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森と林業の本

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2024/07/12

「歴史の証人」と川上村の源流学園

下北山村からの帰り道、川上村を通るのだが、そこで目についたのは義務教育学校「かわかみ源流学園」。

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小中学校一貫の新たな教育組織だが、そこに保育園も加えている。ここに樹齢400年生の吉野杉を使ったことを以前記事にしたことがある。人が植えて育てた木としては日本最古級。「歴史の証人」として村のふるさと文化財に指定(ほか、林業遺産、日本遺産などに指定)している村有林だが、そのうちの1本をこの学校建設のために伐ったのだ。詳しくは、昨年の毎日新聞奈良県版を。

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なかなかの勇気である。ただ記事にしたときは、まだ建設中だからどんな様子になるのかわからなかった。そのことを思い出して、車をUターンさせて飛び込みで「見せてくれ」と頼む。アポなしでも融通してくれるのが、有り難い。

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エントランスにあるのが、「歴史の証人」の薄い断面。意外と細いと感じるかもしれないが、むしろ400年でこの細さということが年輪の詰まった吉野杉ならではである。しかも節がほとんど見つからない!

一つ一つを説明するのは無理だが、学校のイメージを覆す造りである。日本旅館みたい(笑)でもある。食堂もあって、全児童生徒は一緒に食事を摂るそうだ。とにかく、これら木質建材のすべてを村内で賄ったのだ。建設費は、折からの資材・人件費の高騰受けて、なんと25億円!!!

詳しくは、以下のサイトを参照のこと。

川上村立かわかみ源流学園 建設物語

建設事業の進捗

これだけの建物なのに、あまり内外に知られていないのは惜しい。教育関係や林業関係者もだが、できれば建設関係者に視察してもらいたい。ただし、何も構造がどうだとかデザインがどう、吉野杉は建材としてどう、と言ったことを聞くのではない。
たとえば公共建設物なのに村産材ばかりを使おうとすると、どんな仕組みが必要か。入札を通すと絶対に無理である。さらに敷地の関係から3階建てにするとどうか。保育園やこどもセンター、学童保育まで併設するにはいかなる法的条件と施設の構造的課題をクリアするべきか……などを聞き取ってほしい。また地域の人々を気軽に招ける仕組み。教師の確保や複式学級にしないための施策も重要になる。

ま、案内してもらいながら、そうした苦労話?愚痴?を聞くのも面白かったのだけどね(笑)。

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