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森と林業の本

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2023/09/26

花粉対策予算の真の目論見は

林野庁の「令和6年度林野関係予算概算要求の重点事項」に目を通した。

令和6年度林野庁予算概算要求の概要 

花粉削減・グリーン成長総合対策
・30 年後の花粉発生量の半減に向けてスギ人工林の伐採・植替え等の花粉発生源対策に加え、カーボンニュートラル等の実現に向けて川上から川下までの森林・林業・木材産業政策を総合的に支援する交付金を創設する等の取組を推進

これに222億円である。

なかでも一番手が花粉症対策。

ア 新たな花粉症対策の展開
・森林所有者への協力金を通じた伐採・植替えの促進、横架材のスギ材への置換えに資する集成材工場の整備、建築事業者によるスギJAS構造材の利用拡大、官民を挙げた花粉の少ない苗木の増産、木材加工業者による高性能林業機械の導入、他産業との連携による労働力確保、スギ花粉の飛散防止剤の早期実用化等の取組を支援

これ、本気で考えてるの?

<対策のポイント>
スギ人工林の伐採・植替え等の加速化やスギ材の需要拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大、林業の生産性向上及び労働力の確保、花粉の飛散量の
予測、花粉飛散防止剤の早期実用化への支援等を一体的に実施する総合的な花粉症対策を進めます。
<事業目標>
〇 スギ苗木の年間生産量に占める花粉の少ない苗木の割合の増加 (約5割[令和3年度] → 9割以上[令和15年度まで])
〇 スギ花粉の発生量の削減(令和2年度比 約2割削減[令和15年度まで]、5割削減[令和35年度まで])

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すでにYahoo!ニュースなどに書いているから繰り返さないが、苗はどこで生産するのか、その苗は画一的なクローン苗になるのか。誰が植えるのか……とまあ、難問続出であります。

まあ、官邸、というより首相が勝手に決めたことを実行させられるのだから、御愁傷様……と思いかけたが、いやいや、そうではあるまい。シメた、と思っているのではないかと気付いた。なぜなら、花粉症対策という錦の御旗で、一気に予算がつくからだ。しかも、植え替えだよ。ようするに皆伐できるんだよ。

これまで皆伐には補助金をつけにくかった(一時、高度な搬出経費だとのたまわって付けたことがあるが、続かなかった)が、今度は無花粉・少花粉苗に植え替えるという名目で、皆伐を奨励できる。補助金ばらまけば、喜ばれるし権限を振り回せる。そして皆伐すれば木材生産量が増える。「(この政策で)木材生産量が上がった」という点を自らの業績にできる……(出世できるかも?)と喜んでいるのではないか。ヤクを中毒者にどんどん売りつけて儲けるとともに組の地位を上げる売人と一緒。

素材生産者は(補助金で)儲かるし、製材業者も安価な材料が手に入る。燃料不足に行き詰まりがちなバイオマス発電にもごっそり国産材を回せるし、いいことづくめ。
過剰生産で材価が下がって森林所有者が困ってしまう? そんなの知ったこっちゃない(笑)。もちろん、林業の持続性も考えない。だって十数年後に森林資源が底を突いても、自分の任期はそんなに先までないから。カーボンニュートラルに反していることも、世界の動向なんかに目を向けていないからね。

そのうち盗伐も花粉対策だ、と言い出しそうな気がする。

先日、盗伐問題の関係者にインタビューした際に、林野庁に「盗伐を止めさせるための法律改正はできないのか」と打診したところ、「そんなエネルギーない」とあっさり言われたという話が出た。「エネルギーない」とは、新たな政策を提案するようなやる気はないということか。これが幹部なら言いそうなことだが、もっと若手の現場レベルの声なのである。「(林野庁は)若い官僚ほどやる気がない」とは、某霞が関官僚の言葉であった……。

だから、自分から動くのではなく、官邸から降ってきた「花粉症対策」という政策ほど、美味しいものはないのではないかね?

 

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コメント

経理部門の力が強くなった企業には将来性はありません。それと同じように国においても予算部門の力が強くなれば国は衰退に向かうことになります。この国はずっと以前から予算部門が一番強い権限を持っています。
予算は各省が予算要求を財務省の査定を受けて国の予算案が策定されます。査定を行う財務省の主計官がその能力があるのか、更に各省の予算要求する経理部門の能力があるのか甚だ疑問です。
国をいかに発展させるかではなく、各省の予算割当をいかに増やすかであり、そして現在は内容はどうでも良いので、それよりも予算査定を通過するだけに知恵を絞っています。その方法は現在の流行りに便乗することです。
主計官は前年と同じままでは自らの立場がないと考えいちゃもんを付けます。それに対抗するためには今流行のフレーズを盛り込んだ要求を作文します。
その結果はどんどん約立たない無駄な予算が増える結果となります。
優れた国家では予算より決算を重要視します。その結果で次年度の予算をより優れたものとしていくかを考えるわけです。それに引き換えこの国はどうでしょうか。国会の予算委員会はメインですが、決算委員会は形だけあるのみです。これを見てもこの国は反省の考えがない国であることが分かります。
その最終結果は最悪ということです。

国会も予算で騒ぐけど、決算は素通りですからね。なんら結果をフィードバックしない。これは野党の責任が大きい。いわゆるPDCAサイクルが回りません。

林業に則しても、これから行う作業に補助金はつけるけど、それで山によい森づくりができたか検証がない。いわばP(プラン)だけで、D(実行)、C(チェック)A(対策改善)はなきがごとしです。実行さえしないケースがあるんだから。。。。

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