COP16中断、EUDR延期、再生可能エネルギーも……
あまり報道されていないが、コロンビアで開かれていた国連の生物多様性条約締結国会議(COP16)が中断した。なんと、参加国の数が足りなくなったからだという。長引きすぎて、多くの国が会議から離脱しちゃったのだね。それで休会。
さらにヨーロッパの野心的な森林破壊防止規則EUDRも、施行は今年だったのだが、1年延期となった。あまりにチェックが厳しすぎて参加国の準備が間に合わなくなった?からかもしれない。
ほかにも電気自動車EVの普及速度が鈍化して、「もう内燃機関車は〇〇年以降は製造しない!」と宣言していたメーカーが漸減撤回したり……。
再生可能エネルギーも、伸びが止まっている。メガソーラー建設規制も始まったし、バイオマス燃料となる木質チップ製造の反対運動も起きている。
地球環境問題の解決をめざす施策の数々が、なかなかの逆風を受けている。
まあ、一つ一つ見ていけば、それなりの理由がある。COP16は、ようは基金の分配で揉めて会期が伸びすぎたからで、改めて仕切り直すことになったのであって、評価方法はほぼ決まりかけているし、DNA情報の扱いなども合意した。
EUDRのように「その国にとっては合法でも森林破壊してつくった商品は買わない」という規則に合わしたチェックは、ものすごく複雑だし、急ぎすぎると貿易摩擦を起こす。
EVも、今の性能やインフラなどの状況では、私も買う気にならない。そもそも本当に脱炭素になっているのか?
メガソーラーもバイオマス発電も、森林破壊を進めて逆にCO2増やすようなあり方は止めなくてはダメだ。
現状は、時代の進み方に対するリバウンドだろう。(私はアメリカのトランプ現象や、世界中で権威主義的リーダーの増加も、その一種だと見ている。)
結果的に地球環境がどうなるかは、まだまだ不確定だ。脱炭素に失敗して不可逆的な気候変動に突入する可能性は高いし、生物多様性も多くの種が知られないうちに消えていく。パンデミックも起きるし、飢餓、戦争も尽きない。
人類は失敗しないと前に進めないのだ。問題は、失敗をどこまで許容するか。もう一線を超えたかもしれない。
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結局は
地球〈〈個人の利益
でしかないように感じます。
平和ボケと言われる、都合の良い方へ考えようとするバイアスはとどまるところを知らないようです。
今後地球環境がどうなるかは明白ではないでしょうか?
投稿: Lago | 2024/11/11 00:19
もっと細かく見ると、
地球<<個人の感情
ではないかと思っています。
必ずしも事故の利益を追求するのではなく、好き嫌いで決めているように感じる。
自分の損得とは関係なくても、環境環境と言われることへの反発があるのではないかと。
投稿: 田中淳夫 | 2024/11/12 00:56