上村淳之画伯の死
日本画家で文化勲章受章者の上村淳之さんが一昨日、死去していたことが報道された91歳。
日本画家の上村淳之さん死去 91歳 文化勲章受章者、花鳥画を追究
日本画家、上村松篁(しょうこう)の長男として、京都市で生まれた。祖母は女性で初めて文化勲章を受章した上村松園。京都市立美術大(現・京都市立芸術大)日本画科を卒業、同大専攻科を修了した。
父の松篁同様、一貫して表現の深化に努めてきたのが花鳥画だった。3万3000平方メートル超の広大な敷地を誇る自宅、唳禽(れいきん)荘でさまざまな種類の鳥を飼育し、繁殖に取り組み、鳥をモチーフにした作品を発表した。徹底した写生に基づきながらも精神性を大切にした。
実は、ずいぶん前だが、取材したことがある。お住まいは、奈良市なのだ。ただし、話は絵画のことではなく、野鳥のこと。正確にいえば、自宅を動物園並の施設で多くの鳥を飼育していることについて話を伺いに行った。そしてアトリエにも入れてもらったのである。
当時は、そんなに大層に感じていなかったが、今となっては貴重な体験だ。何羽いるのか、どんな種類がいるのか忘れてしまったが、ある鳥の卵の孵化をなし遂げた自慢話を聞いた。動物園でも成功していなかったのだ。卵は温め続けてはダメで、冷却期間も必要だとか、なかなか生物学的な話題を繰り広げた記憶がある。
そう言えば平城宮跡の大極殿にも四神十二支の壁画を描いておられる。
絵画に関しては、日本画にはたいして興味がなかったので、「これ1枚描くのに、何日ぐらいかかるんですかあ」というとぼけた質問をした記憶もある。今は、上村さんの画集も持っているし、彼の松柏美術館も幾度か訪れている。その際にお見かけしたこともあった。挨拶しようと思ったが、取り巻きもいたので遠慮したのだが……。
そう言えば、昨年の1月何日か、ふらりと美術館を訪れたときに携帯が鳴り、それが病院から父の容態が悪化したことを告げるものだった。そして翌朝亡くなったのだった。
今年は、取材した方のほか、何かと縁者が亡くなった。3月には森林風致計画研究所の清水祐子さん。5月には森林研究・整備機構監事で建築家の鈴木直子さん。そして8月には川上村の辻谷達雄さん。
辻谷さんのお別れ会は、今月16日に開かれると聞いている。縁者が亡くなっても不義理を繰り返しているので、こちらには出席したい。
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