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森と林業と動物の本

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2024/10/11

食べて供養……君は食べられたいか?

今、鳥獣害対策のための駆除事業について取材している。

そこで駆除した個体(主にシカ)をそのまま捨てる(焼却処分や埋没処分)するのはもったいないので、ジビエにする……という話がよく出る。

その目的は「処理するのは金がかかる。それを少しでも軽減するためにシカ肉利用を進める」ということだ。

まあ、当初はジビエとして人間が食べる話だったのだが、今はペットフードにするのが主流となり、そのためだぶついて赤字になる、という顛末が多いのだが、それでは逆に費用が増してしまう。

そこでたまに出るのが「もったいない」だ。とくに現場にいない人の言葉として出る。動物の命を奪うのだから、無駄にしてはダメ。もったいないから食べるなり利活用することが供養になる……という理論。

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シカの解体現場。ものの30分で毛皮を剥き、内臓を外し、肉片とする。
その後、熟成を経てジビエとなる。

う~ん。私は昔から疑問なのだ。

食べて供養というのは仏教思想なのだろうか。たしかに仏教説話には我が身を飢えた人に食べさせる話があるが……宗教的価値観はともかく、食べることがもったいないの解消になるのだろうか。

シカの気持ちになってくれ。撃たれて死んだが、その遺体を食べてくれ、と思うだろうか。

人間でも、ジャングル奥深く探検に入って、そこで人食い人種に捕らわれて殺される際に「食べられるんだから、少しはマシだ。彼らの血となり肉となり、供養となる」と考えられるだろうか。

私は子供の頃から人食い人種に出会った際のことを妄想していたのだが、決して食われたくはなかった。殺されても、我が肉には毒が含まれ、殺した人を呪い殺したい、と思っていた。

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自分の身体が解体されて、肉片になってバーベキューにされるかイヌに食われるか想像してほしい。同じ死ぬなら、その方がいい?

やっぱりイヤだ~。

「もったいない」からジビエではなく、儲かるからジビエ、儲からないのなら捨てるのが一番ではないだろうか。

 

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