 | トップページ | 朝ドラの描く台湾領有直後 »

April 2024
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

森と筆者の関連リンク先