盗伐は日本林業必敗の印
「いつでも元気」という機関誌(保健医療研究所)の巻頭言に、『盗伐 林業現場からの警鐘』執筆の裏事情的巻頭言を執筆した。
この雑誌、依頼があった際に「盗伐の話は「いつでも元気」になれませんよ。」と私の方から忠告したほどなのだが、この医療雑誌の編集は全日本民医連であった。わりと政治的で、パレスチナとか能登半島地震など、政治の記事がいっぱい載っている。
実際、裏表紙には、こんな告知が。
そうか、盗伐問題は日本林業の「失敗の研究」なのだ。そう理解できた。
林業界が衰退している、林政は失敗したとはいうけれど、目に見える形で「失敗」を説明するのは難しい。じりじり、崩れていることを知らねばならない。
そう言えば「虎に翼」に総力戦研究所が登場した。これは1940年に日米開戦を見越して総力戦の研究を行うために設立された機関だが、ありとあらゆる要素から研究しても、日本は必敗の結果が出ていた。当時の日本の頭脳が、日米戦は負けるという結論を出したのだ。にもかかわらず政治家は、とくに東條首相は、その研究結果を無視して開戦に踏み込み、見事に予想通りの展開で負けた。
日本の林業も同じ必敗の道を歩んでいるのではないか。
この記事で私は、盗伐問題を通して林業全体の根本的問題である遵法精神の欠如を指摘している。そして産業の体を成していないと記した。同時に『盗伐 林業現場からの警鐘』の宣伝もちゃっかりしている……という名文(笑)。
もし本気で日本の森のこと、林業のことを考えるなら、必敗の道から引き返せ、と訴えたい。
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