違法木材を飲み込む業界はどこだ?
以前、拙ブログでも紹介した、三木楽器の違法木材使用問題、詳しい裏側を描いた記事があった。
希少木材の密輸、競合他社のチンコロ…木材不正輸入で話題になった、中古楽器業界の「呆れた秩序」
なかなか面白い裏事情を紹介している。目利きの難しさもあれば、業界内の疑心暗鬼とライバルを刺す動きもある。
楽器をつくる工房は少ないし、それぞれが職人業を競っている。希少木材を使うこともブランド化には力を貸す。実際のところ、ハカランダを使えばどれほど音色がよくなる……という理由ではなく、希少木材を使うという行為自体が重要なのだろう。そして、そのためには違法木材にも手を出すわけだ。価格は一気に跳ね上がるから。ある意味、こうした木材価値を生み出す業界ほど、違法木材を使いたがるわけだが……。
もう一つ、違法木材を飲み込む業界がある。こちらの方が、楽器より大きいかもしれない。
それは、ツキ板業界だ。
ツキ板は、木材を厚さ数ミリ以下まで薄くして、紙のようにしたもの。それを張れば下地がなんであろうが、そのツキ板の木材に見えてしまう。
集成材であろうが、合板、いや金属であろうがコンクリートであろうが、ツキ板の木材製に見える。
そして材料とする樹種は、スギやヒノキでもあるが、もっとも多いのは広葉樹材。色や木目・杢によって高く売れるかどうかが決まってくる。
木目命、だから、調達は非常にシビアだ。逆に言えば、よい木目の原料を手に入れるためなら、トレーサビリティとか合法性を問うてはいられない。極めてグレーな木材が出回っている。
東京の某高級ホテルの室内扉。一見、無垢の板のように見えるのだが、ツキ板だった。おかげで軽い。
さて、いつか追求される日が来るだろうか。それとも、見なかったことにするかな?
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