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森と林業の本

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2024/10/30

農家廃業の理由

先日、某所に鳥獣害対策の取材に行ったのだが……。

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これはナシ農家とのことだった。イノシシにシカ、そしてサルが出るというので、その対策の柵を見てきた。写真の背景に写る、上部に青の網が欠けられた柵である。高く、しかも青い部分は支柱がしなる。サルが柵を越えようとしたら、びよ~んと曲がって振り落とされる。完全ではないが、なかなかの仕掛けだ。また下部は針金の網。

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そこには秘策・ヘビがいる。サルはヘビが嫌いだ。多分シカも嫌いだろう。これは恐い……って、もちろん模型なのだが、非常にリアル。

が、先の写真を見て気づくだろうが、肝心のナシの木が伐られている。あれ?

そうなのだ、実際に果樹は全部伐るらしい。なぜだ。

「もう廃業するから」。

え、農家辞めるの? やっぱり獣害がきつくて……。 

違うのだ。問題のシカやサルは、この柵のおかげで随分防げたそうだ。ヘビも効いたのだろう。

ではなぜか。意外な回答であった。

「カメムシが出るのよ。防ぎようがない」。

ここ数年、爆発的にカメムシが発生して、ナシなどの果樹につく。一つの実に3、4匹もつけば、汁を吸ってもう傷だらけである。そうしたら、売り物にならなくなる。消毒、つまり農薬を散布するしかないのだけど、効かない。年間20回以上消毒したが、ダメだったという。

下手すると、収入ゼロになる。

そろそろ歳で、農薬散布も疲れるし、ほかの栽培作業もきつくなった。それなのに収穫できない。今更ほかの作物に転作するのもきつい。それで諦めたそうだ。

なぜ、カメムシが大発生したのか。防除手段はないのか。残念ながら、未解決のままだ。これが農家の現実か。収穫物の価格。肥料等の高騰。高齢化と人手不足。そして獣害。虫害。せっかく築いた柵も使わなくなりそうだ。

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