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森と林業の本

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2024年2月

2024/02/29

遠隔操作の土木作業、林業でも?

先日、朝のワイドショーを見ていると、土木建設の世界で進む自動運転や遠隔操作の現場を紹介していた。

“無人化”ダム工事現場…14台重機が自動運転 

調べてみると、ニュース映像の使い回しぽいが、それはどうでもよい。

後半に注目してほしい。島根県大田市の山﨑組のビル解体現場で無人の重機が動いている。それを遠隔操作しているのは事務所の中。

仕事は解体業だが、事務所内で重機を操作している。

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おお、ここまで進んでいたか。これ、実用化したの? それともやらせ? と疑ってしまった。一応、昨年夏から導入したと言っている。

というのも、こうした遠隔操作で重機を動かすのは、林業でも描かれていたから。ただし、実験レベルであったが。ハーベスタを動かして伐採から搬出まで事務所内で行えるという……。

もちろん現場が平坦か斜面か。5Gの電波が届くのか、どこまで細かな操作が求められるか……など条件はいろいろあるだろうが、少なくてもこのニュースでは実用化している。林業でも、遅くない将来に可能になるかもしれない。

ま、現場が反対しなければ、だが。

ちなみに前半に紹介されているゼネコン・鹿島の自動運転。これ、私には既視感がある。それも20年以上前から。

実は1990年代に長崎県島原半島で、当時の建設省がスーパー砂防ダムの建設現場で実験しているのを取材したことがあるから。当時は、事務所も現場のトレーラーの中にあったが、一応、10台以上の重機が無人で動いていた。それが、ようやく実用化したのか。ここでは小田原市から秋田県の現場を動かしていた。

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当時の写真などもどこかにあるはず。探し出してみるかな。フィルムカメラで撮影したのだが……。

 

2024/02/28

山に歴史あり、木に生長力あり

生駒山系に室池というため池がある。正確にはその周辺にいくつかの池があり、古池だ新池だ砂留め池だと名前が付いているのだが……ともあれ、その周辺は森林公園になっている。

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今日は、軽く散歩に。そしてため池の際にあった記念碑を読むと、この池の由来が書いてあった。

この池は、どうやら奈良朝の時代からあったらしい。1300年の歴史があるとな。もちろん、そのまま現代にまで続いているわけではなく、補修改修は繰り返されたらしいが、トンデモなため池であった。当時の人、この山の中で何してるん?

おそらく平城京は数万人もの人が住む都会だったから、食べ物生産も必要だし、生活に使われた土器や建物の瓦などを焼いていたのだろう。実は、そんな遺跡がアチコチにあって、私も裏山でよく土器を掘っていたのだ。おかげで我が家には土器がコンテナ一杯あるのだが……。

現在は、森林公園として周遊ルートなどが作られているが、実はそれだけではないらしい。敷地内に怪しい?遺跡、塚がよく見つかる。これはおそらく戦前戦後に作られたと思うのだが、今より賑やかな施設があったらしい。宗教施設ぽい跡もあるし、展望台のような施設跡もある。なかにはピラミッドか!と言いたくなるような石積みもある。今は静かに散策するコースになっているが、かつては何のためか人が多く訪れたのだろう。

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たまたま現在の道から外れた山の中に入り込んだ。どうも道ぽい痕跡を見つけたからだ。現在は公園管理も縮小傾向で、かつてあった道も使わず消していく方向にある。それでも道の痕跡が完全に消えるまでは時間がかかる。

そこに分け入って見つけたのは……。

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かつての道の縁石を見つけたのだが、そこにまたがるようなコナラの大木が。

えっと、どのように伸びたら縁石をまたげるのだろうか……。それにこの太さになるにはやはり30年以上はかかるから、道が放棄されてそれ以上は経っているということか。山の歴史、木の生長力を改めて感じる。

2024/02/27

自然再生活動認定制度ができる?

環境省が、生物多様性保全への新しい制度づくりをめざしているようだ。

もともと国際公約である「30by30」、2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%以上を保全する世界目標の達成のために躍起になっているのだが、国立公園などの保護区だけではまったく足りない。とはいえ、こうした保護区指定は非常に難しく、全ステークホルダーの合意を取り付けるのは至難の業。時間も足りない。

そこでOECM(Other Effective area based Conservation Measures ~その他の効果的な地域をベースとする手段)という保護区に指定はしないけど、豊かな自然が存在しているところを増やそうとしている。

それを自然共生サイトと名付け、昨年10月には35都道府県の122カ所を初めて認定した。

その第2弾ともいえるのが、荒廃地を再び自然豊かな地にする活動を認定していこうという試みだ。2025年度に制度を創設する計画で、今国会に提出する新法案に盛り込む。

具体的には、企業や自治体、NPOなどが、管理されていなかった荒廃地の再生活動をした場合、認定する制度を設ける。区域ではなく自然再生の取り組みを認定するところが新しい。行動計画を策定して提出することが必要となる。これによって荒廃地で生物多様性の保全が進むよう促すわけだ。そうした活動地をおいおい自然自然共生サイトに指定していくのだろう。

活動を認定するという発想は面白い。まあ、認定されたら、どんなメリットがあるんだ……と思わぬでもないが。もしかしたら税金の優遇とか、寄付を集めやすくなるような仕掛けが必要かもしれない。まだ、そうした支援策は検討されていないようだが、荒廃地が保全活動によって自然が再生した場合、国際的なデータベースに登録するという。こうした点も、名誉的な価値があるかもしれない。そうすればNPOなどで奮い立つ人も出るだろう。

なお環境省だけでなく、農林水産省も国土交通省も巻き込んだ自然再生推進法も20年以上前に成立している。自然再生推進協議会も各地に生まれている。

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私がイメージしたのは、テレビ番組「鉄腕DASH!」でやっている海岸再生とか、新宿の都心のビル屋上でビオトープづくりなんてのは、該当するように思える。これが活動と言えるかどうかは別として。もちろん、再生というが保全計画もアリだろう。

たとえば林業地でも、伐採後の放棄地に手を入れて自然を取り戻して見せたら認定されるかもしれない。また所有森林のすべてが人工林化していることは少なくて、一部は沢地とか崩壊地など荒れたままであることも多い。そうした土地の有効利用も可能ではないか。

細かなことはまだわからないが、あの手この手で取り組む人が出たら面白い。企業だけでなく、学校や学校のクラス、個人でも応募できたら、わりと流行りそうな気がする。ただ継続性をどう担保するかだな。よくつくられたビオトープが、数年後に放置……なんて例はあるから。

ちなみに所有者の意向で再開発する場合は認定を解除できる仕組みも整えるそうだ。そこが保護区と違うところ。しかし、再生した自然をみんなが褒めそやされ、国連にも登録しました~とか言われたら、再び開発します、とは言えなくなるに違いない(笑)。

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2024/02/26

ABEMAの花粉症番組がgooニュースに

先日、ABEMAテレビの『ABEMA Prime』で政府の花粉症に関する政策を論じるコーナーに出演した。

それがgooニュースになっていた。

花粉症対策でスギ人工林を2割削減 政府目標に森林ジャーナリスト「今の人員ではまず無理」 伐採しても売れない・使えない問題も?

私は、Zoom参加であったこともあり、イマイチ、スタジオの議論に参加できなかった気がしていたし、全体として花粉症対策にはスギを伐れ、という論調が強かったので圧された感覚があったのだが、この記事を読むと、孤軍奮闘しているじゃないか(笑)。

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こうしたネットニュースは、番組を見ながら記事をつくるのだね。そして私の方に力点を置いて書き上げたようだ。実際は後藤祐一議員や、会場のコメンテーターの方が強かったように思えたのだが。

私の主張は、発生源対策ばかりに集中するな、花粉症はスギだけではない、そもそも2割伐採は物理的に無理、再造林する苗もない、伐った木が売れない……などである。読んでいただければ幸いだ。

それにしても気になるのは、私の映り方だ。実は、Zoomで撮影する際には、横から光が当たることが気になっていたのだが、こうして見ると、ものすごく顔に影ができている。いやだなあ。それに『山林王』や『絶望の林業』を移るように棚に置いたのに、微妙に写真から切れている。

次から反射板を用意しておこう。影の付かない顔にしたい。そして本の置く場所も、もう少し気をつけねば。

これが私の教訓であった。

 

2024/02/25

2月の花見

夜の帰り道、街灯に浮かぶ木があった。ストロボなどは使っていない。

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しだれ梅? もう各所でウメの花を見かけている。

翌日、某寺院で見かけたのは、白梅。

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おっと黄色のマンサクも咲いていた。

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そして、これは……。

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どう見てもサクラなんだが。冷涼地でも咲くカンヒザクラとか、ヒマラヤザクラではなかろうな。どちらも外来種だし、なんで、こんな山の中の寺院に? 単に早く咲いた在来種? もしかしてクマノザクラ(ヤマザクラより開花は早い)? といろいろ頭を巡らせてしまった。

ともあれ、2月に花見をいろいろしてしまったのである。

2024/02/24

獣害対策には不味い苗を!

植林しても食われてしまう……という嘆きはよく聞かれるが、その対策には「食べて不味い苗」を作ることじゃないか、と思っていた。

以前、講演で話したら失笑が会場に広がったのだが……(-_-;)。

その際は、山取り苗はあまり食われない、畑でつくった苗はよく食われる、という例から、苗づくりに工夫はできないかという提案だったのだが、林業家的には興味なさそうだった。

が、こんな研究があった。

カモシカはとってもグルメ?食物の選り好みを直接観察により解明

東京農工大学と山梨県富士山科学研究所の研究だが、ポイントを次のように上げている。

  • 個体識別したニホンカモシカの採食行動を直接観察して食べ物の好みを検討しました。
  • カモシカは多様な植物を採食しましたが、その採食割合は個体ごとに異なっていました。
  • ただし、各個体の生活範囲に存在する植物の量から食べ物の好みを算出したところ、どの個体も消化しやすく高栄養な落葉広葉樹(葉・果実・冬芽)や広葉草本(葉・花)を好み、消化しにくいササやイネ科、針葉樹を嫌っていることがわかりました。
  • カモシカが良質な食物を選り好みして採食することと、個体ごとの食べ物の違いは生活範囲に生える植物の供給状況によって左右されることが示唆されました。


まあ、詳しいことはリンク先を読んでもらうとして、好みがわかれば不味いと感じる味もわかるんじゃない? と思ってしまった。例えば苦いしゅう酸をたっぷり含んでいる、表皮に毒性のアルカロイドが集積している、など。

樹木の葉などにシカの食わない味にする遺伝子をスギやヒノキに取り入れて苗づくりをするというアイデアもあるのではないか。

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遺伝子編集、つまりゲノム編集技術が発達しているのだから、わりと簡単な気がする。

2024/02/23

低密度植林と花粉量

たまたま見つけた「近畿中国森林管理局の低密度植栽試験」という資料。(リンク先の9ページ以降)

主伐期を迎えて、再造林が課題となっているから、これを機に林相を転換しようという発想のよう。実際に育成複層林を増やして単層林を減らす将来像が示され、そこに再造林の仕方の研究が示されているのだ。

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植栽本数を2000本以下、できたら1500本を検討している。

なるほどね。最初に言っておくと、私は反対ではない。そもそも1ヘクタール3000本植えという戦後の規定がかなり密植だった。吉野林業を真似て高級材生産を意図したように思える。戦前、それも明治ぐらいは1000本植えの地域も少なくなかった。なかには500本のところもあった。それぞれ地域の特性~植生や人口構成、そして木材産業の基盤などを考えて、特色のある林業地がたくさんあったのだ。

ただ、それを全国展開するのはどうか、と思う。それぞれの地域で歴史に学びつつ多様な林業を展開すべきで、その中に低密度植林があるのならよいが。だいたい、疎林のような植え方をしたら、その後どうなるか想定しているのか。

そこで頭の体操をしてみたのである。

本数が少なくなれば、苗間が開く。光も入る。ならば雑草がよく生えるだろう。雑木も生える。少なくても地面が植生に覆われて土壌流出が抑えられ、混交林化も進む?(シカ害による植生破壊は、ここでは省く)

でも、間が開くと、そこに植えたスギが枝を多く伸ばすだろう。エリートツリー苗なんてのも言っているから、成長がよくて枝の成長もよいだろう。たくさん雄花が咲いて、花粉を大量に飛散させるかも。
植える苗は、無花粉・少花粉スギ苗を推奨しているが、間に合うかな。完全無花粉スギの苗は、まだまだ生産量が少ない。一方で少花粉スギ苗を植えても、枝が多くなれば、結局、花粉量は減らない……?

下刈りの省力化も触れているから、草が繁茂して苗が育ちにくくなる可能性もある。結局、花粉をつける前に枯れてしまうかも。これなら花粉は出ない(⌒ー⌒)。
そこで坪刈り、筋刈りにする案も記してあるが、私は効果があるように思えない。すでに坪刈り実験は繰り返し行われてきて、否の結果が出ているからだ。草の生長力なめんなよ。

やっぱり除草剤でしょ! ドローン使って散布すればいい。

草に覆われると苗の生長は悪くなるが、枯れるとは限らない。むしろゆっくり成長して木目の詰まった材になるかも。植えしぱなしにするという手もある。無下刈り、無間伐でも、1000本/haは育つ実験結果も出ている。放置林にはよい木が多く生えているとは誰が言ったかな。

 

……とまあ、延々と頭の体操を続けてみたよ、3連休初日。いやあ、私に連休などなくて、仕事しているんだけどね。

『盗伐』本の再校の始まりである。

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2024/02/22

Y!ニュース「被災地復興に欠かせない能登の林業家……」を書くことの裏事情

Yahoo!ニュースに「被災地復興に欠かせない能登の林業家支援に何ができるか」を執筆しました。

これって、実はきわどいことなのだ。

なぜならYahoo!ニュースでは、広告・告知的な記事は書いてはいけないことになっているため。

でも、夕方にアップしたら、明日から3連休だし、見つからずに(少なくても3日間は)逃げきれないか? というせこい発想で書いてみた。

もちろん内容は、広報的にならぬよう工夫を凝らす。が、最後にクラファンのリンク先を記せばバレるよなと思いつつ。

そして、あっさりバレた(笑)。

ただ理由は、クラウドファンディングのリンクが入っていると、Apple の規定により、App Store からアプリがリジェクトされる可能性があるのだそうだ。なんだかわからんがややこしいのである。そこでタイトルからもクラファンを外し、またリンクも外す。ただURLだけを裸で載せる。

こーゆーのを「大人の事情」というのだろうか(笑)。

ともあれ、全国メディアにねじ込んでみたのである。

2024/02/21

近刊新著は『盗伐 林業現場からの警鐘』!

もうネットで公開されていたので紹介する。

次回、出版するのは『盗伐 林業現場からの警鐘』である。私が、もっとも書きたくなかった本なのだが……。

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本が好き!ラボ 近刊情報サーチ 

版元ドットコム

どちらにも紹介されている。

おっと、Amazonと、楽天ブックスにも出ていた。

出版予定日は、3月末。帯文は、まだ試行錯誤中なので多少変わると思うが、内容は文字通り「盗伐」「違法伐採」問題。これに目を向けないいで現代の林業を語れない……でも、書いていると気分が悪くなる……。とうとう書いた。

情報封切りということなので、今後、内容を少しずつ紹介していく。

本日は目次から。

序章 目にした異様な山の光景

第1章 いにしえからあった盗伐
1.盗伐はいつから始まったか
2.木一本首一つの厳罰対策
3.「夜明け前」の入会林野
4.盗伐は雷鳴の響く夜に

第2章 盗伐事件の現場から
1.「盗伐」の法的な位置づけ
2.宮崎県国富町の事件
3.宮崎市高岡町の事件
4.宮崎県えびの市の事件
5.兵庫県佐用町の事件
6.鹿児島県霧島市の事件

第3章 「山が消えた」被害者の会設立へ
1.戦う盗伐被害者の登場
2.宮崎県盗伐被害者の会の結成
3.宮崎県の盗伐被害者の特徴
4.盗伐発覚後の開き直りと言い訳
5.警察による二次被害の実相

第4章 盗伐する側の論理
1.木材需要が膨らんだ論理
2.大量伐採を必要とする論理
3.監視が抜け穴だらけの論理
4.ブローカーが転売する論理
5.仕事をしたくない警察の論理

第5章 世界中で頻発する盗伐事情
1.熱帯諸国で起きる違法伐採
2.北米で狙われる巨木林
3.欧州を巡る林業界の闇
4.油と牛肉に化ける森林

第6章 世界の違法木材対策の動向
1.成立相次ぐ違法木材禁止法
2.EUの森林破壊防止規則
3.抜け道を用意したクリーンウッド法
4.NGOが生み出した森林認証制度
5.監視する国際環境NGOの実力

第7章 絶望の盗伐対策
1.遵法精神欠如と事なかれ主義
2.腐る林業と崩壊する地域社会
3.災害を招き地球を壊す林業
4.隔靴搔痒の盗伐防止策
5.試行続く盗伐を発見する手段
6.盗伐対策に必要な専門人材

おわりに
参考文献一覧

2024/02/20

「花粉症対策、何が正解?」をアンケートで

以前も紹介したが、Surfvoteという世間の問題点を指摘して、その解決法をアンケート形式で投票してもらう仕組みがある。

私は、以前「クマの獣害対策」について執筆したが、今回は花粉症対策について記した。

花粉症対策、何が問題?

政府の、主にスギ林2割伐採による花粉症を減らす対策案に関しての事実関係を指摘したうえで、その対策の現実性を疑うとともに、それなら何ができるかを問うたもの。

選択肢として示したのは以下の通り。

1、スギなど花粉発生源を大都市近郊から排除していく。地方より都会から重点的に減らすのが急務である。
2、災害を起こさないよう数十年かけてスギの伐採等を進める。その間は治療で耐える。
3、花粉を飛散さしないよう枝打ちや強度間伐、薬剤や菌の散布を慎重に行う。
4、花粉飛散量の細かな予測を出す。花粉防護グッズの普及や出社せずオンラインで仕事する後押しをする。
5、患者の救済に力点を置く。防護費や医療費の補助を強化し、治療薬や免疫療法の研究に投資を進める。
6、花粉症などアレルギーになりやすい体質を改善にすることに力を入れる。
7、花粉症に特化した対策は諦める。気候変動など地球環境も含めて取り組むべき。
8、その他
9、わからない

まあ、読めばわかるとおり、今の花粉症対策が気に食わないのである(笑)。

実は,先日もABEMAテレビで花粉症対策の議論を行う番組をやるから出てくれと言われて、断ることを知らないわたしは、ホイホイと出演したのだが、なんだか生煮えであった。それは私だけがZoomであり、スタジオでの議論に参加しづらかったこともあるのだが、問題なのは「花粉症対策=スギ伐採」というのが前提になっていることだ。

いうまでもないが、これって発生源対策にすぎない。なぜ、花粉症を抑えるには花粉を発生させないことだけに注力するのか。

たとえばコロナ禍で、COVID-19を抑えるためにコロナウイルスを撲滅させようとはならない。当たり前だ。
交通事故を減らすのに自動車を減らそうとはならない。当たり前だ。

だが、花粉症とか獣害を減らすのには発生源を減らしたがるのである。

その前に予防や防護をすればいいではないか。花粉症を治すクスリの開発と、その供給を確実にすればよい。

政府の花粉症政策にも、飛散予測と治療法の開発は上げられているが、話題になるのはスギ林伐採ばかりのである。スギ林を減らすのに10年以上かかるのなら、その10年で完璧な治療薬を開発するよう頑張ってくれ。

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2024/02/19

ミカンの木につく白い姿

温かい冬の一日、ミカンの木の剪定をしていた。ミカンは冬の間に枝葉をかなり透かした方がいいと聞いたのだ。

柑橘系は照葉樹であるから冬も葉があるのだが、昨年の葉をそのまま残しておくと新葉が出づらくなる。そこで重なっているような葉を狙って枝葉をパチンパチンと落としていた。これで今年も豊作……あまり稔りすぎても困るのだが。

するとの中に白い葉を見つけた。

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珍しいな、しかし白い葉は光合成をしないから……と、切り落としかけて気付いた。これ、葉ではなく蝶、いや蛾か?。白い蝶、白い蛾。暖冬とはいえ、こんなところに出てくるか?

名前はわからない。もともと昆虫の種類はよく知らないのだが、この形、この白粉をこってりと塗ったような白さはなんだろう。肝心の胴体は見えないので、余計に全体の姿がわからない。シジミチョウのようでもあるが、この羽の形も、少し変わって見える。
じっと見ていると、風に吹かれたのか、ひらひらと動いた。

冬でも庭でこんな観察ができることを喜ぶべきか、どうなんだろう。誰か、名前を知りませんか。

 

ちなみに庭の柑橘類で残っていたものを収穫する。昨年末、もういいや、後は木の上で干からびて落ちるだろうと放置した実を、まだ元気そうなので全部採った。全部と言っても、まだ少し残っているが。
これは、ジュースに絞る予定だ。

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2024/02/18

巨石と人跡

こんな巨石がある。

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この一枚岩からマツが生えている。どこに根を伸ばしているのか。そこで根元の松葉を退けてみると。

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たしかに岩の中に根を伸ばしていた。割れ目があったのか。自然の力である。

実は、この巨石は磐座信仰と結びついたオカルトチックな姿と配置をしていて、知る人ぞ知る存在なのだが、それについてはパス(^-^; 


一方で、こちらの巨石は生駒山中で見つけたもの。まったく人が行くところではない。急斜面をよじ登った先になったのだ。

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だが、気になる。その割れたところが。

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これは……人が楔を打ち込んだ跡ではないか。とすると、この岩を割って、その半分を何かに利用したのだろうか。こんな道もない忘れられた地点で?

最近ではないような気がする。たとえば……大坂城建設の時とか(^^;)。いや、マジで大坂城(豊臣時代も徳川時代の城も)の石垣建造には巨石が使われていて、それぞれ担当した大名が石を集めるのに四苦八苦した話が伝わる。

生駒山の山中にも、そうして集めたまま使われなかったらしい残念石があるが、この石は石を集める過程で割られたのではないか……。

あるいは生駒山では、各地に石垣があるからそれに使われたか。せいぜい数十年前。

ま、そんなことを考えると想像が膨らむよ。

 

 

2024/02/17

ロマネスコで森を感じる

気になる野菜、ロマネスコを購入してみた。

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アップにすると、林冠を連想する。

アブラナ科の植物の花蕾部分で、カリフラワーやブロッコリーと同じ。そのトンガリ帽子的な姿が「世界一美しい野菜」とも。

味は……まあカリフラワーやブロッコリーと同じ(^_^) 。形の差から、口当たりが違うかな。

そういやサンゴとも似ているといわれるそうだが、こうした形状は自然界ではフラクタル構造と呼ぶものだろう。小さな円錐が幾度も螺旋形に並びつつ相似形を繰り返す数学的構造だ。

ここまで美しく典型的に並ぶのは少ないが、植物を見ていると同じようなものがたくさんある。すぐに思いつくのはシダ植物の葉など。さらに樹木も小さな形状が大きくなる過程で、同じ形状が繰り返される。それが森になる。ほかにも自然界には多い。原子核の回りに電子が回る構造から耐用と惑星の太陽系、そして銀河系までもそれに入るのではないか。

ま、そんな難しいことを考えながら食べたわけじゃないけどね。

2024/02/16

「木造疲れ」と腐る建築

日経TECHの記事に「盛り上がる発注者と「木造疲れ」の設計・施工者、広がるギャップなぜ?」があった。

ようするにディベロッパーなと建造発注者は木造建築に期待を膨らませているが、設計・施工側の業者は、木造疲れが見られるとのこと。なぜ?という点は、記事を読んでいただきたいが、意外とあっさりと理由を想定してすませている。いやあ、私はそうじゃないと思うけどなあ。木造は何かと厄介なのだよ(⌒ー⌒)。設計や施工業者からすると、建てたくないのが本音ではないか。

ま、本音を推測することよりも気になっているのは、木造とは何かという根本的な考え方だ。

このところ伝統的建造物を見る機会が増えている。奈良はとくに多いのであるが、そこで現代の木造に関して違和感を持った。

今は、木造建築をめざす勢いの中で、「木造でも建ちますよ」から「木造でも耐久性がある、耐震性、耐火性、耐腐朽性がある」ことを求めているし、それを証明しようとしている。能登半島地震でも、古い木造は壊滅した……なんて指摘をして耐震建築を謳う。

だけどねえ。私は木造建築なんて長持ちしなくていいと思っているのだ。木は腐って、燃えて、価値がある。表面も変化するから木肌に表情が生まれる。明るい木肌が年月をかけて焦げ茶とかシルバーに移り変わるのを楽しめないか……だいたい長持ちしたら、木が売れないんじゃない?

経済とは、ものが入れ代わることで更新していくことで成り立つ。一度作ったものがまったく変化せず、傷まず使い続けられたら、経済は縮小するだろう。

『腐る経済』という本もあった(『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』渡邉格著)が、これは、マルクスの資本論を繙き解きながら、添加物で腐らないようなパンはおかしいというところから、パンは腐るから経済が回ることに気付く。そして自ら「タルマーリー」という店を開いて天然酵母にこだわったパンづくりとビールづくりを進めていく。現在は鳥取県智頭町に店を構える。私も幾度か訪れているが、昨秋にパンとビールを買いました。まあ、タルマーリーは有名だから知る人も多いだろう。この本もベストセラーだ(なぜか韓国で)。

もちろん、木造建築は腐って短寿命でいいというのではない。修繕を繰り返すのだ。腐った部材は交換して行くことで長持ちさせる。火事と地震は困るけど、壊れることを前提に建てる。

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奈良県の宇陀の重伝建の一つで見かけた民家。壁を古いクスリの看板(もともと薬屋だったらしい)で修復している。それが味を出している。

家の前に水路があってよく水が流れているから湿気も高いだろう。木造の土台も腐るのが早いのではないか……と思うのだが、江戸時代から100年200年も建ち続けている。腐ることを前提にした家づくりもアリだと感じた。

まあ地震で倒れて死者を出したら困るという意見ももっともなのだが、耐震構造にしても、一度二度と揺れると、芯の部分で折れるかもしれない。すると倒れはしなかったが、建て直さないと住み続けるのは難しくなる。ならば、簡単に建て直せる構造もあるかもしれない。あるいは構造材は鉄骨・コンクリートで耐久性を持たせて、内装外装を木材で行う考え方もできる。

ちなみに、こちらはタルマーリーの新しいパン工場。

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古民家改造である。

 

2024/02/15

伝統建築物さまざま

本日は、奈良の宇陀を訪れたのだが、その旧市街は重要伝統的建造物群の指定を受けた町並み。

そこで目にした商店。

20240215-112946こちらは和菓子屋。

格子戸に屋根着き看板。

20240215-114035旅館だった建物の二階部分。

この明り取りの障子?に斜めに入った桟がいいね、であった。

ところで、先日は高野山を訪れたことは書いたが、そこで見かけた商店の表構え。

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ちょっと寺っぽい(笑)。

宇陀の松山通りは城下町だったが、高野山は門前町である。そうしたことが店構えにも影響するのかな。

じっくり見ると、新しい発見がいろいろある古民家が多い。

2024/02/14

雲海がもっとも見えるポイント

昨日訪れた高野山の町では、こんなものを見かけた。

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某店の壁にあったのだけど、直径2メートル超えか。芯まで詰まっていて、なかなかの銘木だなあ……と思ったが、どうしてもバックの女性ポスターに目が行く……というか、邪魔。

実は、目的地は、高野山ではなくて、その奥の野迫川村。

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だいたい3、4日に1回は朝に雲海ができるそうだ。それも、早朝でなくて意外と遅い時間にも出るとか。年中雲海が見られる村として知られる……が、私は見たことがない(-_-;)。この通りの青空であった。

それだけでも人を呼べそうなのだが。

ちなみに、私がもっとも雲海をよく見るのは、自宅のベランダである。

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奈良盆地が霧に沈む(⌒ー⌒)。

 

2024/02/13

金剛峯寺の樹林

快晴の元、高野山を訪れた。ま、高野山の門前町は、単に食事に訪れただけで、目的地はさらに山の奥なのだが。

見つけたごま豆腐屋のランチを食して(ごま豆腐の天ぷらが出た!)、わずかに時間がある。ふらりと金剛峯寺に寄る。ま、内覧をするほどの時間はないのだが、ぶらりと境内を歩く。

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見よ、この空を。いや、本殿の木造建築を。

……本当は木造の具合を見るつもりで、たしかに面白い寺院彫刻があったりと、なかなか興味深かったのだが、より目に止まったのが、寺院前の樹林であった。

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スギはわかる。そしてコウヤマキも。ここまでは高野山だもの、コウヤマキは重要だ。スギ、ヒノキ、コウヤマキ、モミ、ツガ、アカマツを高野六木と呼んで、高野山に植えろ、とした伝説がある。木曾五木のように禁伐ではなく、大切にして寺院修繕用にしたのである。

ただ、その林床に繁るのはシャクナゲであった。当然、植えたものと思うが、高野山はシャクナゲと縁があったのだろうか。金剛峯寺以外でも、多く見かけた。山にも生えているが……。どんな縁起があるのだろうか。

植物から寺院の性質を読み解くと面白いかも。

 

2024/02/12

神武天皇陵の植生

昨日は建国記念日で、今日はその振替祭日だった。

で、建国記念と言えば神武天皇なのだけど、奈良の橿原市には神武天皇陵がある。もっとも、作られたのは明治になってからなのである。

とくに神武天皇陵は、そもそも墓、古墳でさえない。場所を比定する際に、日本書紀だかの「畝傍山の麓に埋葬した」といった記述を元にいくつかの候補を見つけたが、もっともそれらしいところは止めて、田畑の中にあった小さなミサンザイ塚(古墳ではない?)を選んだ。そして周りの土地を収用して、建設したのである。

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当時の絵葉書によると、こんな感じ。周りは田畑で、そこに土を積んでそれらしくして、植林もした。橿原だからカシの木が多かったというのだが……。写真を大きくして観察するとマツが多いような気がする。

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こちらが現在。大木がいっぱいの美しき森になりました。かくして建国神話の完成である。

ちなみにそれを祀る橿原神宮は、その後造営されたが、「西の明治神宮」とするべくと、1890年に建設。ただし、大きくなったのは起源2600年祭に合わせた拡張だろう。こちらも明治神宮を真似て、建国奉仕団、今風に言えばボランティアと、全国からの献木を中心に鎮守の森を作り上げている。

神武天皇陵とともに、建設からの植生遷移の様子を観察するのに適している。奈良においでの際は、ぜひ観察してほしい。

2024/02/11

腐らなかった木棺~富雄丸山古墳

富雄丸山古墳の発掘が再開された。

未盗掘で、昨年の発掘では、波打つような形をした超長い鉄の剣「蛇行剣」や、盾の形をした国内最大級の青銅製の鏡などが発見されたが、いよいよ二次発掘が始まったのだ。そして早くも大きな成果が出た。それは木棺が出土したのだ。それもほとんど無傷。木の埋葬品は、たいてい腐って姿を消しているものだけど、今回は完全な形で出土している。(これ、あまり全国ニュースで報道されていないように思うが、どうなんだろう? 地元では、それなりに大きな扱いなのだが。)

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奈良 貴重な発見相次ぐ富雄丸山古墳 蛇行剣や鏡の次は何が?

長さ5・3m、直径64~70センチの木棺が奇跡的に残っていたことが類例のない大発見だが、なぜ腐らなかった?

棺内に金属反応があるので、銅鏡が入っているのではないかというが、その銅イオンが木棺に広がったという説もあるが、どうかなあ。むしろ棺が粘土に完璧に覆われていたからではないか? 土と水分の性質は何だったのだ? そんな想像をするのも楽しい。

木だって、条件次第で腐らない。

ちなみに動物の遺体だって、土中に埋めるとなかなか腐らない。意外なようであるが、土に深く埋めると酸素がないから長く保たれるのだ。これまで、木棺が腐っていたのは盗掘にあったため、空気に触れてしまったのではないか。
土葬した人間を1年後に掘り返すと、生きたような姿形だった……という事例もあって、それがゾンビ伝説とかドラキュラ伝説を生み出したとも言われる。

未盗掘のこの木棺も、中から1600年前の生きていたままの顔、姿形の遺体が現れたら……それは、ちょっと怖い(笑)。

 

2024/02/10

「森林と生活に関する世論調査」から

内閣府が、「森林と生活に関する世論調査」というのをやっていた。実施は去年10月の模様。

その結果報告を眺めている。

報告書概略版

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こんな項目もあった。

1 森林の利用
(1)森林に行った回数
問1. あなたは、ここ 1 年くらいの間に、何回くらい森林に行きましたか。(〇は1つ)
令和5年 10 月
・1~2回 22.5%
・3~4回 12.1%
・5~12回 8.1%
・13回以上 5.4%
・行っていない 47.4% 

森ばかりではなく、木材を使うことへのアンケートも。

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論評しかけて、止めた。皆さん、自分で感じていただければ。どう解釈するか。人が森と木材に何を求めているのかを。

 

2024/02/09

美の壺で「木桶」

NHKの「美の壺」という番組を知っているだろうか。

4日のEテレ放送分で「木桶」が取り上げられていた。再放送だけどね。

美の壺「木桶」
百年以上、木桶(おけ)を使い続ける老舗銭湯。手業が引き出すぬくもり ▽江戸中期創業の京都の老舗桶店店主が作る伝統の湯桶の技! ▽静岡の木桶仕込みしょうゆの蔵元。百年以上の大桶(おけ)の魅力 ▽大桶職人の緻密なこだわりとは? ▽カフェバーで人気!桶の製法で作ったバーカウンター▽世界から大注目の桶のシャンパンクーラー。桶の概念を覆す新たな形とは?! <File589>

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ちょうど小豆島で開かれる今年の木桶職人プロジェクトがあったばかりだから、それに引っかけた?と思わぬでもない。

伝統的な液体を汲み上げる桶から、醤油、日本酒などを仕込む大桶、そして近年模索されているニューウェーブと、なかなか盛りだくさん。

もちろん社会派番組ではないから触れていないが、職人の問題や、材料となる木の生産=林業の問題などには触れていないが、番組の底辺部分で継承が簡単でないことが描かれている。日本には、こうした技術や美的感覚はあるのに、それを活かさない社会も微妙に浮かび上がる。

これを日本の木の文化というには厳しい。やはり文化としての木の利用は衰退しているのである……。

その再放送がまたある。

2月14日(水) 午前9:30 〜 午前10:00 日、BSにて。

2月10日(土) 午前6:45 〜 午前7:15 BS4Kでも。

NHK+でも見られるのかな。「木桶」ではなくて、「炭」はやっているらしい。おそらく放送が終わったら、ネット配信もするのだろう。わりと森、木材関係の美を取り上げることが多い番組だから、注目である。

 

 

2024/02/08

能登の珪藻土鉱山はどうなる?

氷見で聞いた話で、私の心に引っかかった一つ。それは能登半島先端の珠洲にある珪藻土鉱山が、ほとんど崩れてしまったという話だ。

珪藻土は日本全国にあるが、能登半島は日本最大の層があるという。能登半島の半分以上は珪藻土でできている?とも。
その珪藻土は、掘り出して焼いてつくった代表的な商品が七輪だ。とくに土を切り出したまま作り出される切り出し七輪は、珠洲の名産。

実は、私は珪藻土の鉱山という点で興味があった。以前、雑誌で読んで憧れていたのだ。妙な言い方だが、金銀銅、あるいは鉄などのメジャーな鉱山ではなく、マイナーな産物の鉱山に興味がある。

これまでも機会があれば訪れたことがあるのは、砥石だとか陶土、長石、また朱(二酸化水銀)、マンガン鉱なんてのがある。そういや人形峠も訪れたな。ウラン鉱石はなかったが。それに石灰石鉱山は、洞窟を壊すから嫌いだ……。

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その延長線に珪藻土鉱山があったのだが、それが今もしっかり残るのが能登半島であった。

それが崩れたのか。ああ、切り出し七輪買っておけばよかったかな。あれ、一時は物色したのだが、結構値が張るし、その割りにはいつ使うんだという自制心もあって諦めていた。

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と思って検索してみたら、メーカーの一つが、こんなクラウドファンディングをしていた。

これは今回の震災ではなく、昨年春の地震で崩れた際のもの。また鉱山というよりも、七輪成形の工場再建のようではある……。これが成就する前に、また地震にあったわけだ。
ここに写っている鉱山(写真引用)は、無事なのか。話に聞いたところでは、全部崩れたというのだが。工場は再建できて発掘現場が崩れたら、なかなか修復は厳しいだろう。

ほかの鉱山・工場もどうしているのだろうね。

森林ではないが、自然資源である。

2024/02/07

Y!ニュース「被災地と支援基地が重なる富山……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「被災地と支援基地が重なる富山県から見た能登半島地震」を執筆しました。

週末から月曜日にかけて富山県氷見市に講演に行っていたことはすでに記した。

となれば、当然、その夜は宴会があるわけですよ。お酒飲むわけですよ。参加した人の中には林業家もいるわけですよ。毎日奥能登に通っている人もいたわけですよ。当然、そこの事情も聞くわけですよ。一方で富山県側の被害についても語られるわけですよ。

私もそこそこお酒を飲んで、頭の中がトロンとしてきたわけです。そんなときに「あそこは、もう無住になるんじゃないか」「あそこは、再建不可能だろうな」なんて話を耳にすれば、そんな状況、メディアには載っていないよなあ、と感じるわけです。とくにニュースは石川県ばかりということを最初から感じていたわけですから、「だったら、それを記事にしましょう」と口にしてしまったわけです。

翌朝も、そんなやり取りをした記憶は残っていて、酒の席の上の話ではなくなって、現地を案内してもらうことになり、かくしてYahoo!ニュース化を図ったのが、この記事というわけです。

でも、書きながら「まてよ、私の執筆は森林、林業関係に限られていたよな。せいぜい農業や水産業を加える程度。編集部からいちゃもんがつかないか」と考えてしまった。
そこで林業がらみの支援の話も触れることに。なかなか面倒なのです(^o^)。

ともあれ、富山の被災を忘れるなという点と、氷見は被災しつつも奥能登支援の基地になっている点と、被災地の復旧の問題点、という3階建ての記事になったのでありました。

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2024/02/06

軽トラ仮設住宅?

富山県氷見市で開かれた「ひみの森づくり塾2023」。(開いたのは24年2月4日でした。)

そこで楽しませていただいたが、その門前に乗り付けられた軽トラがあった。

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軽トラの荷台に設置された小屋。

私はキャンピングカー?と思って覗いたのだが、なんと茶室だった。

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設計したのは、設計工房MandMの丸谷芳正さん。富山大学の名誉教授でもある。

わざわざ会場に運んできて展示しているのだと思っていたら、普段からこの車で移動しているらしい。つまり、日常的に使っているのであった。そのついで?に展示したわけである。ちなみに、この小屋部分はひみ里山杉でつくられている。ひみ里山杉というのは、ボカスギのこと。この需要拡大と、使い方の展示でもあるわけだ。

さて、肝心の小屋の中。お茶を立ててまったりするのもいいが、家具(テーブルだけ)を片づけると、大人二人が寝転がれる広さ。これならキャンピングカーにもなるが、ふと思ったのは仮設住宅にもなるかもしれない(^^;)。まあ、長く住むのではなくても、プライベート空間確保としたらよいではないか。木造ゆえに落ち着く面もある。15センチのスギ材だから断熱性も高くて、金属ボディの車中泊をするよりも、冬の能登半島に耐えられるような気がする。窓は覆わないといけないが。

そういや、今回の震災も含めて災害では、軽トラはいろいろ活躍している。実際に軽トラで運べる仮設住宅ユニットもあるし、仮設・移動店舗としても使える軽トラ……。避難民の足として軽トラを提供する動きもあるよう。狭い悪路でもぐいぐい進める能力は侮り難し。

思えば木造の仮設住宅、そして仮設住宅のストックづくりや(移動させられる)モバイル仮設住宅などの案は、東日本大震災の頃からあった。実際に動き出した計画もある。
だが、いつしか止まってしまう。喉元過ぎたらナントヤラで、徐々にテンションが落ちて実現しない。やっぱり金もかかるからなあ、とみんな諦めるみたいだ。

だから、普段は茶室とかキャンピングカーとして貸し出しておく。小屋部分を取り外して、庭の納屋にするとか畑の農作業小屋にもなる。いや、フツーに軽トラで荷物を運ぶのに使っておいて、いざとなると接収し被災地に送る仕組みでもあればよい。循環型仮設住宅。

我が家も、庭に設置したら入り浸りそうだ。あ、軽トラ買わねば。

2024/02/05

RF1の惣菜に国産割り箸

おお、波が来たのか。大波か小波か。

と思わせたのが、RF1(アール・エフ・ワン)の割り箸が国産に、それも吉野割り箸に切り替わったニュース。

間伐材・端材使用の国産割り箸に切り替え、森林保全や産業活性化に貢献

株式会社ロック・フィールド(代表取締役社長:古塚孝志、本社:神戸市)は、店頭で取り扱う割り箸について、一部店舗を除く全店で、2024年2月1日より国産の間伐材や端材を使用した割り箸へ切り替えるとともに、有料化【11円(税込み)/1膳】を開始いたします。当社の環境方針に基づく活動の一環として、カーボンニュートラルを見据えた国産割り箸の利活用と新たな環境配慮活動を実施し、持続可能な社会づくりへの貢献を進めてまいります。

*売上金の一部は日本の森林(環境)保全や4R推進など環境配慮活動に使用します。

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ロック・フィールドという会社は、「RF1」の店名で百貨店などの惣菜売り場を出している。ちょっと高級感のある惣菜で、お値段も若干お高めだが、評判はよい。

実はこの会社、大昔になるが、取材したことがある。取材したのは誰だったか、わりと幹部社員だったと思うが、当時も誇り高かった。自慢というのではないが、絶対の品質を誇っていた。

ところで、このニュースを追っていると、当社は2022年6月より「RF1(アール・エフ・ワン)」ブランドの一部店舗で国産割り箸の使用を開始しました。

とある。あれ? 2年前から国産にしてたの? 使用する店舗を拡大したということか。それと、やはり有料にしたことが大きいのだろう。

1膳で11円……やはり高いな(^^;)。吉野ヒノキや、北海道のトドマツの割り箸らしい。高級惣菜には、高級割り箸で、か。もっとも吉野杉ではない。スギの割り箸は、量産が無理なのかもしれない。

輸入品から国産品に切り替えることで、国内資源を有効活用するとともに、年間を通じた安定的な使用によって国産割り箸産業の活性化にも貢献します。また、海外からの輸送時に発生するCO2が削減できるほか、箸袋も紙製に切り替えることで、割り箸単体におけるプラスチック使用量もゼロにします。

割り箸にすること、紙製にすることを、環境に優しいと謳う時代が来たことは感慨深い。また割り箸の林業振興を謳っている。これも、かつてない視点だろう。
かつて、割り箸止めてプラスチック箸にしたら環境に優しいと言われて頭に血が上っていたのだ。

割り箸時代の到来である。(と、信じたい。)

2024/02/03

国産サカキに能登を思い浮かべる

たまに行く産直系のお店で見かけた国産サカキの売り場。どうやら和歌山県(田辺市)竜神村産らしい。

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サカキと言えば、神事に欠かせない植物の葉だ。漢字も榊、神の木である。 (東日本はヒサカキになる。)

だが、今や日本のサカキ需要の90~95%は中国産。中国は日本のためだけにサカキをつくっているという。中国でサカキは神の木ではないからである。皮肉だなあ。日本独特の神事に使う植物が中国産とは……。

ただ輸入にかかる時間を考えても中国産サカキは長持ちしない。一瞬の神事で終わるから気にしないのか、萎びていても目をつぶっているのか。
それだけに国産サカキは人気が高く、値も高い。

実は林産物としても有望だ。とくに西日本は照葉樹の森が広がっている。放置しても生えてくる。手入れもたいして入らない。病害虫も少ない。シカ害は……あるかな(^^;)。でも栽培すれば、柵もつくれる。なにしろ軽くて収穫は楽だし、照葉樹だから年中出荷可能。一方で花卉より日持ちするし、季節感はあまりない。そして値は年々上がっている。山菜、たとえばタラの芽以上に有望ではないか?

ただ樹木だけに果樹なみに植えて数年は待たないといけない。葉の収穫は簡単だが、それを神事用にパッケージするのは若干の技術と手間が要りそう。それをクリアすれば新林業になるかも。

国産産地を調べると、和歌山県が過半を占めていて、ほかは鹿児島県などだった。だが、新興産地もある。

それが能登だった。能登サカキは売り出し中なのだ。最初は山取りだったが、最近は栽培も始めているらしい。今は雪の下だろうか。出荷シーズンは、やはり春以降だから、今年も震災を乗り越えて出荷できると思いたい。

2024/02/02

丹生川上神社上社の切株断面

川上村にある丹生川上神社神社。正確には、「元官幣大社 龍神総本宮 丹生川上神社上社」と記す。

天武天皇の白鳳四年(675)に、ご神宣により建立奉祀されたと伝えらる由緒正しき神社で、平安中期には、朝廷における最高格の社格となる「二十二社」の一つに数えられていたという。ところが、応仁の乱(1467)の後は衰微し、社地の所在も不詳となってしまった。

明治になって、その場所を探す試みが行われて、最有力なのが、この川上村の祭祀跡。その後、東吉野村や下市町にも候補があって、結局は官幣大社として下市町を下社(明治4年)、川上村を上社(明治29年)、東吉野村を中社(大正11年)と定められた。この三社は、今三社巡りなどを催しているが……。

長い前置きになったが、上社に詣でてきた。

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実は、大滝ダムがつくられた際、本来の上社の場所は水没することになり、高台に移された。だから、この社殿は歴史が浅い。30年程度か。しかし、近づくと、トンデモナイ吉野杉の銘木で建てられていることがわかって、これは一見の価値ありだ。

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旧社を見下ろす。ダム湖(大滝竜神湖)の底だけど。

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注目してほしいのは、本殿の木材だけでなく、その傍らに置かれた切株断面。これ、旧社に生えていた大木の一つから伐り出したものだ。移転の際に、境内の来は全部伐ったはずだ。これは直径1・5メートルくらいかなあ。樹齢600年と記されている。

実は、私はダムが建設する前の旧社に幾度か寄せてもらっていて、大木群を目にしている。ただ、もっとも太い木は、その頃にはすでに伐られていた。もしかしたら、水没より前に折れるかしたのかもしれない。その切株に寝転がったら、私の体がすっぽり収まった記憶がある。つまり、直径2メートルぐらいあったのではないか。樹齢は800年ぐらいあるとしたら、当然、天然木だろう。

今、その姿を見られたら、とどうしても思ってしまう。

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旧社からは平安時代の祭祀遺跡が見つかっており、それが今の上社に復元されていた。

 

 

2024/02/01

混交林の前にタラの芽!

奈良県では、混交林誘導時整備事業が行われている。

簡単に言えば、放棄林など整備不良の人工林を中心に、針広混交林に誘導していく計画だ。将来的には、さらに恒続林に仕立てる構想だが、とにかくスギやヒノキの人工林に広葉樹を育てなくてはならない。これが難しい、というか、技術を開発中なのであるが……。

その研究の実験地の一つである川上村の山を訪れた。急坂続きの奥地で、標高も1000メートルを超えているだろう。

今日は生暖かい天候だから、となめていたら、しっかり雪が積もっていた(゚д゚)。。。

とにかく、スギ林を切り開いて、広葉樹の苗を植えるとともに外からどんな草木の種子が入ってきて育つか実験しているわけだが。想定外の状況が起きていた。

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もやもやと生えている木が何かわかるかな。冬なので葉は落ちているが……タラの木なのだ。それこそ林立というか、雨後の筍というか、植樹もしていないタラが一面生えてきた。植えた苗以外にも、ミズナラなどさまざまな広葉樹らしき木も生えていたが、圧倒的にタラ。

なぜ、この地にタラがこれほど育つのかわからない。近くに母樹があるのか。よほど土質が合ったのか。もし、この地がタラの生育に適しているのなら、もっと切り開いてタラ畑にできないだろうか。

これはタラの芽が出る季節が楽しみだね……。もっとも伸びすぎて高さが3メートルを超えているので、芽の部分を収穫するのは大変だろうが。

しかし、もはや何十年に一回か木材を収穫より、毎年タラの芽を収穫する方が利益は大きいのではないか。もっとも、標高が高いと芽が出るのも遅くなる。山菜はハシリが季節感を先取りする人気で値を高くして売れるのだが。

いっそ、早春に芽の部分を刈り取って、平地の温室でふかし栽培するという手もあるなあ。これは安定出荷できて儲かる。

とまあ、実験地であることを忘れて算段してしまったのであった。タラをこのまま残して混交林化できるのか?

 

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