自動化するの、そこ?下刈り用ゴーグル
おもろい記事。
雑草に隠れた苗木の位置がわかった!林業に複合現実ゴーグル 「将来の自動化へ一歩」過酷な夏場の下刈りを効率化
ようするに下刈りする際に、肝心の苗木がどこにあるのかわからなくて、伐ってしまう事故を防ぐために、現実の風景にデジタル映像を重ねるゴーグルなんだそうだが……。
技術としては面白いのだが、やること、そこか? と思ってしまう。デジタル映像と現実を重ねる複合現実(MR)技術 なんて必要?将来の自動化ということは、この装置を下刈りロボットに装着するのか。しかし、AIでスギ苗と雑草を区別化すれば済むことではないか。こんな人が装着するゴーグルなんて作業に要らない。
私は、下刈りの際に苗木の場所を示すためには、植えるときに苗の周りにマルチしたらどうかと思っていた。たとえば苗木の周囲半径30センチ程度に厚紙を設置する。すると直径60センチに草が生えないから、苗木は成長しやすくて下刈りは減らせるし、雑草を下刈りする際もポッカリ穴ができたらわかりやすいだろう…。多少の手間は増えるが、ゴーグルするよりマシだし安くつくよ。さらにツリーシェルターの設置より楽のはず。紙は、その後土に還るから、除去の必要もない。…とまあ、庭の家庭菜園しながら考えていたのだが。
こうしたローテクを試さずして、なんでもデジタル技術を使いますか。
この事業。「林業の自動化や遠隔操作化に向けた試み 」「建築木材として使える立ち木が森林にどのくらいあるかを「デジタル在庫」として把握し、建築業者に提供する仕組みの構築を目指す林野庁のモデル事業の一環」と書かれてある。
こんな現実離れした研究しているのは、単に補助金があるからでみないのか。今は「デジタル技術を林業に!」とか言えば、補助金がもらえるから。金をばらまく対象、間違っているんじゃないか。
※ちなみに昨日Y!ニュースに書いた記事は、私の専門の「林業、農業、水産業、自然科学」から離れています、というクレームが(Yahoo!ニュース編集部から)入った。ええやないか。土倉政子のことを調べているのは、日本で私だけだぞ。私が書かずに誰が書く。
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自動化の背景には海外からの安い労働力を念頭に置いているのではないかと感じざるをえません。彼らは最初は文句も言わずに一生懸命働いてくれるでしょうが、生涯日本の森を守ってくれるのでしょうか?
それにしても、y!ニュースのクレームは「森林ジャーナリスト」として認められた証しなのでしょう。
おめでとうございます。🎉 ("⌒∇⌒")
投稿: Lago | 2024/07/24 01:14
この国は基本的に国家として機能していないと思われます。
一番の問題は国の政策に関わる人と金を無駄にしているシステムが存在します。
公務員の定員を減らし既存の予算を減らします。何か行政改革しているふりをして、その反面その穴埋めのため新たな仕事を増やし人員と予算を振り分けます。その結果は当然基本的な国の政策が疎かになり、どうでも良い仕事が幅を利かせ国は衰退するだけです。
その時代に流行っているフレーズでどうでも良い仕事を作り、そのかわりに大事な仕事を捨てていく。
今のこの国のあり方はどうしようもないスパイラルに落ちいこんでいます。もはや救いはないのでしょう。
投稿: フジワラ | 2024/07/24 07:41
私は草刈りが下手なので、果樹の周囲に厚め(4mm)のプラの畦板を丸めて置いています。高さ25cm・直径40cmの円柱になります。1枚300円弱かかりますが。
投稿: 金環蝕 | 2024/07/24 08:22
まさに、先に補助金ありきで、それをもらえる「研究」を企画しているのでしょうね。
研究とはある程度無駄な分野も含めて広くして、どこかにブレイクするーする要素を見つける面もあるのはわかるけど、これは「デジタル在庫」につながるとはとても思えない。
本来であれば、それを査定する仕組みが必要なんだろうけど、まず予算の消化ありきで、そもそも研究内容を精査する能力がないのでしょう。
一方で切実な研究や賃金などの補助には渋くて、なかなか出さないのだから……。
投稿: 田中淳夫 | 2024/07/24 09:00