『盗伐』記事2本を読めばわかること
ジュンク堂書店奈良店に行った。
ん? 新刊なのに『盗伐 林業現場からの警鐘』は1冊だけか? ちょちょ……ちょっと。
がっくりしかけたが、よく見るとこの棚。拙著が並んでおる。『盗伐』のほかに『山林王』『絶望の林業』『虚構の森』そして監訳『フィンランド 虚像の森』。周辺の本も見覚えのあるものが多く、なんだか我が家の書棚に見えてきた(笑)。
さて、『盗伐 林業現場からの警鐘』出版に合わせて、この派生記事が次々と出ている。
まずは、日刊SPA!
こちらは友人であるノンフィクションライター諸岡宏樹氏。売り込んだわけではなく、記事にしてくれた。彼は事件ものを得意としているのだが、それだけに記事も盗伐案件を具体的に紹介して、この事件の特異性を描いてくれた。
一方、同時期に私自身が執筆したWedge on line
思えば、盗伐現場を訪れたのは、Wedgeの取材が最初だった。それが2019年なのだから、5年経って書籍にしたことになる。当初は、時事的な事件なので書籍にするつもりはなかったのだが、いつまで経っても当局は動かない・盗伐も止まらないことが、私を後押しした形になる。
私の記事の書き方は、日本の事件から世界の情勢へと広げていくスタンス。ある意味、書籍版と同じなのだが、この2本を比べてみると……やっぱり具体的な事件の中身をグイグイ押していく方が、迫力あるな(^^;)。ただ、私自身はそうしたやり方が苦手というか、書けない。やはり私は事件記者に向いていない……。
ともあれ、両方を読めば、『盗伐 林業現場からの警鐘』の全体像がわかる。あ、だから本は読まないでもよいというわけではない(^^;)。ぜひ、手に取ってほしい。奥行きが違う。事例は実名のものが6件だが、匿名の事例をいくつも散らばめている。また「盗伐学」としての分析も含む。そして世界情勢は、かなり大がかりであることもわかるだろう。
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