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森と林業の本

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2024/06/17

「王子の森」はどこにある

録画していたテレビ番組を不真面目に見ていて、不意に「王子の森」という文言が映し出される。

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奈良には王寺町がある(^^;)。こんなに広くない。八王子でもなさそう。どこぞの王子様でもあるまい。

もちろん王子製紙(王子ホールディングス株式会社)のことだとわかったが、60万3000haとは。王子製紙は日本一の森林地主だが、たしか19万haぐらいと記憶していた。少し考えて、ああ、海外所有林もあったか、と気づく。そこで調べてみた。

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サイトを見ると、国内は18万8000haらしい。そして4割ほどを人工林化している。ごていねいにバイオマス発電所の位置までしるしてくれている。そして、海外所有林が、41万5000ヘクタール。

王子グループは、6ヶ国、10ヶ所で植林事業を展開しています。2022年度末の海外植林面積は279千haに及びます。また、生物多様性や流域保全を主目的とした環境保全林は136千haです。

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ブラジルが圧倒的だが、インドネシア、ニュージーランド、ベトナム、オーストラリア……6カ国とあるが、これに日本も足すのか?

王子グループの海外植林事業では、広葉樹のユーカリやアカシア、針葉樹のラジアータパインなどの早生樹を植林しています。また、ブラジルCENIBRA社では、長年にわたり林木育種を行っています。地道な人工交配によって得られた2万以上の個体から、約15種、類の成長量・パルプ生産特性が高い優良品種を選抜。同様に、インドネシアKTH社などでも林木育種を継続しています。各事業で開発した優良系統を植林することで、森林の成長量を高め、CO2吸収の促進を目指しています。

どんな森づくりなのか。写真があったので拝借。ブラジルの苗畑らしい。

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うむ。この元は、アマゾンのジャングルだったのか、それともセラード(サバンナ)だったのか。ユーカリ、アカシア、ラジアータ……。

悪いとは言わない。が、これでいいのか、という疑問はある。伐った木は一部は木材として使うだろうが、当然ながら製紙原料になる。炭素固定期間は何年か。それでも「CO2吸収の促進」だという。当然ながら合法的なのだろう。

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ちなみに、こちらはカナダの皆伐地。原生林を切り開いた跡だ。これは合法的である。なぜなら、跡地に植林されるから。むしろ天然林を人工林に換えることは、推奨されている。二酸化炭素の吸収がよくなるそうだ。伐った木材は木質ペレットにして燃やすのだけど。

こういうのは、グリーン・ウォッシュとは言わないのだろうね。言ったら、世界中の脱炭素政策が破綻する。机上の数字でも辻褄は合わない。でも……ネイチャー・ポジティブはどうする?

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