シカのキノコ狩
奈良県宇陀市を訪れた際に、その庁舎で見かけた絵。
宇陀は、萬葉の時代より狩りや薬草で有名な土地なのだが、推古天皇の時代に行われた「鹿茸狩り」の様子の絵である。
鹿茸(ろくじょう)を知っているだろうか。シカの頭に生えるキノコのことだヾ(- -;)。奈良公園のシカの写真で紹介すると、こんな感じ。だいたい春先、4~5月くらいの間に出る。シカの角は冬に落ちて、生えかわるのだが(奈良公園では、秋のうちに角を切ってしまう)、その生え始めの状態。
こんな具合。ようは角の生え始め。正式には袋角というのではなかったかな。
角の上に皮膚がかぶっている状態で、触ると温かくて柔らかい(触ってはダメ)である。このぐらいの角なら怖くない(触ってはダメ。シカも嫌がる)。うっすら毛も生えていて、触ると触感が心地よい(触ってはダメ!!)
すぐにこれぐらい伸びるから、キノコの期間は短い。
しかし、それを推古時代には採集していたのだな。なぜなら、クスリになるから。補精強壮薬となるとされ、中国の『神農本草経』や『本草綱目』 にも記載がある。そして 今の漢方薬でも使われている。本当に成分としてはどうなんだろう。
この鹿茸狩りは、『日本書紀』に記載されていて、西暦611年(推古天皇19年)、5月5日(陰暦だから、今の6月中旬だろうか)宇陀の菟田野(うだの)薬狩りを行ったと記されている。このクスリが、鹿茸だったらしい。
鹿茸は高く売れるそうだから、上手くこの時期にシカを仕留めて得たら、儲からないか……と思うそのためのシカ牧場も作られている。ただ、実際は量産が難しいらしい。
でもアンチエージングに効くらしいから、人気呼びそう。ジビエを超える商品化を考えてしまう。
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