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森と林業の本

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2024年8月

2024/08/31

台風一過?我が家の稔り

毎日台風10号の話題で、しかも毎日降るぞ降るぞ、吹くぞ吹くぞと予報が出ていた。

最初は奈良直撃だったのだが、それが九州にずれて迷走を始めてもずっとそう。もちろん九州のほか四国、紀伊半島南部はとてつもない雨が降ったし、関東でも大雨警報が出ている有様なのだが、生駒は全然なのである。

パラパラ降り始めたかと思うと、さっと止む。夜中に降っていたらしいのだが朝は晴れ間。結局は雨量はたいしたことなく風も目立った吹き方ではなかった。やはり生駒山の神様に守られている(^人^)のか、と思う次第である。
一応は、何かと災害対策に用意しておいたのに、まったく使うことなく、食料も減ることなく、毎日新鮮な食材を買いに行ける。

かくして我が家の損害はゼロと言いたいところなのだが……あったぞ。損害が。

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玄関前に落ちていた柿の木の枝と青い実。ほかにもいくつか実は落ちていた。それなりに風が吹いたのだろうか。

この柿の木は、昨年は全然稔らなかったのに今年はかなり豊作の気配だったのだが、さて台風の影響がどう出るか。

もう一つ、我が家の稔りといえば、ミカン。昨年は異常と言えるほどの豊作だったのだが、その木は今年はほとんと実をつけていない。やはり豊作の翌年は凶作? が、別のミカンが豊作の気配だ。

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この写真だけでいくつの実がついているでしょう。木全体では、ざっと100以上は目につくが……。

今年は野菜はほとんど全滅的な収穫だが、アジサイが咲き誇り、ミョウガは豊作、弱っていたマツは息を吹き返す、と何やら変化の目立つ庭であった。

2024/08/30

ベトナム・アカシア林の伐期

昨日、地球・人間環境フォーラム主催のオンラインセミナーに参加する。これまで、あまり報告例のないベトナムの森林事情について知りたかったからなのだが、いやはや。

ベトナムの森林・林業政策と日本の木質バイオマス発電

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ベトナム中部の伐採跡地と(背景の)アカシア植林地。

以前はカナダの原生林を伐採して木質ペレットにしている問題を取り上げた。この点は、記事にもしている。ただカナダ以上に木質ペレットの輸入先であるベトナム事情を十分に押さえていなかった。これまで推測としては、同じ東南アジアのタイやマレーシアなどの事情を勘案しながら想像していたのだ。

バイオマス発電が原生林を破壊する

が、予想は裏切られた。

細かな点は、リンク先を参考にしてもらえばよいが、ベトナムで現在進んでいるのは圧倒的にアカシア植林なのだ。(ユーカリでさえあまり多いわけではない。)そして人工林から供給される木材需要に対応している。原生林も多少は伐っているが、目立って多いわけではない。森林率は47%だそうだで、森林の約3割がこうした人工林になっている。また家具製造で世界的なシェアを取り始めているが、そこで使われる木素材は、多くが輸入。日本のスギやヒノキも輸出されている。

そうか、人工林から木材を調達しているのか。それなら再生可能かな。。。。

そう思わせておいて、仰天したのは育てる期間。つまり樹齢と伐期。

なんと3年~7年だという。写真で見える伐採された木の太さは多めに見積もっても10センチない。
いくらアカシアが早生樹と言っても、7年では太くはならない。

なぜなら、需要のほとんどが木質ペレットとチップだから。チップは基本的に製紙だろう。細くてもいいわけだ。なんでも木質チップは3年生からよいという。

そして伐っては植えて、伐っては植えて……を繰り返している。これって再造林をしっかりしているのだから、立派な循環型林業。 (゚o゚;)エッ

そこで何が起きているのという問題はさておき、私が感じたのは3年伐採の場合、これは林業なのか、という根本的ですごく素人感覚の疑問だ。

農業と言っても、収穫するまで3年以上かける作物はわりとある。コンニャクイモ(球茎)もそうだし、アスパラガスも芽が出るまで3年かかるという。果樹に至ってはさらに長い。モモクリ3年カキ8年、である。

もはや農業と林業の違いがわからない。いや循環型の意味がわからない。

 

 

2024/08/29

保護司制度の原点と林業

朝日新聞に、保護司制度の原点の記事が掲載されていた。

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保護司とは、刑に服した元犯罪者の社会的立ち直りを支える役職だが、大津市で保護司の男性が、担当した元受刑者に殺害される事件が起きて注目を集めた。そもそもボランティアで、こうした重要で難しい役に就いていることにさまさまな意見が出ているのだが、その原点を探ると、明治期の静岡県の実業家に行き着いた……というのだ。その実業家とは、金原明善。

金原明善。ご存じだろうか。天竜川の治水に尽力したことで知られるが、元々は農家(と言っても豪農)であったが、全財産を注ぎ込んで治水事業に取り組んだ。その治山の一環で林業も始めた。それが現在の天竜林業につながるのだから林業家と言ってもよい。

そして、その林業は、吉野の土倉庄三郎に教えを請うたことでも知られる。庄三郎も天竜を訪れたはずだが、川上村から林業技術を教えるために人を派遣し、彼は一家を上げて移住したという。

そのほか明善は、製材業や木材輸送業、さらに銀行も興している。その点では、森づくりと木材生産にこだわって、事業を広げなかった庄三郎との違いである。それは吉野にはすでに周辺産業が育っていたこと、天竜にはなかったことが関わってくるのだが……。

その明善が、「出獄人保護」の会社をつくっていたとは。出獄後の生活や仕事の斡旋などを行っていたらしい。

庄三郎に似た活動をしていたとは聞かないが、無職の人を林業に招き入れる提言をしていたと記憶する。

そういや奈良県では、元受刑者の仕事として林業を斡旋する事業を行っている。現在どうなっているのか知らないのだが、少なくても何人かが林業に就いているはずだ。強制するわけではないが、選択肢としてはよいと思う。農業、林業など自然の中の仕事は、誘惑が多い町の仕事より心を落ち着ける効果があるだろう。

 

2024/08/28

台風の目かドングリ発芽か

近くの森の遊歩道。

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数多くのドングリが落ちていた。これはイチイガシ?道路の一面、どんぐりだらけで、つい踏んでボリボリと砕いてしまう。残念、発芽できないだろう。

台風が近づいている、先週は奈良直撃コースと言われて、このまま来たら奈良県は台風の目の中に入りそうで、楽しみにしていたのだが、だんだん遠ざかってしまった。が、また向きを変えて近畿に縦断しそうになってきた。でも台風の中心は通らなさそう。それに早くから大雨が言われているが、今のところ雨風ともにたいしたことない。ドングリを落とす程度だ。

もう少しで熟したドングリに成るところだったのに惜しい。それにドングリが生育できるところに落ちる確率は低いようで、仮に土の上に落ちても虫に食われる可能性が高いだろう。

どんぐりが成長する確率は1%以下と聞くが、我が家が台風の目に入るよりは高いか(^^;)

自然界はわりと無駄が多いようだ。発芽しないドングリは、虫やイノシシの餌になるか、腐って土に還るか。むしろ、この無駄があるから自然は循環しているのかもしれないが。

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一方で舗装されていても、しっかりひび割れに種子が落ちたのか芽吹く雑草もある。この草が花を咲かせて種子を飛ばす確率は何%だろうか。

台風が過ぎたら、秋を呼び込んでくれると思いたい。

2024/08/27

フィリピンへの合板輸出

林野庁の8月のモクレポを見ていると、日本の木材輸出先は、中国が一番なのは想像どおりだが、2番手はフィリピンだった。

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フィリピンと言えば、かつての木材輸入先。南洋材の原点だ。ラワン材というのは、フィリピン産のフタバガキ科の樹木のことだ。マレーシア産の南洋材はメランティである。

その国にねえ。

ちょっと感慨深くなり、何を輸出しているのかと思えば、なんと合板であった。かつてのラワン材はほとんど合板にしていたのに、今度は日本産の合板(スギ材製だろう)を輸出するようになっているとは。

もっともフィリピンで日本製合板の需要が高いわけではなく、なんのことはない、その合板を住宅建材用に加工して、再び日本に輸出しているのだと。日本の住宅メーカーが現地の関連工場を彼の地に建設しており、そこに輸出しているのか。なお合板だけではなく、製材も同じことをしている模様。あまり感心しない加工貿易である。ここでも製造業の流出という「森のラストベルト」の臭いがする。

一方でフィリピンも、せめて合板そのものを製造するのではなく、合板を輸入してその加工とはちょっと寂しい。日本の農林水産物の輸出先第11位だそうだが、3分の1くらいが林産物なのだった。マレーシア、インドネシアが原木輸出から合板など製品輸出に転換を成功させたのに、フィリピンは上手くいかなかったらしい。

Photo_20240827163601日本の合板輸出先

ちなみにフィリピン製の木材は、せいぜいファルカタぐらいで、天然林は底をついているし、植林も進んでいない。ファルカタって、草じゃねえのか。。。。

フィリピン林業今昔物語であった。

 

 

2024/08/26

Y!ニュース「米不足!ウッドショックから見える…」を書いた裏側

Yahoo!ニュースに「米不足!ウッドショック絡み得る第一次産業の未来」を書きました。

前回に続いて駆け込み執筆。月2本のノルマ?は達したぞ。

もともと米不足というか米騒動については、別のYahoo!記事にコメントも付けたし、書こうかなという気持ちはあったのだが、あまり水稲農業だけの記事は気が進まなかった。

そこにウッドショックを絡めたら、農林業抱き合わせの第一次産業になることに気づき、執筆することに。
ついでに漁業も加えた。私の小学生時代だったか、漁獲量世界一からペルーに抜かれたことが教科書に載っていた記憶がある。ただしペルーはカタクチイワシばかりを肥料用に獲っていたから食料にしている日本とは違う、と弁解していた。

しかし、まあ無茶な操業をしていたものである。おかげで世界中の海から多くの魚種が枯渇しかけた。その点は林業も一緒で、戦中から戦後にかけて無茶苦茶な伐り方をして日本中をはげ山にしてしまった。一次産業にとって無計画操業は、将来に禍根を残すから恐い。

ただ、そうした時代は林業も漁業も沸き立って従事者が潤ったのは事実である。儲かる仕事には参入者も押し寄せる。

写真は、わざわざ生駒の棚田まで撮りにいったのだが、人(農家)が写っている方がよいかと、ライブラリーに頼った。

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2024/08/25

違法木材を飲み込む業界はどこだ?

以前、拙ブログでも紹介した、三木楽器の違法木材使用問題、詳しい裏側を描いた記事があった。

希少木材の密輸、競合他社のチンコロ…木材不正輸入で話題になった、中古楽器業界の「呆れた秩序」

なかなか面白い裏事情を紹介している。目利きの難しさもあれば、業界内の疑心暗鬼とライバルを刺す動きもある。

楽器をつくる工房は少ないし、それぞれが職人業を競っている。希少木材を使うこともブランド化には力を貸す。実際のところ、ハカランダを使えばどれほど音色がよくなる……という理由ではなく、希少木材を使うという行為自体が重要なのだろう。そして、そのためには違法木材にも手を出すわけだ。価格は一気に跳ね上がるから。ある意味、こうした木材価値を生み出す業界ほど、違法木材を使いたがるわけだが……。

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もう一つ、違法木材を飲み込む業界がある。こちらの方が、楽器より大きいかもしれない。

それは、ツキ板業界だ。

ツキ板は、木材を厚さ数ミリ以下まで薄くして、紙のようにしたもの。それを張れば下地がなんであろうが、そのツキ板の木材に見えてしまう。
集成材であろうが、合板、いや金属であろうがコンクリートであろうが、ツキ板の木材製に見える。

そして材料とする樹種は、スギやヒノキでもあるが、もっとも多いのは広葉樹材。色や木目・杢によって高く売れるかどうかが決まってくる。

木目命、だから、調達は非常にシビアだ。逆に言えば、よい木目の原料を手に入れるためなら、トレーサビリティとか合法性を問うてはいられない。極めてグレーな木材が出回っている。

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自動車もボディをツキ板で覆えば、木製自動車になる?

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東京の某高級ホテルの室内扉。一見、無垢の板のように見えるのだが、ツキ板だった。おかげで軽い。

さて、いつか追求される日が来るだろうか。それとも、見なかったことにするかな?

 

 

2024/08/24

土壌の厚さがわかれば森林の発達がわかる?

こんなのを見つけた。

全国スケールの山地土壌深度マップの作成にはじめて成功した  

土壌の深度を計れることに驚いたが、それをマップにするなんて。

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2005年以降の「林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業における土壌断面データ」というのがあることも驚き。これは、国連気候変動枠組条約に基づく森林吸収量の適切な報告のため実施されている調査であり、その一環として全国の約800地点で土壌断面調査が実施された、そうである。

私が土壌が気になる理由の一つは、土壌の厚さは森林の発達に大きな影響があるから。樹木の根は、基本的に土壌内しか伸びないからである。

2015年一年間限定の「土壌ジャーナリスト」を名乗っていた私としては、興味深い(^_^) 。当時は世界土壌年だったからだが、それなりに興味を持っているのである。

こんな記事も書いている。

今年は国際土壌年。だから土壌のスゴさを知ろう! 

で、実際の論文は読んでいない、というか読めない(^^;)。難しすぎる。

 

 

2024/08/23

宅地の境界線杭探し

日本の山林地の問題は、その境界線が明確化されていないことである。

とまあ、幾度も書いてきた。実際、日本の山間部の地籍調査はあまり進んでいないわけだが……その裏返しとして、宅地や農地などは比較的地籍調査が進んでいるので境界線が明確だと言える。都会の宅地の場合、境界線が数センチずれただけで裁判になったりもする。数センチも敷地の辺の長さ全体となると1平方メートルくらいの誤差となり、それを宅地価格に換算すれば何十万円になることもある。それだけに厳密だ。

その我が家に境界線調査の依頼が来た。

なんでも我が家の裏手に当たる宅地+一軒家が売りに出されており、そのための計測なのだそうだ。我が家とは3メートル程度接しているだけなのだが、確認しなければならないという。

住宅地は新興住宅地で造成した際に地籍調査は済んでいるのだからたいしたことはないだろうと思えた。事実、別の接地隣家では、少し土をかぶった部分を掘って杭を見つけたとのことである。場所は庭の奥の角。

その調査が本日あったのだが、立ち会ったものの簡単には見つからない。場所は地籍図に載っているものの、杭が出てこないのである。

そこで掘ることになった。おそらく、造成した土地の上に庭を造るための盛土をして埋めてしまったのだろうという。しかも隣家とは高低差があって、我が家は低い方だから、余計に深くなる。

かくして土木工事に(^_^) 。

ようやく見つかったのは1メートル以上掘ってからだった。

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こんな状態に。底にわずかにコンクリート杭が見える。これでは境界線を見るのは無理。

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杭の上に塩ビパイプを置いてみた。

終わってから測量士さんと雑談で、山林土地の境界線確定が大変なことは知っていたけど、宅地も甘くないねえ、という話に。

奈良県は全国でもワーストぐらいに地籍調査が遅れている。進捗率は13%でしかない。その理由は、地主・山主が調査を嫌がるから(^^;)。だって、調査の結果土地が増えたら固定資産税が膨れ上がるし、そうでなくても隣家との土地争いにつながるから。それで旧家は調査拒否する。

私の山林も調査どうしようかなあ。ちゃんと確定させておかないと、後々困るかも。でも、面倒くさい(-_-;)

 

 

2024/08/22

ノウサギは幻の動物?

先日、NHKで特集ドラマ「ダーウィンが行く!?」があった。

「ダーウィンが来た!」は、言わずと知れた動物ドキュメンタリーの長寿番組だが、その裏側をドラマ仕立てにしたものだ。

ドラマとしての出来は……(^^;)だが、ここで気になったのは、テーマが「野生の二ホンノウサギの撮影」であること。そこではノウサギの撮影は極めて難しく、幻の動物扱いだというのだ。なるほど、極めて臆病で夜行性のウサギだけに撮影は難しいだろうなあ、と思うものの、

へ? ノウサギが幻?

という気分。多分林業関係で山に入る人は、そこそこノウサギを目撃しているだろう。

私自身は、皆伐が増えて草原が増加している今は、ノウサギは増えているに違いないと思う。もともと林業の獣害ナンバーワンがノウサギだったのだから。今ではシカに置き換わっているが、ノウサギだって今後は害を増やすに違いない。

だいたい私もノウサギは時折目にしている。糞に足跡、そして本体も。いや、私の家の前にノウサギの糞が落ちていたことだってあるのだ。生駒山には、たくさんいるに違いない。昼間でも見かけるし。

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アスファルトの上に落ちていた糞。

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生駒山中で見かけた糞。

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矢田丘陵で見かけたノウサギ。

アチコチで見ている。そんなに見つからないのかね。

ちなみに番組では、高山に登って、ようやく発見して感動の撮影!ということにしている。生駒に撮影に来なさい(^_^) 。

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今後、ノウサギがシカと並んで獣害のメインになることがありませんように。

 

2024/08/21

Y!ニュース「CO2吸収力が強いのは、原生林より人工林!」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「CO2吸収力が強いのは、原生林より人工林!」を執筆しました。

ああ、今月は1本も書いていないな、コメントばかり付けてるな……と思って何か書こうと思い、こ難しいネタを持ってきたのだが……絶対にアクセス数伸びないよね(苦笑)。

ところで、久しぶりにYahoo!ニュースの編集画面を開いて書き出したら、何やら仕様が違う。

見た目は変わらないのに、こちらのキーボードで入力しようとすると違った反応が出るのだ。

たとえば記事の中に中見出しを入れようと思うと、全文がゴチックで巨大文字になってしまうとか、おかしなことばかり起こる。エンター押したら、最後列に飛ぶとか。書きにくいことおびただしい。何が悪いのか、何か訂正する方法があるのか、まだわからない。

ただ、Yahoo!ニュースから仕様を変えたという通知はこれまで幾度かあった。私は関係ないと無視していたのだが、もしかしてヘンな影響が出ているのではないか。やりにくくて仕方ない。

 

ちなみに本文に書かなかったけど、この記事の元ネタ研究発表は、東京大学と森林総研のホームページに掲載されている。

世界の森林の炭素吸収力は過去30年維持されてきた ―― 今後さらなる取り組みが必要:国際研究チームによる解析 ――

そこの注意書きに、こんなのがある。

クライメートスマートな森林施業
 温室効果ガスの削減へ貢献しながら、気候変動にも適応できるレジリエントな森林を目指す森林の利用方法。さらに、生物多様性など他の森林機能と調和しながら生産性の向上も持続可能的に目指します。現在欧州を中心に世界中でクライメートスマートな森林のあり方が研究されています。

クライメートスマートとは初耳だわ。気候変動に対応する林業ということ? 無理でしょ!

 

2024/08/20

庭に謎のブドウ

帰省していた娘が、家を出た際に「ブドウがある」と言い出した。

私は、先に自動車を出しに行っていたのだが、我が家にブドウは植えていないし、生えていないよ……と応えていた。

が、送って行った帰りによく見ると、本当だ、ブドウだ!

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いやあ、我が家にブドウが生えているわ。しかも実っている。房にはなっていないが、ちゃんとブドウの実が10以上付いていた。

このブドウ、なんという種類か。ヤマブドウには見えず、比較的実は大きい。いかにも園芸品種ぽい。実の色が薄緑と濃紫の2種類ある。食べられるか。まだ収穫は早いか。そもそも食べられるのか。

ブドウを植えた記憶はないし、こんなところにブドウの種子を飛ばした覚えもない。しかし、鳥が運んでくるとも思えないし……。

調べてみると、日本にはノブドウが自生しているそうだ。その中にも野生種と栽培種があるようだが、とにかく食べられるとある。粒の大きさは栽培種に近いが、どうだろう。

我が家の庭は、外来植物が多いと嘆いていたが、こんな種が入ってくるのは歓迎である。

2024/08/19

今年の米は不作か?

昨日、Yahoo!ニュースでコメントを付けたこの記事。

米どころ新潟、災害級の猛暑でコシヒカリの一等級比率が平年70%→昨年5%に 想定上回る温暖化、「新之助」は窮地を救えるか #食の現在地

私が米作についてコメント? と意外感を持たれた方もいるだろうが、私はYahoo!ニュースに「農林水産業、第1次産業のエキスパート」として登録されているのだよ。まあ、米について特別詳しいわけではないが(^^;)、植物のこととして扱うとともに、産業問題としても切り込める。このコメントに1700を超える「参考になった」が付いた。なかなかの数字である。

おかげで某雑誌から「米の不作について」というコメントを求められた。専門じゃないよ、と言いつつ、ほいほい応えるのが私である。

そのコメントがいかなるものか、それをどう使う気なのか、この際ドーデモよい。私は自分の名で何を書かれても気にしないから。どうせ、雑誌のコメントだ(笑)。

ただし、私の意図だけはこちらに記しておこう。

まず、上記の記事をよく読めばわかるが、米は不作ではない。そもそも扱っているのは昨年の事例。そしてタイトルにある通り、一等米が減ったことである。それを今年も酷暑だから不作だろう……と連想させているのにすぎない。

だが、私は今年は不作ではないと思っている。作柄予想も例年並だ。昨年の経験から、今年は農家も暑さ対策をして頑張っている。雨がよく降ったから、成長はいいのではないか。

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生駒山の棚田。よく実っている。

ただ今後の台風によってやられる水田が出るかもしれない。秋田県なども、すでに先日の台風でかなり被害が出ているそうだし。

いや、昨年だって不作ではなかった。単に米の質が落ちただけだ。一等米の量は減ったが、2等米はたいして減っていない。
今年、米が小売店の店頭から消えたのは、インバウンドで外国人の消費が大きかったからだろう。観光客は、日本人よりよく米を食う(笑)。たまたま需給が狂っただけ。米不足と米が不作は全然違うのである。

しかし、質の落ちた米は買取価格が下がる。肥料や燃料費は上がったのに価格が下がれば純益は落ちる。農家はやっていられない。また暑さ対策の新たな栽培法なんて言われても、手間が増えるのはイヤ。高齢化も進んでいるから、米作止~めた、という農家も出るだろう。

落ちたのは、量ではなく質なのだ。そして問題は、価格下落なのだ。

この構図は林家と一緒だ。木材は質が落ちたというより質の低い木材ばかりが求められるようになった。そして価格が落ちた。だったら林業なんかやってられるか! となるだろう。林政をころころ変えても、高齢化の進んだ林家は対応しきれない。米作と同じ構造だ。

なお農家の平均年齢は68歳に達しているから、あと10年もすれば大半が引退する。当然、米の生産量も落ちる。質も量も落ちる。この時に、米不足が陥るだろう。

……とまあ、そんなコメントをしたけど、果たして使われるかな? 不作じゃないんなら記事止~めた、かもしれない。

2024/08/18

コープと小水力発電所

生駒の生協に行ったら、壁に張ってあったチラシ。

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奈良生協は、奈良各地の再生可能エネルギーを購入してCO2の排出を減らしているらしい。

で、ちょっと驚いたのが、上部にある「Produced by 森のようちえんウィズ・ナチュラ」とあること。あら。こちらの森のようちえんについてはよく知っているが、プロディースとはどんな関係なのか。

そしてもう一つ。この奈良県の購入している電力の中に下北山村の小又側川水力発電所が入っていることだ。こちらも先日訪れたばかり。たしかにコープと提携していると書いてあったな。

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奈良には意外と小水力発電所がいくつもある。小水力と言っても、かなり水量の多い川を抱えているから、そこそこの規模だ。

私は、再生可能エネルギーの中では、水力発電にもっと注目すべきだと思っている。小水力はもっと増やせるはずだし、大水力?の発電所だって、発電量を増やせると睨んでいるから。

と言っても新たなダムをつくるのではなく、現在のダムの貯水量を増やすことだ。一つはたまった土砂を浚渫することで、もう一つはダムの高さの嵩上げだ。堰堤を1メートル高くするだけで、どれほど貯水が増えるか。

さらに現代的な気象予報を取り入れて安全放水基準を見直せば、治水用に放流する水量を抑えて発電に回せる。

とまあ、そんなことまで考えさせてくれるチラシであった。

2024/08/17

世界遺産の春日山原始林で涼む

暑い日に野外で一服の清涼感を味わうため、滝をめざそうと思った。すぐに思いつく気持ちよい滝は奈良県内なら吉野郡にあるのだが、さすがに遠い。片道2時間かけるのは辛い。一方で生駒山系にもたくさんあるのだが、あまりにも身近すぎて……。

というわけで選んだのが、春日山原始林の中の滝。春日山原始林は世界遺産の森である。帰省した娘を連れて、出かける。

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鶯ノ滝。ここは、奈良市内、それも都心部から車なら20分くらいの距離にも関わらず、穴場。知る人も少ないのではないか。それでいて、車ですぐ側まで行けるし、滝壺まで下りられる。落差は10メートル程度だが、下りたとたんに涼風が吹く。

これまで私が行った時はいつも無人だったが、さすがにお盆の休みだけに数人はいる(しかも外国人)。それでも、のんびりできた。

もう一つの穴場は、春日山石窟仏。森の中に眠る石窟仏で、平安時代に彫られたと見られるが、素性はよくわかっていない。

国宝になっている臼杵の石仏にも負けぬものと思っているが、こちらも春日山原始林の隠れた見どころの一つ。

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そして巨樹も多い。文字通り直径1メートル以上の木が林立している。

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なかなか見どころが多いのである。そもそも、世界遺産の森でもある。一般には世界遺産の森とは、白神山地や屋久島、知床、それに近年登録された小笠原諸島と奄美・琉球諸島と思われているが、実は第6の森。(ただし、世界自然遺産ではなくて、世界文化遺産扱いだけど。)

何よりそれが、都心から20分の距離であることが有り難い。

2024/08/16

『山が学校だった』に学ぶ

先日、逝去された辻谷達雄氏の自伝『山が学校だった』を懐かしく読み返していると、意外な発見がある。

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私は彼の半生(幼年時代から60歳代まで)を聞き取った記憶が生々しくあるが、実は後半は現代の林業論やら労働環境に関して話した部分が多くある。それを私が忘れていてどうする。

で、その部分に今につながる情報が多く含まれていることに改めて気づいたのだ。

地拵えや植林苗、下刈りの仕方で行った試行錯誤などは、現在の施業法にも参考になるはずだ。ほかにも山村問題や林業経営、森林のあり方、実に多岐にわたる。

ここでは獣害について触れている部分を紹介しよう。

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この本は、1990年代後半に取材・執筆している。つまり、今から約30年前の経験だ。その頃に、すでにクマが増えていることを指摘している。さらに鈴を鳴らしても逃げないことも。クマが人馴れして、鈴などの音をさせても逃げない、逆によってくることは最近になって言われだしたが、すでにこの時期にクマの行動になっていたのだ。


シカやカモシカ問題も同じだ。生息数が増えていることは、当時はまだ認められていなかった。実は私のところに増えているという声が届いていたのだが、半信半疑だったことを覚えている。

また天然のヒノキ苗が食べられないという指摘は、今後参考になるかもしれない。まずい苗をつくるのだ。それが遺伝子組み替えか薬剤散布か、方法はわからないが、生産の参考にできないか。

そのほか、辻谷さんの仕事勘や家族勘も、令和の世に合っているように感じる。就職も結婚も子供たちの自由意志に任せつつ、必要なアドバイスと引き際も心得ている。ああ、先進的な人だったんだなあ、と改めて再確認した次第である。

 

2024/08/15

盗伐は日本林業必敗の印

「いつでも元気」という機関誌(保健医療研究所)の巻頭言に、『盗伐 林業現場からの警鐘』執筆の裏事情的巻頭言を執筆した。

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この雑誌、依頼があった際に「盗伐の話は「いつでも元気」になれませんよ。」と私の方から忠告したほどなのだが、この医療雑誌の編集は全日本民医連であった。わりと政治的で、パレスチナとか能登半島地震など、政治の記事がいっぱい載っている。

実際、裏表紙には、こんな告知が。

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そうか、盗伐問題は日本林業の「失敗の研究」なのだ。そう理解できた。

林業界が衰退している、林政は失敗したとはいうけれど、目に見える形で「失敗」を説明するのは難しい。じりじり、崩れていることを知らねばならない。

そう言えば「虎に翼」に総力戦研究所が登場した。これは1940年に日米開戦を見越して総力戦の研究を行うために設立された機関だが、ありとあらゆる要素から研究しても、日本は必敗の結果が出ていた。当時の日本の頭脳が、日米戦は負けるという結論を出したのだ。にもかかわらず政治家は、とくに東條首相は、その研究結果を無視して開戦に踏み込み、見事に予想通りの展開で負けた。

日本の林業も同じ必敗の道を歩んでいるのではないか。

この記事で私は、盗伐問題を通して林業全体の根本的問題である遵法精神の欠如を指摘している。そして産業の体を成していないと記した。同時に『盗伐 林業現場からの警鐘』の宣伝もちゃっかりしている……という名文(笑)。

もし本気で日本の森のこと、林業のことを考えるなら、必敗の道から引き返せ、と訴えたい。

2024/08/14

怪しいユーカリ・ビジネス

このところ、ユーカリを植林する動きがよく目に止まる。

まずは兵庫県佐用町。ここは町が持て余している山林を購入する事業を行っているのだが、今度はそこにユーカリ植林を計画している。早生樹だから20年ぐらいで建材や燃料にできるというのだ。それに対して疑問視する住民運動も始まっている。

ユーカリ植樹に賛否 町の狙いは『放置される森林を買い取り...早く育つユーカリ植えて建材や燃料に』

次に島根県浜田市にも同じような計画が表沙汰になった。

ほかにも千葉県でも動き出している。

Photo_20240813103301ユーカリ

仕掛け人は誰なのか。佐用町や浜田市を探ると㈱ジャパンインベストメントアドバイザーという会社が登場する。もともと飛行機や船などのオペレーティングの会社だというのだが、再生可能エネルギービジネスにも進出しており、太陽光発電を始めている。その次にバイオマス発電の展開を考えているようだ。ただし輸入燃料だと何かと叩かれるので、国内で燃料を調達しようという発想らしい。

中四国に於けるユーカリを活用した
エネルギーの森実証事業

千葉県で計画している㈱エコグリーン・ホールディングスは、ようするに産廃業者がバイオマス発電に乗りだした口か。

しかし、その後ろに透けて見えるのが、東京農工大学だ。ユーカリを研究していたらしい。さらにNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)もチラホラと見え隠れ。どこが仕掛けたのかはともかく、多額の補助金ビジネスになる!と睨んで流れ込んできたのではないか。

しかし、ユーカリとはねえ。外来種そのものなのに、日本の気候に合う品種を選び出しているというのだが。早く育つという点では、コウヨウザンなどと変わらないが、昔のヒーロー(だけど、不祥事で引退した)をもう一度引っ張りだしたような印象

 

ユーカリといえば、かつては悪魔の木として批判されたものだ。その場合の舞台は、主に東南アジア。

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タイではユーカリを植えて大変なことになった、水はなくなる、動植物は生えなくなる、住民は飢える……とされたのだ。あのころは反ユーカリ学者と反ユーカリ運動家が輩出?したものである。

私は、当時この手の話も信用できずに調べたのだが、ほとんど濡れ衣みたいなものだった。水を吸い上げるのは普通の樹木と一緒(成長が早いだけ多いが、それは在来種と同じ)で、他の動植物を忌避させるアレロパシーだって、たいして強くない。見慣れぬ樹木に当惑したタイの農民の気持ちはわかるが、ユーカリを敵視しても仕方がない。
ただし、東南アジアの伐採跡地にユーカリを植えることが正しいとは思わない。とりあえずの緑化になったとしても、その後在来樹種の森に変えていく必要がある。外来種であり生態系を乱すことは紛れもない事実だからだ。しかし、今も東南アジアには植えられている。それはアカシアなども同じである。

ただ、ユーカリ植林は下火だ。伐採跡地にはユーカリよりアブラヤシを植えるようになったのではなかろうか。ともあれ、時とともに日本では話題に上がらなくなった。反ユーカリから反アブラヤシに転換した学者や運動家も多いはずだ。

そんな古い役者を、今度は日本の舞台に引っ張りだしたわけか。しかも振り付けは、再生可能エネルギー。メチャクチャ、うさん臭い(笑)。

東南アジアに植えられたのは、フタバガキ科の伐採跡地を早く緑化することと、その後製紙原料など金になる木材を得るためだった。
だが、今回の日本では補助金目当てのように思えてならない。どうせ国が莫大な補助金を用意しているだろう。林業再生とか、脱炭素名目が使えるからだ。
しかし早生樹と言っても収穫まで15~20年もかかるのだ。バイオマス発電業者が、20年後の燃料にする木材を育てるなんて悠長な話に乗るわけがない。その頃にはFIT(期限は20年)も切れて、電力買取価格は下がり儲からなくなるからだ。事業から撤退しているに違いない。製紙原料にするにしても、価格は低いまま。ユーカリ建材はどこまで使えるか。

いや、そもそもユーカリは日本で真っ当に育つのか。育てば生態系を狂わさないか。検証はまだ行われていない。

 

 

2024/08/13

ウェッジon lineに、「森のラストベルト」記事を執筆

Wedge on lineに「日本でも広がる「森のラストベルト」日本とアメリカで起こる怨恨の実態、もう一つの分断」を執筆しました。

このところWedgeには月イチで執筆しているが、こちらはYahoo!ニュースとは違って、森林・林業に縛られず多様な記事を手がけるようにしている(もちろん林業記事も含む)。

これまでなら、盗伐多発、都会に野生動物、アジサイ・ビジネス、樹木葬……と来て、今度はアメリカ大統領選挙!

いや大統領選挙を直接論じたわけじゃないけど、その背景の一つを紹介したわけだ。それが「森のラストベルト」。アメリカ中西部の「さびた工業地帯」の動向が選挙結果を左右すると言われている。そこにもう一つのラストベルト。

そして、この問題は日本にも跳ね返ってくる。森林を多く抱える自治体ほど、過疎が進み経済格差が開くという現実。日本の場合は、治安悪化ではなく、人口減少が極端に進み自治体消滅危機が指摘されている。

まず空き家が増える。立派な邸宅だったようなのだが、今や草ぼうぼうで崩れ落ちかけている。それと、奇妙な廃墟が目立つ。それは地域起こし・地方創生を旗印につくられた観光施設だ。ドライブインや温泉など多数あるが、上手く観光客を招いて賑わっているところは少なく、数年後には廃墟になるケースが多い。最近では「道の駅」もそうだ。さすがに國の補助金を多数投入してつくった「道の駅」は簡単に閉じられないが、トイレと駐車スペース以外は使えないようなところが出ている。土産物販売や観光案内が成り立たないのだ。

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「森のラストベルト」は、今後日本でも大きな問題になるだろう。

2024/08/12

10代目木製腕時計

つい買ってしまった。最近、衝動買いが多い。

木製腕時計である。

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私の腕時計の歴史はこんなもん。

9代目木製腕時計に挑戦!

が、末路はこうなった。

木製時計の最後

これが今年3月だから、5カ月後、また買ってしまったのだ。
今回は、シンプルというか派手さは押さえて黒木の時計。ただデザインを変えようと、ストップウォッチ機能の秒針つき。なんで3つもあるの?
なおメーカーのBOBObirdは、中国メーカーらしいが、日本に総代理店を設けていると書いてあった。これまでの中国製バッタモンよりは、大手なのかも。

金属併用の8代目は健在だが、やはり重いのだ。春から今まで使ってきたが、夏に入って手首に重さが意識されるので、つい軽い木製を望んでしまった。

今のところよい。肌の触感もよいし、なんたって軽い。狂わない。ただ……まだ不平が出てしまうのだが、このストップウォッチの秒針が邪魔で、分針が見ずらい(^^;)。また防水を謳っているが、腕にしたまま手を洗うと、なんかガラス面が濁る。。。何かと文句が出るものである。

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ただ価格は、半額セールのときでAmazonのポイント使ったら4000円に届かなかった。多少長く使えたら損はしない。

2024/08/11

辻谷達雄さんのこと

昨夜、川上村の辻谷達雄さんが亡くなった知らせを受けた。享年91歳。

昨年お会いしたときは、足は多少弱っていたが、元気そのもので頭もしっかりされていたので、安心していたのだが……。

私が森林ジャーナリストを名乗って活動する中で、もっとも世話になった人を上げると、辻谷さんが筆頭である。
フリーになって森林のこと林業のことを本に書くぞと決めて、まず訪問したのが川上村だった。ここで林業、とくに吉野林業について学ぼうと思ったからである。そして役場で紹介されたのが辻谷さんだった。

それから月イチくらいで村に通って林業の一連の作業を経験した。最初の頃は村に前日に入って泊まり掛けだったが、やがて朝4時に家を出て6時に着くようにした。それから山に登る。それで地拵え、植林、下刈り、徐伐、枝打ち、間伐……そして230年生のスギの伐採まで体験(および見学)させていただいた。

一応、取材でありどの作業も真面目に取り組んだのだが、それが評価されたようだ。これまで体験で来た人は、たいてい途中で逃げ出す……と言われたものだ。

体験だけでなく、その過程で辻谷さんのヤマツ産業の皆さんにさまざまな林業についての理論と考え方を学んだ。それが私のバックボーンになっているのは間違いない。辻谷さんだけでなく、誰に聞いてもズバリ本質的な答が返ってくる。正直に言って、ほかの林業地でそんなことはない。

それらの体験と勉強を元に『「森を守れ」が森を殺す!』を出版。これが森林ジャーナリストのスタートだった。

その後、つじたにさんの半生記を執筆する仕事も行った。それが『山が学校だった』である。この本の執筆のために幾度も辻谷さんの元に通い、ときに泊めていただいたりしながら人生を聞いた。

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出版が1998年だから、今から26年前、取材時は27年前になるか。ここで聞いた辻谷さんの人生が吉野林業の理解に大きくつながる。

後の土倉庄三郎についての執筆にも影響を与えた。土倉庄三郎について理解するためには、林業とくに吉野林業について理解していなくてはならないし、さらに川上村を理解していないと書けない。つまり、辻谷さんとの関係がなかったら、『山林王』は書けなかったわけである。

ちなみに私は、人物論は手がけないと決めていたのだが、『山林王』などはそれを破って初めて書いた伝記……と思っていた。が、その前に辻谷さんの半生を描いていたのであった。

でも、書き上げたとき辻谷さんは60歳過ぎ。今の私より若いのではないか(゚д゚)。。。

その後、林業現場を離れて森林環境教育に取り組む中で、続編を書く企画もあったのだが、なんとなく流れてしまった。その時のタイトルは『山が病院だった』にしようとか言って笑っていた。

まだ昨日の今日で、これまでの記憶がまとまらない。合掌。

2024/08/10

山中の地蔵菩薩の花

京も暑いので、出歩く。今日は軽く山の遊歩道を歩いた程度だが、その一角で見たもの。

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お地蔵様があったのだが、そこに花が活けてあった。まだ新しい。たまたま? お盆前だから? だけど、いつも花が活けてあるのだ。

ちなみに場所は、山中の遊歩道だから、車では来れないし、もっとも近い市街地からも数百メートル、普通に遊歩道を歩いてここまで来ようとしたらもっと歩かねばならない。多少の登り下りもあるから、そんなに気軽に来れるほど近いところではないのだ。
活ける花もおそらく購入しているとしたら、そんなに安くはない。

ここ一カ所だけではなく、生駒山系・矢田丘陵には、各地に地蔵菩薩像があるのだが、たいてい花が活けられている。

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こちらはニギハヤヒのミコトの墓とされる。神武天皇の大和侵略と多少関係があるのだが、その伝承はともかく、ここの墓もたいてい花が活けられている。こちらも森の中をそこそこ歩かねばたどり着けない。

誰が、といっても一人ではなく、多くの人か行っているのだろう。そうした地域に根ざした信仰を感じる。別の宗教というのではなく、お供えをして、手を合わすのが習慣として今も残っている。それが森の中という点も、私的には意味を感じる。

私も、このあと、近くのお寺に参拝した。

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夏の日差しと緑が美しい。

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ここの御本尊は、岩に掘られた磨崖仏。十一面観音と不動明王だそうで、建武三年の刻印があるという。建武の新政、後醍醐天皇の時代だ!

2024/08/09

戦艦大和の砲弾

ちょっと捜し物をしていて、古いアルバムを開いたら、目的の写真はなかったのだけど、こんなものを発見。

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多分、中学1年生頃だわ。撮影したのは、下関市の火の山。名前はスゴイのだが、山頂には家族連れが遊びに行くような公園が広がっている。

見てほしいのは、私が手を置いている代物。

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これは何かわかるだろうか。砲弾だ。ただの砲弾ではなく、戦艦大和の主砲46センチ砲の砲弾である。それが飾られていた。海から引き上げられたものらしい。この山は、関門海峡を見下ろす位置にあるから、かつては重要な軍事拠点だった。関門海峡は九州と本州を分けるうえ、瀬戸内海へと入る狭い海峡だから、ここを押さえることは攻める側にも守る側にも、軍事的に重要なのである。だから下関と門司には、要塞が築かれていた。この山にも数々の弾薬庫や砲台跡があり、戦跡だらけであった。

そういや幕末の下関戦争では、長州は海峡を通る列強の船を砲撃したことで始まり、反撃を受けてあっさりイギリス・オランダ、フランス、アメリカの連合国に破れて下関を占領されている。

さて、この大和の砲弾は、射程距離が40キロ以上もあった。対艦船攻撃には強力なのだろうが、航空戦の前にはまったく役立たずであった。それに命中率の悪さ。どんなに練度が高くても、当たる確率は数%なのだ。
だいたい、この主砲をぶっ放すと、副砲や対空砲火などほかの砲撃が全部ストップしてしまうという構造で、それを知ったミリオタだった当時の私は唖然としたのであった。さらに艦内電話が、すぐ不通になって困ったという証言があり……そんな欠陥だらけの戦艦……ヾ(- -;)

写真を拡大してみた。碑の文は、読めそうで読めない。今もあるのだろうか。

先日、NHKEテレで、戦艦大和の艦内で撮られた貴重な写真のドキュメンタリーをやっていた。それを見た直後にこの写真を発見して、遠い昔の記憶が蘇ったのは暑い夏の日だからだろうか。

ETV特集
戦艦大和 封印された写真

 

2024/08/08

女性誌の林業記事も捨てたもんじゃない

ネットにあったこんな記事。

「日本の森林について正しく知るための12の質問」とある。こんな記事は、素人向きに書かれているから、間違えていたり端折りすぎ! なことが多いんだよな。そんな記事にツッこんでブログ記事を書こうか、と思ったかどうかはともかく(^^;)、読んでみて驚いた。なかなか鋭く的確な記述ではないか。
国産木材=高いというイメージになるかもしれませんが、日本の立木(山に立っている状態の木)の価格は下落しています。……「国産材は高い」と言われる時の“材”とは、製材後の木材やそれを使った製品のこと。
さらに林業の作業の分業化が進んでいること。その問題点。徐伐、間伐、択伐、主伐、皆伐などの言葉の説明もよい。(多少、解釈的には異論もあるが。)そして驚いたのは、択伐をかつての主流としていること。
「皆伐」は、育ったすべての木を伐採すること。主伐に含まれますが、一斉に伐採して区画を更地にする意味合いが強くなります。それとは対照的な主伐方法が「択伐」で、かつて日本で主流だった伐採方法です。
この点をはっきり記した記事は、林業系の専門誌でもあまり目にしない。いわゆる伝統的林業地では、択伐やってたんだよ。
「択伐」に求められるのは経験と知識。伐採量の見極めや樹齢の違う木々をバランスよく育てるノウハウ、伐採後の丸太を木々の間を抜けて運び出す方法など、高い技術と資金が必要で、かつての日本の林業は世界的に見ても極めて高度な技術力を持っていました。
だいたい動力のない時代、皆伐するのは無理だった。せいぜい狭い小規模皆伐まで。また現在は択伐をあまりしないのは、高度な技術力を持った林業家が減ったことも暗に臭わせている。
だれが書いたのかね、と思って見ると、「FRaU編集部」とある。それで、ははん、と気づいた。
女性誌の「FRaU」8月号の抜粋だ。
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これ、広告で見て、表紙に引き寄せられて(^^;)、買おうかなと書店に行って探したのだ。しかし、何軒か回って見つからなかったので諦めたのである。その記事か。見た目以上にしっかりした内容のようである。実際、目次にも惹かれる項目が多い。(目次はAmazon等に飛べば読める。)

今からでもAmazonで購入する? それとも、こうしてネットで抜粋記事が読めたから、もういい? 表紙はこの画像だけ取り込んでおけば満足できるか(⌒ー⌒)。



2024/08/07

上毛新聞~群馬で吉野林業の宣伝(^_^) 。

群馬県の上毛新聞の取材を受けた。

テーマは花粉症。なのだが、私が聞かれたのは『絶望の林業』(笑)。森林に関するオールラウンドライターを自認する私としては、花粉症についても話したのだけどね。

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それが7月31日、8月1日と2回に渡って掲載された。ちょっと画像は小さいが、読めるものなら読んでいただきたい。ネットにもアップされているが、後半は有料。

《共存・克服・花粉症》第2章 シン・山林論(7) 国内林業、補助金頼り 

記事の2回目は、若干、希望の林業になっている(^_^) 。
私としては、奈良県の事例を紹介している点が、宣伝になっているので喜ばしい。(写真下)

ちなみに、この「花粉症の連載」記事は、6月から続いていて、その一覧を目にすると、花粉症を通して日本林業の現状を追いかける構成になっている。「シン・山林論」と打っているが、タイトルと出だし部分を読むだけで面白い。地方紙だが、群馬県にとどまらず取材をしている。

都市部では、林業に対する関心がどんどん薄れていると感じている中、地方ではむしろ見直しが進んでいるのではないか。ここでも意識の格差が広がっているように思う。

 

2024/08/06

ニカラグアの画家を探せ!

日経平均株価が歴史的暴落……なんとなく、楽しい(笑)。

私も投信ぐらいはやっているので損をしたはずだが、投資は長期、分散が基本であるからジタバタしない(と、わかった風を装う)。

実は、今回の暴落の前にあったブラックマンデーを私は経験している。1987年10月、私は株式担当記者だったのだ。じっとテレビ画面の取引所を眺めながら記事を書いていたのである。野村證券などに電話して、付け刃の経済知識とわかった風の株式用語を操りつつ記事にして書いていた記憶がある。ちなみに、その時も楽しかった記憶が(^^;)ワハハ。
なお翌日の爆上がりも記憶にある。

さて、その翌年の1988年8月、私はニカラグアを旅した。当時、ソモサ独裁政権が倒れてサンディニスタ革命政権が樹立され、それにたいしてアメリカがコントラと呼ばれる抵抗勢力による低強度戦争(じわじわ損害を出させて国力を削ぐ戦争)を仕掛けて……といった時代だった。その頃のオルテガ大統領は、格好良かった。今は独裁者になってしまったが……。

当時、ニカラグラで行われていた文化行事として、庶民による芸術運動があった。農民などが詩作や音楽、そして絵画を描くのである。とくに絵画は素朴画(プリミティブ・アート)と呼ばれて一世を風靡していた。ヘタウマというのか、個々の伎倆は高くないが、味のある、そして熱量のこもった絵画作品が多数あった。

そこで面会した文化事業局で買わされた(^^;)のが、この作品。

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この件は、昨年の8月15日にも記していた。

ニカラグアの素朴画

実は、ここから。上記のニカラグアの素朴画を額装して壁にかけようと思って気になりだした。

そこで作家の素性を探り出した。ニカラグアの農民画家の作品である。運動がたくさんの画家を輩出したとは聞いているが、その中の一人であり、おそらく無名だろう。しかも今から36年前の話だから、現在はどうしているか。制作活動を続けているのか、生きているのか。それさえわからない。

それでも、絵の中のサインを解読して、ニカラグアの絵画に関して検索を繰り返す。そして似た画風の絵をネットの中から探す。

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見つかった。この絵は、画風がそっくりだ。ラテンアメリカ的な町と祭りで賑わう様子、そして火山と海。

作者は、カルロス・マレンコ。生きていたんだ(^^;)。しかも、絵が上手くなり、オークションに出品されているのだからプロ化したのか。

何よりビックリなのは、その価格。1000ユーロ、3000ユーロといった値段が付いている。数十万円するのだ。爆上がりだ。

私の購入したのは、まだ習作の時代のものかもしれないが、価値が高まったかもしれないぞ。10倍以上の価格で売れるだろう。売らないけど。

2024/08/05

再生可能エネルギーへの逆風とバイオマス白書2024

言うまでもないが、昨日、私が歩いた山は生駒山系のメガソーラー建設予定地である。現在裁判係争中であるが、工事差し止め仮処分申請は却下されたので、本裁判の判決待ちの状態だ。おそらく今夏~9月には出るだろう。

私は『盗伐 林業現場からの警鐘』の取材で警察、検察、として裁判といった司法の現場に降れた感触からすると、決して期待できる状況ではない。どんな証拠を突きつけても、結局は担当する司法関係者の胸先三寸なのである。何を捜査対象にするか、立件するかしないか……といった警察や検察の判断から始まり、裁判も解釈で180度違った判決を出すことも可能な実態を知れば、さてどうなるか。「判断」「判決」は個人の人間が出す。その思想信条に引きずられる。

そもそも小難しい理系的な数値で説明した意見書を出しても文系の判事は読めない(-_-;)。いや、読まないのかな。自分の感覚でどっちに有利な判決を出すか決めている(としか思えない事例が多数)。最初に判決ありきで、理屈は後からこねる。

できれば拙著『盗伐』は、林業本ではなくて、司法関係の現場事例として読んでほしいと思っている。

さて、 本題。

地球沸騰化と言われる中、主要な温暖化ガスであるCO2の排出は何がなんでも減らさねばならない。もうすぐ1・5度上昇というティッピングポイント(後戻りできない地点)に達すれば、気候変動は振り幅を拡大させて予測もできないレベルに達するだろう。ちなみに私は、すでにティッピングポイントに達したのではないかと疑っているが。

ところが、その手段である化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーと呼ばれるCO2を出さないエネルギー源を増やす政策は、逆風にさらされている。主に太陽光発電(メガソーラー)、風力発電、バイオマス発電には反対運動が広がっている。

ある意味、やりすぎた反動だろう。窮屈な脱炭素の動きに嫌気爆発といった状態だ。アメリカのトランプ前大統領的メンタリティの人がどんどん増えている。パリオリンピックでも、肉の少ない料理に不満が出ているのと似た感じ(笑)。

私自身は、森林を破壊するメガソーラー、風力などは反対だが、建築物などの屋上や壁面を利用したメガソーラーや洋上風力は容認している。もちろん、景観破壊や低周波の発生、鳥被害など問題があるのはわかるが、それらを低減させつつ実施するべきだと思っている。この際、景観などは犠牲にしても仕方なく、何より気候変動を止めてほしい。

が,バイオマスエネルギーだけは、廃材利用などによる小規模な熱利用以外は、とくに発電は完全に廃止すべきだ。理論的にもCO2排出を減らせない、むしろ増やすことが一目瞭然だからだ。

そこで出ました、バイオマス白書2024

Foe-japan

そして日本のバイオマスの中身。

Pks

じっくり読んで、今後のあり方を思索する。

2024/08/04

「暑い夏」の山を歩く

本日も、「危険な暑さ」だそうだ。連日、そう天気予報で言われたら出歩かざるを得ないじゃないか……。

というわけで、また山歩きをしてきた。ただ、これまでも出かけたと言いつつ、実は森の中を歩いて涼しい!と喜んでいるだけだったので、今回は趣向を凝らす。この山なら「この世の暑さ」を感じられるだろう。もちろん生駒山の一角である。

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登り口は、これまでとそんなに変わらない。ただ、空が広い……。

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いきなり森を切り開いた残材。なかなか立派なヒノキもある。が、支障木扱いだろう。バイオマス燃料になるかも。

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花崗岩が随分掘り起こされたようだが、その塊を砕いている。

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山を切り崩して地形も改変したようだ。

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こちらも同じ。ただ、かなり広がっている。以前より奥まで切り開いたか。

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巨大な造成地の中に、ポツンと立つ煙突ぽいのがいくつかあった。埋め立て地ならガス抜きということもあるが……。これは調整池を建設する場所なのかもしれない。メタンガスが発生するのか?

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一番上まで登る。地平線が見えそうだ。
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ここからは以前の山道が残っていた。元の里道はかなり破壊されているが、この奥に湿原があるのだが、そこまでたどり着く前に体力・気力が削り取られた思いだ。ここでUターンする。
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別ルートで下りる。ここの山は、かなり岩を削り山を平坦地にするつもりのよう。

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よく見ると、滝ができている。造成地に水が流れて、この崖から落ちているよう。
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調整池建設現場。地質は風化花崗岩というところか。わりと頑丈につくっているように見えるが、土砂ですぐに埋まりそう。

かんかん照りの中を歩いて、炎熱の夏を感じたぜ。人間の力は。“偉大”だなあ。山を崩して地形も改変してしまうのだから。クラクラするよ。暑さにやられただけでなく……。

下った頃から空がゴロゴロ言い出して、雨粒が落ちだした。降れ! 豪雨になれ! 土石流を発生させて、何もかも流してしまえ!

2024/08/03

平城宮跡の大極殿の柱は太る?

平城宮跡歴史記念公園には大極殿が復原されているが、それは第一次大極殿。

実は、一度遷都してからもどってきて作り直した第二次大極殿もある。こちらは復原されていないが、柱のあった跡を植木で示している。

 2-2こんな感じ。

しかし、最近、その柱が太ってきたように思う。。。

2-1

直径80センチ級が、1メートルを超えたような雰囲気。ただし、ぶよぶよ。まずいんじゃないか(笑)。しっかり引き締めてほしい。

柱や土台にした木が成長する建築はできないものかなあ。。。

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2024/08/02

滝行で足を冷やす

今日の奈良は、39.9度に達し、歴代一位の気温を記録した。酷暑にいかに耐えるか……と考えたら、頭に浮かんだのが「足を冷たい沢の水に浸けたい!」だった。

さっそく、自宅から足を浸けられる沢のある場所を脳内検索する。北に向かうか南に向かうか、いや東だ西だ……車で30分圏内であるべきだし、静かなところ、できたら森の中……と条件をつけていると、4つ5つ浮かぶ。そのうち行きやすいのはどこか。車で向かっても、下りてから山登りになるのはかなわない。駐車スペースがある場所で、そこから近いところはどこだ?

まず思いついたところに向かう。森林公園の中だ。

ところが、なんと先客がいるではないか。ちょっとイメージと違う。他人がいると落ち着かない。しかも水の量が少なめで砂もたまっている、沢の場所に木陰がなくて暑い……とよろしくなかった。多少は足を浸けたが、やめておいた。

今日はリベンジ。思いついた。あそこならさして歩かず、確実に沢がある!

と、向かったのがここ。

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滝行もできる場所(^^;)。でも、涼しい。冷風が吹き抜ける。水は冷たい。水もきれい。人がいない。歩いたのは100メートルもない。最高だ。

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ほお~と惚ける。これ、いいなあ。これから毎日アチコチで“滝行”して回ろうか。

 

 

2024/08/01

「恐怖の生態学」覚書

なにやら煽り気味?のタイトルをつけたが、この「恐怖の生態学」は、現在の野生動物生態研究で、わりと注目されている理論である。

これまで野生動物の行動は、餌と天敵(捕食動物や人間の駆除など)、それに繁殖相手を軸に論じられることが多かった。

そこに捕食されなくてもいるだけで怖い(笑)存在も、行動に影響を与えるという観点も必要だろうとなってきた。

ネイチャーブリーフィング
大型肉食動物への恐怖は有蹄類の生息地利用と関連している:二因子実験からの証拠

大型肉食動物が大型有蹄動物に与える恐怖は、食物連鎖を通じて連鎖的に影響を及ぼすと主張されてきた。しかし、有蹄動物の生息地利用と大型肉食動物への恐怖との直接的な関連は、実験的に検証されたことがない。この重大なギャップを埋めるため、我々はアフリカのサバンナで二因子実験を行った。実験的に伐採した場所と低木のある対照地の両方で、低木を取り除いて、大型肉食動物の鳴き声(ヒョウ、ハイエナ、イヌ)または脅威のない対照の鳴き声を流した。我々は、複数の獲物(インパラ、イボイノシシ、ニャラ、ブッシュバック)の積極的反応(訪問頻度)と受動的反応(逃走または警戒)を記録した。重要なことに、我々は有意な積極的反応と受動的反応の相互作用を発見した。

私は、まだ生半可にしかかじっていないのだが、クマやイノシシ、シカなどの野生動物の獣害対策に考えるべき重要なファクターになるのではないか、と思っている。

ごくごく簡単に論じれば、シカやウサギなどの動物は、肉食系の天敵となる動物が存在していることで、自然界で恐怖を味わい、それが行動に一定の影響を与えているのではないか、という発想だ。同じくクマやイノシシなども、人間がウロウロしていると警戒して出没が減るかもしれない。

だから山の中で人がワイワイ騒いでいたり、しょっちゅう銃をぶっ放していたら、怖いから逃げる、避けるわけだ。

それを証明するための研究や実験が各地で行われている。

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 この理論をもう少し詰められないか。

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