朝日新聞が描く野生のネコとクマ
昨日26日の朝日新聞で、1面2面を使った大特集。テーマはアーバンクマなのである。ネットでも3つの記事に分けてアップされている。
ピザを食べるヒグマ、民家の庭に出没 高まるアーバン・ベアの脅威
北海道のヒグマは30年で倍増 押し込まれる人間との境界線、対策は
【そもそも解説】全国のクマ被害、過去最悪ペース どうして人里に?
ここまで大きな特集にしたのは、ようやく危機感を持ってきたのか。これまでマスコミは他人事の記事が多かった。
内容は『獣害列島』などで私が書いてきたように、野生動物は農山村での出没だけでなく、次は都会に向かうということだ。すでに地方の中核都市に、そしていよいよ人口100万超えの大都会に。
都会をめざす理由は至ってシンプル。生息数が増えたからであろう。それに加えて餌は豊富。人も優しくすぐ銃をぶっぱなさない。野生動物にとっては天国のような環境だ。
記事はヒグマ中心だが、ツキノワグマもイノシシもシカもサルも、みな同じだ。たしかに最大の恐怖はヒグマだろうが、ツキノワグマもイノシシもサルも怖いよ。シカは、とりあえず怖くない(^_^) 。
ともあれ野生動物と人間の接触が増えていることへの警鐘を記したのだから、結構なことだと思っている。
ところが。その1日前、つまり25日の新聞には、こんな記事もあるのだよね。
こちらはノネコを保護することに熱心な御仁。ノネコも野生動物なんだが、いきなり野生動物との向き合い方の原則をすっ飛ばしている。野生動物に人は手をさしのべてはイカンだろう。それは都会人の視点じゃないか。
ネコは可愛いから保護したい……というなら、飼い猫だけ可愛がればいいのでは? 生まれたときから野生であるノネコを保護してはいけない。ネコの生態系に与える被害は、もはや無視できないほどになっている。
飼い猫とその生物多様性への影響:自然保護法の適用における盲点
そもそもネコは可愛いから何でも保護、可愛くないほかの野生動物は駆除仕方なしと選別するのは、極めて危険な思想となりかねない。
もちろん記事の筆者はそれぞれ違うのだろうが、腰の定まらない様子が感じられてガッカリする。
« 花粉対策予算の真の目論見は | トップページ | 台湾林業の不思議 »
「ナラシカ・動物・獣害」カテゴリの記事
- 草食の肉食動物、肉食の草食動物……(2024.11.25)
- シカのキノコ狩(2024.11.04)
- 農家廃業の理由(2024.10.30)
- 野生動物と薪ストーブは地場産品(2024.10.25)
- 猿回しは「芸」か(2024.10.19)
コメント