王仁博士と関係ないワニ氏は木材マフィアだった?
昨日の隙間時間には、上野恩賜公園も散歩していた。
あ、モネ展がやっているのか……と思ったが、それを見るほどの隙間時間はなくて断念。その代わりに見つけたのが「王仁博士の碑」だ。王仁とはワニと読むから、わにはかせ、である。
王仁という人は、応神天皇の時代(4世紀)に辰孫王と共に百済から日本に渡来した百済人とされる。そして漢字や儒教などの学問を伝えてた人物であるそうだ。全国に足跡があるのだが、奈良に隣接した大阪府枚方市の藤阪東町にある王仁公園があり、さらに近隣に「伝・王仁墓」もある。
それが、なぜ上野公園に? という思いはあるが、それはさておき連想したのがワニ氏。飛鳥時代の古代豪族だ。ワニは、和珥、丸邇などと表記される。しかし蘇我氏 物部氏、大伴氏、出雲氏、吉備氏、葛城氏、中臣氏……といった有名どころほどのネームバリューはない。
だが相当な大物で、ワニ氏の始祖は、孝昭天皇の皇子で孝安天皇の兄とされる。ほかにも多くの皇家と姻戚関係を多く結んだとされるが、その実態は謎の氏族。どうやら16もの氏族に分かれており、そこには春日、大宅、小野、柿本氏などの名が出てくる。それでワニは消えてしまったのかもしれない。柿本人麻呂も、その一族らしい。
で、何が言いたいかというと、最近の研究(橿原考古学研究所付属博物館の青柳泰介氏)によると、ワニ氏はヒノキなどの木材を、奈良市田原地区から伐りだして製材もしていたと発表しているのである。そして木津川を通じて運搬したと推測。つまり木材生産から流通まで掌握した木材業界のドンだったというのである。今風に言えばコンツェルン?木材マフィア?かもしれん。
この木材利権でヤマト王権に絶大な力を持っていたらしい。当時の木材は、絶対的必需資源であり、これなくして宮殿も建てられない。
いわば日本の木材産業元祖と言えるかもよ。
奈良時代の木材輸送と製材の様子を描いた図(平城宮跡資料館)
ちなみに王仁博士とは、もしかしてと調べたが、何のつながりもないようだ(^^;)。
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