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森と林業と田舎の本

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2023/10/11

ビル・ゲイツの「植林しない」宣言の意味するもの

ちょっとしたニュースになっているのは、気候変動をめぐる討論会で「私は植林はしない」と明言したことである。

気候変動対策での植林は「ナンセンス」か ゲイツ氏、議論に参戦

この議論、欧米では以前から展開されてきたと思うが、日本では珍しいかな。(写真は、記事より借用。)

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ちょっと引用すると。

二酸化炭素の相殺方法について問われたゲイツ氏は、「立証が不十分なアプローチの一部」は避けるようにしている

十分な植林を行えば気候危機を解決し得るという主張は「全くのナンセンス」だ

大規模な植林活動は、特に熱帯で害が益を上回るとする論文が、学術誌「トレンズ・イン・エコロジー・アンド・エボリューション(Trends in Ecology and Evolution)」に掲載された。

この議論、私は一言で言えば、カーボン・ニュートラルとネイチャー・ポジティブの対立だと思っている。日本語にすると、脱炭素と生物多様性としたらいいかな。

どくらも地球環境にとって重要として車の両輪とするのが本来の形なのだが、ときに重心をどちらに置くかで対立する。とにかく植林して大気中の二酸化炭素を減らそうという立場と、生物多様性を確保するには単一樹種の植林はダメという意見と。どちらかというと前者の方が力を持っているような雰囲気。

日本でも、脱炭素の必要性はかなり広まって来て、気候変動対策として二酸化炭素の排出を減らす、吸収させるという議論はされている。しかし、生物多様性の方は、まったくだ。
私が講演などで両方を説明しても、反応は「気候変動はわかった」でも「生物多様性は、また後で考える」という感じ。

森林は、実は後者、つまり生物多様性の方に寄与する分が大きい。炭素蓄積の効果はあるにしても、成長に時間がかかるし、植物も呼吸をするので影響力は期待するほどではないと思う。むしろ排出量を減らす方がてっとり早いだろう。

だが、国など行政も、森林関係者も、あまり生物多様性を強調しないね。ひたすら「気候変動対策のために、森林を増やしましょう、管理しましょう、木材を使いましょう」のオンパレードだ。森林の大切さをいうならネイチャー・ポジティブを説明した方がよいと思うが。

私は、裸地などに森林をつくる植林はしたらよいかと思うが、木材を利用するために伐った跡地に植林する行為は、グリーンウォッシュ、つまり環境的マヤカシ、詐欺じゃねえの?と思っている。また単一樹種を植林した場所も、その後の管理で天然生に移り変わるように誘導するべきではないかという意見だ。

常に一歩先を行く私としては(笑)、世間が気候変動対策に二酸化炭素吸収より、まだ口にする人の少ない生物多様性増加策を訴えていくよ。

 

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コメント

田畑も山林も収穫の目的があって環境に手が入っているという点は同じだと思うのですが、「生物多様性」となるのは、山林だけなのが少し腑に落ちないですね。
「食べ物」と「素材」では格が違うんですかね。

農地は、面積が林に比べると少ないし、立体的な森林に比べるとどうしても生物量・多様性で劣るからでしょうね。
そして、やはり食べ物である点は大きい。それを否定したら生きていけない(^^;)。みんな暗黙の了解で農地には文句つけない(笑)。

10月11日から、日本でも
カーボン・クレジット市場が始まる
関西系財閥の林業の名前の入った会社は
すでに森林投資ファンド設立とか
結局、二酸化炭素もお金の問題?

そもそも地球温暖化とCO2増加の因果関係があやしい。生物多様性やSDGSなるものは利権の匂いしかしない。

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