ベトナム・アカシア林の伐期
昨日、地球・人間環境フォーラム主催のオンラインセミナーに参加する。これまで、あまり報告例のないベトナムの森林事情について知りたかったからなのだが、いやはや。
ベトナム中部の伐採跡地と(背景の)アカシア植林地。
以前はカナダの原生林を伐採して木質ペレットにしている問題を取り上げた。この点は、記事にもしている。ただカナダ以上に木質ペレットの輸入先であるベトナム事情を十分に押さえていなかった。これまで推測としては、同じ東南アジアのタイやマレーシアなどの事情を勘案しながら想像していたのだ。
が、予想は裏切られた。
細かな点は、リンク先を参考にしてもらえばよいが、ベトナムで現在進んでいるのは圧倒的にアカシア植林なのだ。(ユーカリでさえあまり多いわけではない。)そして人工林から供給される木材需要に対応している。原生林も多少は伐っているが、目立って多いわけではない。森林率は47%だそうだで、森林の約3割がこうした人工林になっている。また家具製造で世界的なシェアを取り始めているが、そこで使われる木素材は、多くが輸入。日本のスギやヒノキも輸出されている。
そうか、人工林から木材を調達しているのか。それなら再生可能かな。。。。
そう思わせておいて、仰天したのは育てる期間。つまり樹齢と伐期。
なんと3年~7年だという。写真で見える伐採された木の太さは多めに見積もっても10センチない。
いくらアカシアが早生樹と言っても、7年では太くはならない。
なぜなら、需要のほとんどが木質ペレットとチップだから。チップは基本的に製紙だろう。細くてもいいわけだ。なんでも木質チップは3年生からよいという。
そして伐っては植えて、伐っては植えて……を繰り返している。これって再造林をしっかりしているのだから、立派な循環型林業。 (゚o゚;)エッ
そこで何が起きているのという問題はさておき、私が感じたのは3年伐採の場合、これは林業なのか、という根本的ですごく素人感覚の疑問だ。
農業と言っても、収穫するまで3年以上かける作物はわりとある。コンニャクイモ(球茎)もそうだし、アスパラガスも芽が出るまで3年かかるという。果樹に至ってはさらに長い。モモクリ3年カキ8年、である。
もはや農業と林業の違いがわからない。いや循環型の意味がわからない。
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3~7年伐期だとSRC(Short Rotation Coppice)、つまり超短伐期施業と呼ばれタイプの施業でしょうか。日本でもバイオマス燃料用としてヤナギで取り組まれていますが、収量を求めるには施肥と除草が必要とか。場所も畑のような場所で栽培しているます...きっと本人たちも「これは、農業では?」と思っていることだと思います。無論世間の役に立つのであれば農林の垣根などなくても良いのですが笑。
参考
https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/kikaku/pdf/23happyou_s_52.pdf
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/houkokusho/attach/pdf/souseiju2019-4.pdf
投稿: 0 | 2024/09/02 09:59
ベトナムの施業法は、まったく未知なのですが、施肥をしているのかどうか。戦争ではげ山になったところにせっせとアカシアを植えているようです。
日本の技能研修制度でベトナム人を受け入れて林業教えるという事業もやっていたと思いますが、あまりに現場が違いすぎる(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2024/09/02 11:44