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森と林業と田舎の本

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2023/09/05

補助金から脱却した国

以前、林業の新ビジネスを考えようという企画で、「いかに補助金を取るか」というビジネスモデルを提案した人物がいる。森林組合出身者だったけど。税金が原資の補助金を取っても何も生産物を生み出さないと思うのだが、それをビジネスと言えるのだろうか。

私が大嫌いなのは「ふるさと納税」である。これって、自治体ごとの税金の分捕り合いであって、ある自治体が他の自治体(たいてい都市)の財源を奪うだけである。何も生み出していない。いや、全額奪うのではなく、3割(実は5割まで行くケースもある)は民間に流れる。寄付した個人に返礼品という名の餌代だけでなく、「さとふる」なんていうブルシット・カンパニー、くそどうでもよい企業がかすめ取っていく。

なかには、いかにふるさと納税を増やすかを仕事にする部署を設けている自治体があるそうだ。他所の税金ぶんどりビジネスモデルか。

ほんま、クソ。

一方で、世界中のほとんどの国で第一次産業は、補助金なしに成り立たないとされる。日本は農林水産、どれも補助金がある。補助金をなくせば農業も林業も消滅するとさえ言われる。だいたい穀物大生産国のアメリカでさえ、莫大な農業補助金があるのだから、なんとも妙な構造だ。

だが、補助金から脱却した国もある。

「補助金なしで、農業は繁栄しない」という神話を覆した国の話。

ニュージーランドでは、ほぼすべての農業補助金を廃止を議会で決めたらしい。ただし1980年代の改革以前は、農産物の最低価格、投入資材補助金、低利融資、税制優遇措置、債務償却など、さまざまな農業支援を行っていたそうだ。それをなくすことに成功したのだ。

そこに載せられているグラフがすごい。一番上と一番下を見てもらいたい。

Photo_20230905172001

スイスも、林業補助金を全廃した。たしか2010年ごろだったと記憶する。それまでは日本に負けないぐらいの補助金が出ていたそうだが、長い議論の末に撤廃することにしたという。どこかに資料ないかな、と思って検索してみると、なんと私自身の記事が出てきたよ。

林業再生の特効薬は「補助金撤廃!」

日本もできないわけがない。でもできるとは思えない。。。だって、当事者は全員やる気がない。補助金の弊害は常に語られるのに、もらって嬉しい補助金、出して支配するのが楽しい行政の組み合わせだ。なぜなら、みんな麻薬中毒患者と麻薬の売人だから。

私の持論は、補助金の必要な分野は、災害などの緊急事態への対処、新規事業の投資や研究開発ぐらいである。
補助金に限らず税金の使い道としては、儲からないけど必要のある分野に限って注ぎ込むべき。具体的には医療、福祉、教育、警察・消防・防衛費である。今後は環境分野も入れるべきかもしれない。

もし林業も農業も、どうしても麻薬もとい補助菌もとい補助金がほしければ、そうした分野に入る工夫をした方がいいよ。林業は国土防衛だとか、林業は福祉だとか。林業で精神病を治そう……なんて風に。

まあ、これ以上書いても愚痴を通り越して罵倒になるから止めておこう(笑)。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

「ふるさと納税」本当にクソ政策です。小泉政権以降安倍政権で徹底的にこの国を崩壊させました。
もはや、たとえ政権交代が行われたとしても立て直しは不可能ではないかと思われます。
戦前の国民の判断能力と戦後の国民のそれとは違ったものと思っていましたが、何も変わっていなかったことがようやく理解できました。
歴史を学ばない国ではまた同じ失敗を繰り返す、その実例が世界史に記述されることになります。
また今後、多大な被害とともに国の再出発が図られ、一応ある程度の成功はあるのでしょう。そしてまた崩壊を繰り返す。そんな特殊な国なのでしょう。
補助金に依存しない林業を基盤においた事業を妄想していますが、命のある間でできるかどうか微妙なところです。なんとか実現したいといらだっているところです。

国民を麻薬漬けにしてしまえば、その後誰が政権とっても麻薬を除くことは不可能です。将来を考えず、今の麻薬の快楽に溺れてしまうから。

私がもっとも林業再生に貢献したと思う政治家は、小泉政権ですね。林業に興味があったとは思えないけど、とにかく補助金をどんどん削ったから。結果、現場では血相変えて改革に取り組んだ。あのまま行けば、少しは改善したはず。でも、次の政権が、また麻薬をばらまいたから、一気に現場の気分が緩んで「今が良ければいいんじゃない?」という雰囲気になったのを見てきました。

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