街路樹林業計画
これぞ、私のめざす都市林業だ! と思った(^_^) 。
なんでも東京の町田市では、23年11月に「街路樹更新計画」を策定したという。
しかし50年近く経過しているものも多く、高木が約1万5000本もあるらしい。
そこで「街路樹更新計画では、緑豊かな景観を維持しながら適切な管理を行うことで、質の高い緑を充実させていく。計画期間は23年度から32年度までの10年間。街路樹を優先的に更新する約100路線に対し、高木や低木の撤去などを行う。また一度更新した大径木は、その後30年の間隔で更新を実施する計画。こうして適切に管理することで、維持管理費は10年間で約14億円削減できると試算する。」
「伐採した街路樹は一般的に廃棄物として処分されるが、今回は街路樹の個性を生かして商品化などを目指す。町田市が伐採した街路樹を無償提供し、飛騨産業が製材・乾燥して商品にする。22年度には伐採後の街路樹からダイニングセットの試作が行われている。」
この計画の後半が肝だろう。大径木の街路樹は、商品化をめざすのだ。
この写真からは、商品化した街路樹の木材はケヤキだろうか? 街路樹に多く、また大木化しやすい。何より広葉樹が多いので、木工向き。
実は、以前より東京では一般社団法人 街の木ものづくりネットワークで街路樹や庭木などを伐った場合、その木材を家具などにする運動が行われている。またオークヴィレッジのようなメーカーも、積極的に都市の大木を伐った際に引き取ってきた。すでに民間主導で行われているわけだ。
先日古本市で『都市林』という本を見つけ、200円で購入した。昭和47年発行で、林業経営研究所編・農林出版発行である。どちらも、今はあるのかわからない。
古い本だが、都市林についてまとめた書籍は、今はほぼないのではないかと思う。日本の都市林、欧米の都市林について説明されており、なかなえ貴重な文献だ。
そこには、林業的都市林とか、非営利的生産・保全両立型都市林、放置的都市林……といった分類が成されている。まあ、詳しい説明は省くが。
私は、以前より街路樹を木材生産の場とする都市林を考えていて、それを新林業的都市林としたいと思っている。最近、やたら大径木になって倒れる街路樹が増えているではないか。京都の産寧坂の桜の大木が倒れた際は、全国ニュースになった。それどころかワイドショーが連日報道しまくった。(たかだか、街路樹1本が倒れただけなのに?)
一方で、明治神宮外苑の木を伐ると発表されたら大騒ぎ。あの程度の街路樹を伐るのに、なぜ国連イコモスまで登場しなくてはならんのだ。
そうした勘違いと感情的な街路樹対応をするのなら、最初から「街路樹は木材生産の場」と位置づければよいのだ。たとえば直径50センチ以上になったら伐りますよ、その木は木材として使いますよ、決めておく。そして都市を大径木広葉樹の貴重な生産の場として位置付ける。
……とまあ、そんなことを考えていたのであった。
それにしても……『都市林』のカバーにはラベルが張られている。「計画課」とあるが、どこか役所などの備品だったのだろうか。それを廃棄する際に古書として放出されたものかもしれない。どこだろうな。。。
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街路樹丸太を無償支給!太っ腹ですね。イチョウやケヤキは結構良い個体も多いし、異物混入だけリスクありますが、十分使えます。
街路樹銘木市開催!て感じで真っ当な有価物として取引される日がくると良いですね。都市部なら色々な視点で値付けしてくれそうですし…
投稿: なかの | 2024/05/02 00:23
神宮外苑のイチョウは、思い切り高く売ってほしい!
投稿: 田中淳夫 | 2024/05/02 08:28