法隆寺の古材が国宝……はて?
法隆寺に残された建築廃材が国宝に追加指定されるというニュース。
法隆寺金堂の大量の古材、国宝へ 60年超の調査完結、火災の教訓も
ようするに幾度か繰り返された法隆寺の修理の際に交換された建築材や戦後の火災で焼けた部分などが国宝になるのだそう。
詳しくは記事を読んでいただきたいが、廃材もとい古材も、全部調査してどこの何のための部材なのか履歴を調べ尽くした3284点は、国宝・法隆寺に加えるということである。
これを読んで、あれ?はて? と思った人もいるのてはないか。実は、この手の古材は意外と世間に出回っているから。
なにしろYahoo!オークションにもかかって売り出されている。
もちろん履歴などはあやふやで、偽物の可能性もあるけど。
しかし、もともと修理で交換した材は、世間に流通するものなのだ。寺が放出するのか、手がけた大工が役得として引き取っているのか。私自身も、アチコチで見ている。
知る中で古いのは北海道の探検家・松浦武四郎が晩年の明治時代に建てた「一畳敷」という書斎だろう。これは「木片勧進」と称して、全国の有名古刹から木材を集めて建てたもので、その中には法隆寺ほかの寺社の木材も使われていたはず。
写真は一畳敷のレプリカだが、現物の木材は、みな「勧進」で得たものだ。当時は手紙で「木片くれ!」と求めたら、意外と応えてくれたようだ。
さらに奈良県の吉野高校(現・奈良南高校)の林業博物館にもあった。
右が法隆寺。左は正倉院。
ほかにも法隆寺の古材を保管している施設はいくつかあるのだが、暴露は止めておこう(^_^) 。
結局、古材が国宝と言っても、実は木質に価値があるのではなく、履歴がわかるかどうかなのである。木材に価値を付けるのは、産地や成長過程、そして加工者……などのストーリーなのだな。
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