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森と林業の本

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2024/11/18

スター・ウォーズに学ぶ甘美な暗黒感情

ロシアがウクライナ侵攻し、イスラエルのガザ虐殺が進み、アメリカ大統領選挙でトランプ元大統領が返り咲いた頃から、脳裏に浮かぶのは「スター・ウォーズ」だった。とくにエピソード3が。

それが昨夜の兵庫県知事選でまた強まった。

「スター・ウォーズ」のエピソード1、2では、銀河系の星々は、とりあえず銀河共和国を形成してジェダイの騎士が秩序を保っていたが、徐々に議会が機能しない状況に陥る中で、とうとうエピソード3でシス暗黒卿が全権を握り帝国化する。そうした状況を、なんとなく昨今の世界情勢をそれと重ねていたのだ。

「スター・ウォーズ」シリーズは、その後エピソード4(第1作)でジェダイがもどってきて共和国の復活が見られたが、エピソード5でまた帝国の逆襲になり、6で再び引っくり返す……と続く。新シリーズの7、8、9はどうでもよいが、その世界はやはり帝国が支配していて、それに抗う人々の姿を描いている。最終回、結局どうなったのか覚えていないのだが……(つまらなかった印象しかない)。

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ようするにスター・ウォーズの世界観は、暗黒帝国側が強いのだ。“自由と平和”を願うジェダイなどは、それに抗い局地戦では勝つが、完全に勝利しないのである。

思えば映画の中だけでなく、ダークサイドな感情の方が強い。穏やかで温かな感情よりも、攻撃的で刺激的な感情は甘美な魅力に満ちている。ポリポリコレ正義とか面倒な民主主義とか、細かな手続きを無視して力で解決するマッチョさは、人々の隠れた欲望を満たしてくれる。それが領土欲、支配欲、そして差別的であっても嫌なものは嫌、強いものが正義、既成を体制を力でぶっ飛ばすことの快感である。
意識高い系への嫌悪、反知性主義など、この感覚を示す言葉はいろいろあるが、「理屈抜き」に快楽を感じさせる手法に抗えない。

一度心の中で刺激的な快感に目覚めると、なかなか拭いがたい。それは薬物依存症とよく似ている。理屈ではイケナイとわかっていても止められない。薬物を接種した一瞬だけの快楽に囚われる。誰も必要としていなくても、伐採時の快楽を味わいたいという理由だけで伐採量が増えていくことだってあるだろう。

まあ、私もたまにそんな概念に囚われる……。

林業関係の補助金を即座になくせ! 
盗伐業者の家を焼討しろ!
生物多様性の破壊者は抹殺!
1年以内にカーボンニュートラルを実現しろ!
裏金もらった政治家は市民権を停止しろ!
フェイクニュースを流した奴に巨額の罰金を!

とまあ、次々に思いつく。暗い感情は平和な気持ちより根強い。

林業に当てはめると、人々が必要とする木材を生産する産業とはいえ、1本の木を伐るときに、その樹木の痛みを感じるだろうか。森への影響を感じているだろうか。それとも木を伐って倒した瞬間の地響きが好き、森を破壊することが楽しい……という発想で林業をやるのか。
前者ならよいが、えてして後者の人も少なくないように思える。破壊願望というダークサイドに囚われると恐ろしい。

 

 

 

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コメント

私は人間の欲望はある一つの大きな欲望のもとに生じていると考えてしまいます。
(ネガティブ思考すぎるのかもしれません)

他人の不幸は蜜の味……という言葉もあるように、元来、人には邪な欲望の方が快感を感じる神経回路があるのかもしれません。

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