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森と林業と動物の本

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2024/01/21

舞台は終戦直後

深夜、『ゴジラ-1/C』を見てきた。ゴジラマイナスワン/マイナスカラー、つまりモノクロ版である。

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いやあ、参りました。カラー版は昨年末に2度見ている(IMAX版と4DX版)のだが、それとは別物のような迫力だった。世界観が変わったようでもあった。すっかり涙腺も緩んだ。原子雲と黒い雨の不気味さ。泣く子の愛らしさ。震電の美しき飛翔。ストーリーは知っているのに、新たな感動を発見する。モノクロ恐るべし。

ゼロからマイナスへ、というテーマも強く感じる。敗戦直前・直後の日本を襲う未曾有の“災害”に抗うという心性は、もしかして今の時代にも当てはまるのではないか。戦うのは政府でも米軍でもなく、民間人。

「思えば日本政府は、いかにも人の命を軽んじてきた」と、装甲が薄い戦車に脱出装置のない戦闘機、そして特攻を上げる。特攻は十死零生であり、未来のない作戦であった。

思わず、「林業で言えば、皆伐が特攻と同じだな」と連想したのは、ここだけの話(^^;)。

そう言えば……『鬼太郎誕生~ゲゲゲの謎』も終戦直後というか、まだ戦争の影が消えぬ時代が舞台だ。いずれも戦争で辛酸をなめた人々が登場人物である。戦う対象は、妖怪というよりは政財界に巣くう権力の魔物だろう。

そして、いずれも「未来を生きるために戦う」のである。

ちょうどテレビでは、かつての朝ドラ「ゲゲゲの女房」やっている。ご存じか? 朝ドラは、「ブギウギ」と「まんぷく」だけではないのだ。なんとBS12で「ゲゲゲの女房」もやっている。(ほか、「さくら」もNHK総合の昼間にやってるな。)

この前たまたま見たのだが、まさに終戦からの日浅く、戦争の臭いが残る世界が舞台であった。こちらは漫画出版界の創成期を描き、どちらかと言えば希望を感じるが、それでも各所に戦争に圧殺された怨念の臭いが漂う。(なお「ブギウギ」も「まんぷく」も、戦時中から終戦後の物語である。)

今の時代、世界各地で戦争が相次ぎ、日本だけでなく世界各地で地震に噴火、大水害と気候変動。そして政治は制度疲労あ起こしてグダグダ、破綻寸前。終戦直後に心を引かれるのは、そんなゼロ状態から、さらにマイナスに落ちるか、抗うかの瀬戸際なのかもしれない。

 

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