日本ジャーナリスト会議『盗伐』書評
「ジャーナリスト」という新聞に『盗伐 林業現場からの警鐘』の書評が掲載された。
この新聞、寡聞にして知らなかったが、日本ジャーナリスト会議(JCJ)発行の機関紙(月刊)とのこと。つまり読み手のほとんどは、私の同業者かその関係者。1955年創刊というから、結構な歴史を持っているのであった。こうした媒体に取り上げていただけたのは有り難い。
ところでちょっと脱線するが、この書評欄には『ルポ 書店危機』(山内貴範著)も取り上げられている。町からリアル書店が消えていく様子のルポらしい(読んでいないので、内容はわからない)。本を書いている身としては、こちらも気になった。
なによりこちらの書評も面白い(書き手は永江朗)。最後に以下のような一文で締めくくる。
「本屋がなくなると困る」と思っているのは、書店関係者と本好きの一部なのかもしれない。
これ、林業界でも同じことが言えると思う。
私は、書籍のテーマに世間の関心の薄い題材を選ぶことを旨としている(いや、結果的に、だけどね。自分の興味の範囲が世間と合わないということです)せいか、意外な感想をいただくことが多い。
『盗伐』も世間からは「トウバツという言葉を知らなかった、討伐かと思った」「辛くなって途中で読むのを止めた。こんなこと知りたくなかった」という感想をいただくほどなのだが、プロには評価されたということか。
でも……いわゆる世間も、ジャーナリストも、森林問題から林業問題に分け入ると、極端に興味が失せることを私は体験的に知っている(笑)。
「世界」「社会」は“都会の人”でできており、森林世界は自然科学の分野とカテゴリー分けされて、林業となると少数しかいない隙間産業と認識される。いわば林業界は、世間でも世界でもない異界。「あれは別世界だから」。選挙で少数業界は票にならないのと同じである。
アマゾンやボルネオで起きている大規模に熱帯雨林を破壊する行為に比べて、0・1ヘクタールとか、せいぜい5ヘクタールの盗伐なんて、小さな自然破壊なのでスルーする、盛り上がらないのかもしれない。
私の読者は林業関係者が多いが、その人が思っているほど世間は林業にも木材にも興味がないよ、と教えてあげたい(⌒ー⌒)。
その点を忘れると空回りしてしまう。
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