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森と林業の本

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2024/03/08

五条市ゴルフ場跡地のメガソーラー計画

昨日の平群町メガメーラー裁判で話題に上がったのは、山下奈良県知事がいきなり五条市にメガソーラー計画をぶち上げたことである。

この五条市の計画について考察してみた。

もともと平群町の件は、一度は前奈良県知事がストップをかけたものの、業者のごり押しで再開したものである。それを飲んだのは、一応「一度許可したものをこれ以上止めると、業者に裁判を起こされて負ける恐れがある」からだった。まあ、その言い分を信じるかどうかは別として、しぶしぶ認めた形ではある。その点は、以下の通り。

メガソーラー、デタラメ申請を通す奈良県の不可解

だから知事が変わったのだから、再び止めてくれないかな、という淡い期待があった。ところが逆にメガソーラー推進である。しかも五條市の計画は「ゴルフ場だから平坦地で、平群町のような災害の懸念はない」とのたまわった。唖然とせざるを得ない。県は、平群町裁判の被告なのに、「平群は懸念がある」と認めたか。でも、五條市は大丈夫だと?

そこで五条市の予定地について調べてみた。もともと県がゴルフ場を買い取って広域防災基地にする計画だったのだが、それを新知事は潰したものの、跡地の利用に悩んでメガソーラーを思いついたらしい。防災施設は10ヘクタール以下に縮小して、25ヘクタールをメガソーラーにするという。何の根回しも専門家の審議もなかったというから、本人の思いつきなのだろう。

ちなみに25ヘクタールのソーラーというのは、関西最大クラスで平群町の計画(約14ヘクタール)を上回る。

では、肝心のゴルフ場とはどこか。調べるとプレディアゴルフ場という名が浮かんだ。

そこでプレディアゴルフ場について調べると、なんと元奈良カントリークラブであった。ここ、知っている。知っているどころか訪ねて、取材している。何と言っても、私はゴルフ場ジャーナリストなのだ( ̄^ ̄)。

もっとも訪れたのは2010年3月で、その後このゴルフ場は身売りされたのかプレディアに名を変えた模様。また土地は地元自治会のものだったらしく、ゴルフ場の所有ではなかったらしい。おそらく経営不振も関わっていて、奈良県の要請に応えて廃業し売り払ったようである。

地図で見ると、こんな感じ。まずはGoogleの衛星画像。

Photo_20240308164101

次は国土地理院の5万分の1地図。

2_20240308164101

この地図だけだと、等高線が少なく平坦地に見える。が、よくよく見ると傾斜があるのは間違いない。だいたいゴルフコースで高低差がなければプレーとしても面白くない。

そして私の撮影したコース写真。

9_20240308164301

かなりの高低差があるよ。吉野川沿いの市街地を見下ろしている。だいたい平群町の予定地も地図で見れば、等高線の数は少なく平坦地に見える。

ただ、ソーラーパネルを並べるとなると、単純に地形に合わせるわけではない。なぜなら太陽光の照る方向と位置が重要になるからだ。このゴルフコースの方位はまだ調べていないが、元コースのままに並べられない。多分、整地して掘削や盛り土が必要になるはずだ。

それに肝心なことを言えば、ゴルフ場の約半分は、残置森林なのである。それは法律と条例で決まっている。奈良県の場合は50%。
このゴルフ場は約63ヘクタールだから、30ヘクタール以上が森林だということだ。ここにメガソーラーを設置しようと思ったら森林を伐採しないと無理だ。すべてゴルフのフェアウェーではないのである。それに、森林と芝生は表土を緊縛して守っているが、そこにソーラーパネルを並べたら、雨水で土壌流出する恐れが十分にある。

もう一つ、風はソーラーパネルの裏側に回り込むので、台風などの際はパネルを浮き上がらせて飛ばしてしまう恐れがある。それを防ぐには、かなり頑丈な架台を築く必要がある。かなり大規模な工事となりコストアップだ。でも、やらなければ災害を招く。
国の補助金で防災拠点築く方が安上がりではないかな。

現実のゴルフ場を取り巻く社会システムと生態系のメカニズムを知らないと、痛い目に合うだろう。

ちなみにゴルフ場の社会生態系について知りたければ、こちらの本をどうぞ。Kindle版だから、すぐに購入・読めるよ。

ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実 

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コメント

五條市に突然のメガソーラー
奈良県議会での山下知事の答弁
地元奈良テレビや大阪のABCのニュースが動画に
そんな中、東京のテレビ朝日のグッド!モーニング
奈良市の古墳の周りにメガソーラーの映像が

メガソーラ建設を問題とされていますが、そもそもの問題として元ゴルフ場の管理をなぜ県がしなければならないのかです。
開発を行うことは管理する義務が生じることです。ゴルフ場が経営的に成り立たなくなれば元の状態に復元する必要があります。その管理義務を県が肩代わりすることになるのですからそれに対し公金の支出が伴っていればおかしな話です。公の施設建設に伴う土地の買収、オリンピック、万博、都市の再開発、それらはすべて公金支出の名目にされているだけと言って過言ではありません。利用目的が不透明な事自体に大きな問題があります。メガソーラ用地にするということがそもそも利用目的が適当に作られていたものである証拠です。元ゴルフ場の管理義務を県が引き継いだことに一番の問題があると思います。開発することは元の状態まで戻す義務があることを全く考えていないことにこの国のいい加減さがあります。


五條のメガソーラー予定地に絞れば、まだ営業中のゴルフ場を県が買い取った形になっています。
紀伊半島奥地で災害が相次ぐ中で、防災拠点をつくる計画を立てて、そのための土地として候補になったようです。
ところが、知事が変わって建設計画も縮小され、余った土地をどうするかという中でメガソーラーが出てきたわけです。
だったら、自然に返せばいいと思うのですが、そうはならないのが不思議。だいたいゴルフ場と聞くは自然はないと思い込んでいる人が多いけど、何十年も経って、豊かな自然が広がっていますよ。何も現地を知らない人が思いつきでやっている。

それに防災拠点づくりには国の金を使えたから、メガソーラーより安上がりなんですけどね。

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