木材輸出は日本の工法で?
ネットの建通新聞にこんな記事。
全国知事会は7月17日に開いた国産木材活用プロジェクトチーム会議で、国産木材の需要拡大に向けた2024年度の提言(案)を承認した。重点事項に木材などの輸出拡大を新たに位置付けた他、民間非住宅建築物の木造化・木質化の推進や建築士などの育成を引き続き盛り込んだ。
全国知事会ではこんなこともやってるのか。
だいたい木材輸出に国が関わるとはどういうことか。何か輸出に関して法令的な規制が関わっているから緩めてくれとかいうのならわかるが、どうもそうではないらしい。
新たに重点事項に位置付けた木材・木材製品の輸出拡大では、ジャパンブランドとして注目される木造軸組工法を海外に普及・促進するよう求める。
木造軸組工法がジャパンブランドというのもなんだかなぁ、なのだが、ようするに日本の家づくりの工法を、海外まで広げろというらしい。
余計なお世話ではないか。各国で自分の国ならではの家づくりの技術があるのに、日本の木材には日本の工法を、というのはいかがなものか。
鹿児島に日本木材住宅輸出協会とかいうのがあって、主に韓国への国産材輸出に取り組んでいたことを思い出す。ところが、どうにも売れない。なぜなら日本家屋と同じ規格の木材を出していたから。ようやく韓国規格に合わせて、少し売れた……という話を取材したことがある。
今回は、どこの国をめざしているのか知らないが、日本の木は日本の工法が一番、というのは思い上がりではないのか。1軒2軒と、物珍しさから日本的な建築物を建てることはあっても、それが普及するとは思えない。アメリカが日本にツーバイフォー工法を持ち込んで、ものすごい宣伝とごり押しをしてきたが、50年以上かけてツーバイフォー住宅は木造住宅のうちの2割以下ではないか。(アメリカでは9割がツーバイフォーで、これこそ正しい工法だ、と主張している。)
日本では、ツーバイフォーも仕様を変質させているし、国産材のツーバイフォーも増えて、アメリカが木材を売り込む目的はいつしか消えてしまった。
ここで日本も軸組工法を広めて、日本の木材を輸出しよう……としても失敗が目に見えている。仮に軸組工法が気に入られても、多分欧州材か米材で建てることになるんじゃないかな。
それにしても国に要望とは、なんとも情けない。ビジネスは民間でやりたまえ。国の金を使って日本的独善の家を広めようというのは、他人の褌で相撲を取ってズルして勝とうというのと変わるまい。郷に入っては郷に従えだろう。
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軸組工法は木材の豊富な国では昔からそれぞれの工夫で作られています。
ドイツや北欧の国々の古い木造建築物を図書で見るとなるほどと感心する工夫が見て取れます。ドイツの仕口の形など日本のものとよく似たものがあり、工夫をしていけば同じような形にたどり着くのだと感心します。
他国の工夫に感心することなく、日本の軸組工法が優れたものと思うのは、日本最高と思いたいだけでしかありません。
木材を利用の面から見ると、技術的な問題から丸太のままの利用、そして角材の利用、さらに製材技術が進歩するとランバー材へと移行するのが当然の動きです。ランバー材の利点は木材利用の歩留まりが良い、乾燥が容易であるなど優れています。柱が壁内部に隠れて角材の柱である必要性がないにも関わらず角材の柱を使い続ける意味がないのに、もはや技術の発展を無視していると言えます。
投稿: フジワラ | 2024/07/21 14:35
軸組工法の原理は世界中にありますからね。その中で、さまざまな技術・工夫が行われている。
消費者のニーズに合わせた商品を作るのはビジネスの基本なのだけど、木材業界は自分たちの都合に世界を合わせさせようとしている。
投稿: 田中淳夫 | 2024/07/21 23:19