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森と林業の本

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2023/09/08

味わい深い全国森林計画案

2024~39年期間とする全国森林計画の素案が出てきたようだ。決定するのは、林政審議会の答申を経てから閣議という手順だろうが、異論をぶって卓袱台返しをする委員や議員はいないだろうから、10月ごろには決まるのだろう。

そこで目玉は、やはり「花粉発生源対策の加速化」である。スギ人工林の伐採や花粉の少ない苗木などの植え替えを促進する。

これ、林野庁も内心忸怩たる思いがあるのではないか、と想像する。首相が大臣や長官までぶっ飛ばして勝手に発言したことが実行に移されるというか移さなくてはならなくなったのだから。

だいたい、多少とも林業かじっていたら無理無茶な計画だとわかるだろうから。でも、ネットニュースのコメント欄を見ていたら、世間は歓迎する声も多いのである。そして森林管理とスギ林減らしは両立すると独自の理論をぶつ素人もいる。

人気取り政策の効果はあったようだ。しかし、「花粉発生源対策」なのだから、何もスギを伐らなくてもいいと解釈できないか。ロボット枝打ち機を導入して、全国のスギの枝打ちを行います、とかなんとかでっち上げて数年待てば、首相は忘れてしまうだろうし、首もすげ替えられている可能性は高いだろう。

「盛土規制法(改正宅地造成等規制法)」もある。盛り土を全国一律の基準で規制するそうだ。知事が指定する規制区域の森林では、渓流となる谷での盛り土を極力避け、技術的基準を守るよう求めた。

林地開発に対する許可制度の見直しも盛り込んだよう。ソーラーなどでも盛り土は盛んだから、規制につながればいいのだけど。

やはり気になるのは、木材生産と再造林の施策である。

15年間で伐採する立木の体積は、8億8899万立方メートルに目標を設定。19~21年の年平均実績よりも、約1000万立方メートル増やす気らしい。

これ、捌け口はあるのか。在庫がだぶついて材価が下がれば、たくさん伐っても利益は薄くなるだけかもしれない。

一方で再造林面積は、9万2000ヘクタールが目標。現在の年平均3万4000ヘクタールだから大幅増だ。これも、人手と苗は足りるの?

林業不適地は「複層林」にするという。複層林面積は、現在の111万ヘクタールから172万7000ヘクタール! 昔の複層林の失敗は繰り返さないでほしいが。

ただ、複層化することを作業管理の省力化……とあるのは解せん。本気で成り立たせようとしたら、むしろ手間は増える。ようするに皆伐しないで間伐後を放置するということなのかしらん?

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昔懐かしい複層林。

とまあ、読めば読むほど味があるよ。

 

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