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森と林業の本

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2024/03/12

補助金に環境負荷低減「クロスコンプライアンス」

タイトル、難しい言葉使ってしまった。

わかるだろうか。環境負荷低減クロスコンプライアンス。

これは農林水産省が決めたことで、今後はすべての補助金事業を対象に、環境負荷低減の取り組みを支給要件として義務付ける、というものだ。これは農水省のサイトにも掲載されている。

環境負荷低減のクロスコンプライアンス

もともとは、2021年に策定した「みどりの食料システム戦略」で掲げた農林水産分野の二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標を実現するための土台と位置付けている。食料という言葉があるように、これまでは肥料・農薬の適正使用や省エネといったことの農業分野だけのイメージだったのだが、それを林業や水産業分野まで広げるらしい。しかも、すべての補助金事業で環境対策を義務化するというのは、画期的というか、中央省庁で農水省が初めてらしい。

2024年度から試行を始め、27年度からは本格的に実施する予定だ。すでに農業や畜産業の一部で実施してきたが、いよいよ林業と水産業を含めていく。当初の予算ベースでは、2兆円程度の補助金が対象となる見込みだ。このうち林業にはどれぐらい含まれるだろうか。

なお、具体的に補助金の受け手に最低限求める取り組みには、次のような7項目を挙げている。

①肥料の適正使用
②農薬の適正使用
③電気・燃料などエネルギーの節減など
④悪臭や害虫の発生防止
⑤廃棄物の発生抑制と循環利用・適正な処分
⑥生物多様性への悪影響の防止
⑦環境関係法令の遵守

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この項目だけを見たら、ほとんど農畜産業になってしまうが、⑥の生物多様性には森林が大いに関係するし⑤の廃棄物うんぬんも、林業に関わりそうだ。もちろん③電気、燃料の節減も重要で、もしかして農業機械より林業機械の方が大きいかもしれない。
しかし、藻によりも⑦の法令遵守は林業界にとって最重要だろう。

実際の運用がどんな形になるのかよくわからないし、守っているのかどうかをチェックだってできるのか、という心配もある。相変わらず当事者が自身で発行する合法証明みたいなものでは意味がない。
それでも農水省が本気になってきた感がある。これらは農業界の世界標準だから日本だけ放置できないのだろう。

まさか林野庁は農水省と違うもん、と思っていないだろうな…。林野庁補助金は例外扱いします、とか? 24年度は目の前なのに、全然広報が行われていないのも気になるところだ。

上記に紹介したサイトだが、肝心の説明資料や、チェックシートのリンクが切れている。今になって削除したとしたら、「画期的な政策」も、なんだか、うやむやにするつもりではあるまいな。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

私が今朝(3/14)見たところ、農林水産省の「クロスコンプライアンス」に書かれているリンク先の資料、参照できました。何かの障害でもあったのか、不明ですが、今現在は見れています。

追記・現在はリンク切れは解消しています。
教えていただきありがとうございました。

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