住宅着工件数からウッドショックを振り返る
林野庁のモクレポ3月号が発表された。
今回、目が止まったのは、住宅着工件数のグラフ。
細かな点はともかく、2023年は減っている。それでも80万軒もあったのだなあ、と感じたのだが。
2023年の新設住宅着工戸数は、82.0万戸(前年比95.4%)、このうち木造住宅は、45.4万戸(同95.1%)
私が目を止めたのは、やはり21年、22年の着工件数が高いことだ。85万、86万軒に達している。コロナ前は81万だから、あきらかにこの2年が多かった。この時期って、コロナ禍の真っ最中なのだが、家が多く建っていたの?
その傾向はアメリカと同じだった。アメリカの建築ブームは、木材不足に陥りウッドショックを引き起こしたのだが、実は同じことを日本でも起きていたという点に、私は驚いた(^^;)。人が出歩けない中、建築は進んでいたのかあ。
ただ木造の中でも在来軸組工法は、ツーバイフォーやプレハブより落ち幅が大きい。しかも木造率(54.0%)も下がり気味。 ツーバイフォーやプレハブの方がコロナ禍で建てやすい工法だったのか?
ちなみに製材価格の推移のグラフを2月号から引っ張ってくる。
正角、間柱、合板の3種だが、20年台の低位からグイグイと伸びたのがウッドショック。その後下がり始めるのだが、今も20年の価格より高い。高値安定である。まあ、輸送費などが上がり全体の物価高の影響の面はあるが、以前よりは高く木材は扱われているわけか。
ただ住宅の着工件数は、今後確実に下がり続けるだろう。ぶれはあっても10年後20年後には今以上に落ちる。人口が減り高齢者が増えるのだから。その時こそ、逆ウッドショックが来るように感じる。
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コメント
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国産杉製材業をやってます。
逆ウッドショックは既に始まってます。
2024年4月の時点で
杉柱KDなんか需要不足による滞留で
東京卸売り市場のセリ売りでタタキ売り
状態で立方5万円チョボチョボです。
市場手数料・運賃を差し引くと4万円
少々の手取りではやってけません。
それでも柱を挽き続ける国産材工場の
リアルな現実です。
投稿: KH | 2024/06/22 09:32
ウッドショックの際におっとり刀で増産した国産材は、今となってはだぶついて価格を下げますすね。
なぜ、チャンスをピンチに変えるのだろう。
投稿: 田中淳夫 | 2024/06/22 14:27