切株の上の生態系~マムシグサ
不定期に行っている「切株の上の生態系」シリーズ。
ようは伐られた木の断面の上に、新たな動植物の世界ができている妙を見つけては記録しているのだが、久々に紹介する。
十津川村のスギ林の中で見つけた。かなり古い切株で、間伐された様子だ。全体が朽ちて苔むしているが、その上に伸びていたのはマムシグサであった。その特徴的な姿が、なんだかアートぽい。
ほかにも、いろいろな草と苔が育っているようだ。実は、ここはもうすぐ皆伐される予定なのだが、果たしてこの切株はどうなるか。残しておいてほしいが、施業の邪魔か。周りには広葉樹も多いので、上手くすれは混交林にもなりそうだけどなあ。
ちなみに本日は、オンラインのパブコメセミナーに出演して、盗伐問題について語る。そこで出た最後の質問。それは、どうしたら盗伐が起きないようにできるか、であった。それには森林環境税は使えないのか、と聞かれた。
これぞ、我が意を得たり。盗伐を防ぐのに今すぐできることはある。それは伐採届の内容をきっちり確認して、施業前後に現地を訪れること。確実にどんな施業をするのか役所の担当者が目で見て指導すれば、たいていの業者は悪さができなくなる。伐採後も確認し、再造林後も確認する。これぞ、最大の盗伐防止策なのだ。
しかし、市町村にはそんな人材がいないし,専門職を置く金もない……と言われるが、そんなことはない。その見本を、この十津川村で見た。
ここには森林の専門家として奈良県フォレスターが派遣されているのだ。この現場も、その伐採届の確認仕事であった。そして奈良県フォレスターの養成と派遣を賄っているのが森林環境譲与税なのである。
セミナーでは、「奈良県ではねえ~」と自慢するのは止めておいたが、すでにやっているのである。そこで見つけた切株の上のマムシグサに、私は「奈良県では(大規模な)盗伐は起きない」と確信したのであった。(この事例は、『盗伐 林業現場からの警鐘』にも書いている。)
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