林業統計のタイムラグ
ぼんやり林野庁のモクレポを眺めていると、ふと疑問。
木材業界、住宅建設業界は落ち込んでいるはずなのに、前年比が100%を越えているものが多い。おかしいなあ、と思って見ていて、気がついた。統計は2022年のものなのだ。当たり前だが、まだ23年が終わっていなくて、その集計にも時間がかかるから、現在発表されている年間統計の数字は前年度のものであった。これって、統計の勘違いポイントかも。オレだけ?
22年は、コロナ禍から少しずつ回復期に入っていたのだろう、多少は伸びている。ロシアのウクライナ侵攻から、また狂乱物価が始まり、落ち込んでいくが、年間を通せばかろうじて100%を越えるのか。
幸い、1~10月までの統計の前年比も出している。そちらに注目しなければ。たとえば2022年の新設住宅着工戸数は、86.0万戸(前年比100.4%)だ。だが2023年1~10月の新設住宅着工戸数は、68.9万戸(前年同期比95.7%)、このうち木造住宅は38.0万戸(同95.3%)。また2023年1~10月の住宅着工床面積で見ると、54000万平方メートル(前年同期比93.4%)、このうち木造住宅は34.700万平方メートル(同92.0%)となる。
さらに2023年1~10月は、木材産業の倒産件数が21件(前年同期比191%)、負債金額が4,16600万円(同58%)。
2023年11月の正角(乾燥材)の価格は、スギ88,600円/立方メートル(前年同期比80%)、ヒノキは106,200円/立方メートル(同84%)。
2023年1月~10月累計の品目別輸入量は、丸太が前年同期比83%、製材が63%、合板が67%、集成材が57%、木質ペレットが128%となった。2021年同期比では、丸太が79%、製材が70%、合板が73%、集成材が68%、木質ペレットが196%。
木材製品の大半が値下がり、物量減少している中で木質ペレットだけが異常に伸びている。
本気で経営なり、将来を予測しようと思ったら、タイムラグをなるべく小さく前年同期比を見るべきだろうね。
ちなみに、もう一つ目についたのが、ウッドデザイン賞2023。
なんと! 大阪・関西万博特別賞なるものが新設されていた。そんな場合かね(笑)。
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