FSC30周年に寄せて考える
FSC30周年記念フォーラムが東京で11月29日に開催されるそうで、案内をいただいた。
ただこの日に東京に出かけることは難しく、オンラインもあるのだけど、パソコンの前に何時間も座って拝聴するのも苦手だ。有料だし(^^;)。
でも、興味ある方は参加してみてほしい。
それでもFSC(森林管理協会)が国際的に設立されて30周年という年月を感じる。つまり1994年に設立されたわけで、私は世紀末だったかに初めて森林認証制度の存在を知った。当時から森林保全に林業がいかに関わるかという命題を感じており、これを聞いたときは「これだ!」と思って、説明会や勉強会に遠出して受講したことを覚えている。
行政の法による規制中心の枠組ではなく、民間(NGO)が認証という手段で消費者に働きかけて売買を左右するという発想に新鮮味を感じた。バイイングパワーとは消費者の目覚めを意味するのだろう。
その後、世界各国に森林認証が設けられ、それらを集約するようにPEFCが生まれた。日本もSGECを設立した。いよいよ複雑怪奇になってきた。SGECの内容を調べたら、基準がゆるゆるな上に抜け穴だらけで「こんなの意味ないじゃん」と記事に書いたら、その筋からパージされ(笑)、拙著は一切紹介されなくなったのも、いい思い出だ(⌒ー⌒)。
さて、そうした混沌の中で、FSCはもっとも厳しい認証として存在し続けているが、当時ほどの勢いはない。欧米では当たり前になったというが、日本国内の認証は、近年あまり伸びていないはずだ。伸びたのは、海外産の紙ばかり。
またルーマニアやベトナムなどでFSC認証のある木材の中に盗伐の疑いのあるものが混ざっていたり、そもそも認証を擬装している材があったりと、綻びを感じる。
そのうえ日本では、認証された木材が全然売れないらしい。高く売れなければ、経費をかけて認証を取得しているのだからマイナスになってしまう。だから認証を更新しない業者が増えている。結局、日本の(木材の)消費者はまだ目覚めていないのである。
さて、どうするべきか。
必要なのみ、認証を取ることで高く買ってもらえる仕組みづくりだろう。認証を与えました、売り方は自分で考えてね、では通用しないのではなかろうか。FSC自体が積極的に売り込みに関わってほしい。
認証とは倫理的に成り立つもので、非財務価値によって成り立っている。これは健康経営(ロバート・ローゼン)の理論だが、従業員の健康に力を入れている。日本の林業経営体も、まずはそこからかもしれない。
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