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森と林業と田舎の本

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2024/04/25

Y!ニュース「伐採量を2倍にしたら炭素固定量が3倍になる?…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「伐採量を2倍にしたら炭素固定量がは3倍になる?最新研究から見た林業と気候変動対策」を書きました。

この元となる東京大学の森林は、たくさん伐ってたくさん植えたら、たくさん炭素を蓄えるの記事は、目にした人もいるのではないか。言ってることは「木を伐って、どんどん使おう」という林野庁のスローガン?と同じなのだが、東大の研究論文となると迫力が増す。

しかし、私がこれを読んだときに某誌の原稿を書いていて、そこでは「木造建築を建てれば建てるほど森林は劣化し気候変動が高まる」というものであった。つまり、林野庁の政策は間違っている、という主張である。

だから、冒頭の「目を剥いた」のは私。そこで論文を読んで、数値や理論を確認したわけだが、ようするに伐採した木はしっかり建築などに使って長持ちさせ、その跡地に再造林100%にする、という前提なのであった。現実は違う。

そこで論文筆頭の熊谷教授にメールを送ったのである。

すると論文には木材利用の歩留りなども計算に入れているし、端材・おが屑の利用まで含めているということだった。(英語論文の方に書かれてある。読むのは大変。。。。)

私も、ちょうどJクレジットを取得した林業家に取材に行って、その内幕を聞いてきた。Jクレジットの炭素固定量の計算方法は、なかなかの曲者であった。

その後、幾度かメールのやり取りをしたうえで、書いたのがこの記事だ。

Topics_202404221

果たして林業は、脱炭素の切り札になるか。それともグリーンウォッシュ?…という話なのである。

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コメント

この東大論文の主張だと、日本は再び拡大造林をせよってことになります。少なくとも、花粉症など様々な問題を抱える人工林を今後も維持ということです。山に人も機械も道もない状況で増産など夢の夢、再造林率の設定もトンデモレベルで、この著者は日本林業の現実を全くわかっていませんね。現実にありえないトンデモ数値シミュレーションで、人工林が重要とか言われてビックリです。こんな論文にはいつもの田中さんらしく、鋭く切り込んで欲しいと思いました。

あくまで仮定のもとのモデルによるシュミレーションなので、学術的には問題ないし面白い結果ではあります。問題は現実的ではないし、政策に反映することは難しいというところですね。ちなみに炭素固定量の計算はなかなか怪しいです。ざっくりいえば計算で一番肝になるのは材積です(樹冠や根のバイオマスも係数で補正)。したがって短期間の成長が早いほど炭素固定能力が高く評価されます。

拡大造林は広葉樹林などの人工林化ですが、ここで述べられているのは現在ある人工林を利用して炭素固定量を増大させるための施策です。人工林を今以上に増やす必要はありません。

もちろん執筆者も、これが理論値であり、現実とは乖離があることは承知しています。研究者としては、議論のたたき台となる数字を出したという意味があるのでしょう。
だから林野庁も、これで伐採量を2倍にしよう!とか浅はかに考えるのではなく、理論値に近づけるためには、木材加工の歩留りや再造林率を上げることを考えてもらいたい。

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