[絵葉書]管流しと台湾の巨木
かつて川を使って原木を運び出す場合、筏流しが行われたことはよく知られているが、その前に管流しがあった。
ようするに丸太をそのまま1本ずつ川に流す方法だ。そして下流で拾い上げる。ときに堰を築いて、貯めた水で一気に流すことも行われたらしい。筏を流すには河川の幅と水量が必要だし、途中でぶつからないように岩などを除く河川整備も必要となる。その点、管流しは簡単な方法なのだが、意外と画像では見たことがなかった。筏流しは画像・動画が残されているのに。
そこに友人のカメラマンが昔の絵葉書を発見。画像をいただいた。
山形県温海川の管流し風景らしい。なんと、バラバラで打ち上げられている。そうか、これを拾い集めるのも大変だろう。途中で折れたり丸太の表面も傷つくことも少なくないはずだ。
実は管流しの最中に、丸太を盗まれることもよくあったようだ。こうして予定外のところに打ち上げられたら勝手に盗む輩もいるだろう。どちらにしても、岸辺から運び出すのが大変だろうが。
もう一点。
こちらは台湾の阿里山の巨木。
ざっと直径5~6m。凄まじい巨木だ。土倉龍次郎が明治時代の阿里山で撮影した巨木林の写真でも、ここまで太いのはあまりない。
写っているのは伐採する人だろうか。とてつもなく長いノコギリを使っている。こういうのをドンドン伐ったのだろうな。
台湾の巨木林も見たいと思っているのだが、阿里山は伐り尽くしたらしい。検索してみると、巨木と言えるもので保護されているのは3,40本ぐらいしか残っていない。それも、写真ほど太いかどうか。
それにしても、戦前は今ほど写真機が普及していないだけに、一般人や現場で働く人自身が撮影するのは至難だ。それを記録するきっかけというか手段としては、絵葉書作成が担っていたのだと思わせる。
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山、木材に関して知識の豊富な田中さんのコメントは、大変勉強になります。いつも興味深く読ませていただいてします。
投稿: | 2024/06/23 09:09