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森と林業の本

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2023/09/06

ブルシットジョブと自然選択説

昨日と正反対のようなことを書く(^^;)。

ゼロからの『資本論』」(斉藤幸平著・NHK出版新書)を読んでいる。これはNHKの「100分de名著」に「人新世の資本論」を取り上げたときのテキストを元にしているらしいが、番組内容とはあまりつながらない、斉藤氏の書き下ろしに近いと感じた。

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基本、マルクス主義の主張を書いてあるので、あまり面白くない。社会のより一面だけを追っているように感じる。150年前の世界観と現代のズレを感じる。
ただ、幾度も事例として森林や林業が取り上げられている点が目新しい。実は「森は誰のものか」というのはプロシア~ドイツの大命題であって、多分マルクスも影響を受けたのではないか。所有者が地元民を締め出して薪拾いさえ許さなくなったことから闘争は始まった。いわゆる入会権に関わるコモンズの意識だ。そして民衆は森の自由権と呼ばれる権利を勝ち取っていくのだが……。

一方で、森は樹木の時間で生長するのに、人間つまり資本主義は樹木が育つまでの時間を待てずに次から次へと伐採を進めていく。それはいつか破綻する……という例題も登場する。この点は、私と同意見だ。樹木の時間に人間の勝手な時間軸を入れてはいけないのである。資本主義を持ち出すまでもなく、人間の性としての自然への介入が、現代社会を膿ませているというのは、私の命題でもある。

ただ、ここで取り上げたいのは、ブルシット・ジョブ(くそどうでもよい仕事)だ。資本主義は効率を求めて(機械化、ロボットなどで)人を減らすが、人を労働から解放せずに社会的に重要と思えない仕事を生み出す……それをブルシット・ジョブと呼んでいる。

その例として上げるのが、広告業やコンサル業であり、無駄な会議、書類作成、くだらないキャッチコピーづくりやマナー研修などを上げる。

さて、これらは本当に「くそどうでもよい仕事」だろうか?

たしかに「無駄な」とつけられると無駄なんだろうが、会議は、本当はコミュニケーションの場であり、お互いの意見交換や情報交換の場と捉えれば重要な役割を果たす。新しい気づきを生み出す場だ。そして納得感をもってもらうことで推進力とする。

広告は、いわば告知であり情報伝達の技術である。それはマナーとも同質だろう。伝え方を誤ると、他者の心をつかめず伝わらない。「君の意見には同意するが、無礼な君は嫌いなので反対する」論理が働くのだ。なかなか伝わらない意図を、短い言葉で伝えるのは「コミュニズムが不可能だなんて、誰が言った?!」というキャッチで本書を売るのと同じである。

そしてコンサルタントは、専門家による専門分野のアドバイスである。当事者の知らなかったノウハウが伝わり、上手く使えば、壁にぶつかっていた経営を逆転させる可能性を秘めている。

もちろん、すべてが役立つわけではない。結果的に失敗する、無駄なものも多い。が、それを最初から切り捨てると、会議もなく少数のトップが独断する社会となる。専門家の意見を取り入れずに、ド素人が頑迷な失敗を繰り返す。

ここで私は、ダーウィンの自然選択説を紹介したい。わりと誤解されやすいのだが、ダーウィンの進化論は、強いものが弱いものを倒して生き残る弱肉強食でもなければ「変化するものが生き残る」ものでもない。とにかく生物は多種多様な変化を行って、そのうちの少数だけが環境に適応して生き残るのだ。変化しても滅んでいくものは多い、いや大多数だ。数打ちゃ当たる、それが自然選択説の根幹だろう。

仕事も多種多様なものが生みだせば、そのうちの少数が生き残り大きく花開く可能性がある。新規事業なんて、ほとんどがブルシット・ジョブなのである。ただ、そのうちの一つが社会を変革するきっかけになるかもしれない。まあ、それまでは無駄をまき散らし続けるだろうが。

それは科学研究でも同じで、無数の失敗があって一つの成功がある。最初から成功しそうな分野に絞って研究する……なんてことは有り得ないのだ。それをわからないブルシットジョブの政治家が、成長分野を絞って予算を注ぎ込め! なんてくそどうでもよい政策を打つから、日本の科学は没落したのだろう。

斉藤さんも(そしてマルクスも)、この本を読んだ限りだが、この世の仕組みに正解があって、それをめざそうという発想のように感じる。私は、それさえも信じていないからね。

失敗社会と成功社会は、「あざなえる縄のごとし」であり、それも時間ととともに入れ代わる。成功体験は失敗の始まりであり、失敗が次の成功を生み出す。

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コメント

いつも楽しく読ませていただいています。

一瞬田中さんはあちら側の方なのか?!…とビックリしてしまいましたが、本文を読んで安心いたしました😅

あちらの人でもかまわないのですが(^^;)、理想の社会などないというのが前提で話を進めたいと思います。

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