高知の立木市場と密植への挑戦
先日、高知県の四万十市を訪れる際は大阪から飛行機で高知空港に飛んだ。
ルートは淡路島を右手に見つつ、徳島県を縦断して高知に入った。つまり徳島や高知の山を上から眺めたわけだ。写真の通り、皆伐地が点々と目に入った。
一カ所5~10ヘクタールぐらいはある伐採跡地が点在する。林道もかなり入っているようだ。再造林をしているのかどうか、上空からはわからない。ただ急峻な山肌なので、崩壊が起きないことを祈りたい。
そこで思い出したのが、国が音頭を取って企画している立木市場。再造林コストを上乗せした価格で樹木の取引を行うというのだが、林業・木材の業界団体と有識者による検討会によると、モデルとして高知県仁淀川町と福島県古殿町の町有林を市場に出品する計画のようだ。
とくに仁淀川町は、再造林率100%をめざしてスギの最低価格を1立方メートル当たり9422円に設定したという。
なかなか強気の値段設定だ。一般的には3000円程度だろうから、3倍以上にもなる。取引にゼネコンや工務店などが入札することになっているが、果たして参加してくれるのか。業界団体が呼びかけているとは思うが、この価格で落札されたら万々歳だろう。もちろん御祝儀相場では意味がないので、日常的にこれに近い価格にしてもらわないと困る。
しかし、入札側も高値で購入するメリットがなければ応じないだろう。単に「再造林コスト上乗せ価格でエコだから」というだけで金を払ってくれるほどお人好しの業者がいるとは思えない。どこかでコストダウンが必要だろう。
おそらく間に入る流通~製材業者やプレカット業者なども巻き込まないと不可能ではないか。仮に山主と工務店が直取引するとして、運搬や製材コストをどうするか。製材業を泣かせず納得させる仕組みがいる。
ところで四万十流域の森林組合では、1ヘクタールに1万本のヒノキ植林をする計画を進めていると聞いた。吉野林業にも劣らぬ高密植だが、植えたら、後々弱度間伐を繰り返す覚悟がいる。これで品質のよい材を生産できれば立木市場を設けることも考えられるだろう。
高知県で進む新たな挑戦に、大丈夫か?という一抹の心配を抱えつつ、挑戦する意欲に期待しよう。
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