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森と林業の本

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2024年12月

2024/12/27

理想の林業~台湾の公有林がFSC取得

台湾は、公有林すべてがFSC(森林管理協議会)の森林認証を取得した。認証取得面積は160万ヘクタール近く、台湾の森林面積の71.5%を占める。つまり、台湾の森林の7割以上が認証されたのだ。これって、驚異的。

台湾、アジア太平洋地域初!公有林が100%FSC認証取得

もともと台湾は森林率が63.13%(2022年)と高いのに林業はほとんど行われていない。木材需要の99%は外材に依存している。だが、台湾にも人工林は相当ある。人工林率は20%程度だが、面積にして42万ヘクタールだ。適切に管理して木材生産を行えば、かなり自給できる。
ただ台湾社会では伐採に関する懸念が強いため、
伐採を始めるには、まず社会の信頼と支持を得ることが必要だった。その手段の一つがFSC認証の取得なのだろう。森林認証、とくにFSCは、森林の環境基準を審査する比較的厳しい認証だ。

森林認証だけではない。小規模でも美しい森林開発「里山イニシアティブ」を掲げているし、木材だけでなくキノコや森のハチミツなどの非木材林産物も生み出す、森林セラピーも推進する……と盛りだくさんの政策を掲げている。そして社会と環境のモニタリングデータを6か月ごとに公開し、一般の人々の意見を聞いて森林管理計画を見直し改訂しているという。

林業自然保護署の林華清署長は、すべての公有林がFSC認証を取得することは台湾林業の新時代の幕開けであると強調し、世界の林業のトレンドと一致していると唱えた。(どーでもよいが、林華清とは、なんと役職にピッタリな名前だろう!)

気づけば、台湾では、野心的で挑戦的、そして理想の林業政策を掲げていたのだった。

さて、私自身の今年を振り返ると、今年は6月と9月の2度も台湾を訪問した。とくに9月は阿里山の森を歩いてきた。

タイワンヒノキの巨木林を見たかったのだが、現状36本しかない(巨木はほとんど伐ってしまったことは事前に知っていた)。そこで実際に見たのは何か。そこで驚いたこと、それは……。

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これは28番巨木とナンバリングされたタイワンベニヒノキ。直径3~4メートル級なのだが、見てほしいのはその周辺の木だ。細いというだけではない。樹種はわかるだろうか。

スギだ。そう、スギ林と化していた。阿里山と言えばタイワンヒノキ……ではなく、今やスギなのである。それは伐採跡にヒノキではなく日本のスギを植えた林政があったからである。

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遊歩道沿いも、巨木の切り株は多数あるが、その周辺に生えているのは、多くがスギ。台湾にとっては外来種。

直径30センチ以上あるから、九州なみの成長速度として、樹齢は50年くらいか。ちなみに巨木を伐り尽くしたのは帝国日本ではなく、戦後の蒋介石の国民党政府。スギを植林木として選んだのも国民党政府だろう。どういう判断だったのか。スギの方が成長が早いから?タイワンヒノキの植林方法が確立されていない?
今後の台湾の林政はどちらに向かうのかわからない。原植生を重んじたら、ヒノキ植林に変えるかもしれない。

台湾を日本が領有してから、多くの林学者や林政担当者が渡台したが、そこでめざしたのは「理想の林業」だった。国内では往々にして地元の慣習や伝統に縛られるが、新天地なら科学的に理想の林業を実現できる、と考えたのだろう。それが成功したかどうかは微妙だが、現在の台湾は自らの意志で理想の林業をめざしているのかもしれない。

日本の林業は、今一度、理想を掲げて希望の林業をめざす志を持ってほしい。それこそ国有林全部にFSC認証を取って見せたらどうか。目先の数字を追うのではなく、樹木の時間で数百年先を見通すべきだ。さもないと、いつまで経っても絶望の林業のままだろう。

そう言えば6月の訪問時には、国立政治大学の王雅萍副教にお会いした。彼女は少数民族研究の関係から、土倉龍次郎の林業開発を取り上げている。台湾で唯一の土倉龍次郎研究者でもあった。その際に私が森林ジャーナリストであり、日本の林業についての著作もあると紹介されたので、「台湾で林業の講演をしてくれ」と言われた。土倉龍次郎ではなく、林業の話を(^^;)。

有り難い話である。実現したら楽しいだろうな。日本の林業を反面教師にしてもらいつつ、台湾林業の未来も語りたい。そのためにも「龍次郎伝」を早く書き上げたい。ついでに?『山林王』も台湾で翻訳出版されることを期待したい。

これを2025年の目標としよう。

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王副教授(左)と間を取り持っていただいた曽根さん(右)

 

 

2024/12/26

家づくりの神様から将来を読む。そして浄瑠璃神社

大阪に行った際に、生國魂神社を訪れた。ちょっと高台にあり、難波大社とも呼ばれる。以前は官幣大社の格の持つ由緒ある神社である。
また多くの合祀した摂末社がある。天満宮、住吉大社もあるが、豊臣秀吉とも縁が深くて淀君を祀った鴫野神社は女性の守り神である。

そんな中に家造祖神社(やづくりみおやじんじゃ)もあった。家づくりの神様を祭っているのだ。これは日本唯一だとか。土木建設業者がお参りにくるそうだが、今の住宅建設不況は、この神様をないがしろにしたからではないのか(^^;)。

もっとも、いくら拝んでも変わらないだろう。日本の住宅着工件数は減るばかりだが、さらに木造はもっと減ると睨んでいる。軒数だけではなく、木材使用量も落ちていくはずだ。

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参考に、林野庁のモクレポを見てみると、2023年の新設住宅着工戸数は、82.0万戸(前年比95.4%)、このうち木造住宅は、45.4万戸(同95.1%)。これを新設着工床面積で見ると、もっと顕著。2023年の床面積は、64.2百万㎡(前年比93.0%)、このうち木造住宅は、41.4百万㎡(同91.7%)
なお2024年1~10月の新設住宅着工戸数は、66.4万戸(前年同期比96.4%)、このうち木造住宅は、37.6万戸(同99.0%)。だ 2024年1~10月の新設住宅着工床面積は、50.9百万㎡(前年同期比94.1%)、このうち木造住宅は、33.2百万㎡(同95.5%)。
かなり急速な落ち込みだ。

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ちなみに私は、隣の浄瑠璃神社に注目。近松門左衛門などを祀るそうだが、浄瑠璃と言えば文楽。来年に向けて私は文楽のパンフレットの原稿を書いているので、気にかかるのである。森林ジャーナリストに文楽記事の依頼が来るのはなぜか。実は奈良が舞台の演目がかかるのであった。上演は来年2~3月らしいが、東京なので見に行けるかどうかな。一緒に行きたい人、いる?

まあ、私は文楽を見たことは数回しかない(^^;)。果たして理解できるか不安だけど。

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日本人は何でも神様にしてしまう。それはそれで面白い文化だと思っているが、祀るのならちゃんと心構えを持たないと、おろそかにしてはいけない。

2024/12/25

不入の森、不入の神社、最凶スポット

生駒市内を散歩していると(いつも森の中ばかりを彷徨しているわけではなく、フツーに町の中も歩くのだ)、ときに不思議なところを見かける。

遠目に木々が繁った森があるので近づくのだが、どうしても森には入れない・接触できないことがあるのだ。ぐるぐると森の周りを歩くと、森の全周囲を住宅などに囲まれていて、浸入を拒否している。不入の森だ。

不入の森と言えば宗教や伝説などで入ると祟りがある……などの理由で成立するように思うが、もっと物理的に入れない森。

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同じく遠目に神社ぽい祠が見える、そこに登る石段まで見えるのに、その神社に行ってみようとすると、どうにも入り口が見つからない。たまたまいた人に聞くと、登り口はないという。多分、昔は地元の社だったのだろうが、周辺の土地が売られて住宅地になってしまったらしい。
財産家の中には、自身で宗教施設(祠、神社など)を建てる人がいる。ただ個人所有の土地に建てたものの亡くなり、後に財産を失う、あるいは相続した人も地元にはいなくなってしまったのだろう。

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生駒は宗教団体が日本一多い、日本一神様の多い山と言われているのだが、わりと新興宗教が乱立している(笑)。だが、一代限りで教祖様がいなくなれば組織は維持しづらく、消えていく。その際に教団が所有していた土地や施設は放置されやすい。たいていが宗教法人格は取得していないので、そのまま所有者不明土地扱いになるのだろう。

なかには、宗教施設自体は近づけるというか、入ろうと思えば入れるが、長年の歳月で風化崩壊して、何か怪しい土地となっているところもある。一部では最凶の心霊スポット扱いされているところもあった。

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ここは、かつて超強力な霊力を持つ女呪術師が開いた神社。一時は教徒数千人、政財界の人も入信していたと言われるが、後継者がいずに、死後は消えてしまった。

不入の森以上に迫力ある。

こんなスポットばかり回るツアーしませんか(^^;)\(-_-メ;)。

2024/12/24

幻の吉野漆と漆掻き道具

市立五條文化博物館で「吉野の漆掻き道具」展がやっていたのだが、それが最終日であることに気づき、急ぎ覗きに行く。車で1時間半の距離だから、結構遠い(-_-;)。

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ウルシノキの樹皮を剥いて、そこに傷をつけ、流れ出る樹液をこそげ取り、壺に入れて集荷する。それを精製して全国に出荷……という流れだったようだ。全国の産地とのやり取りを示す手紙や書類の類も展示されていた。

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なかなか渋い特別展だった。市内の某民家の蔵から漆掻き道具が見つかり、寄贈されたものが奈良県有形民俗文化財に指定されたことから企画されたそうだが、そもそも吉野漆が幻なのだった。かつて西吉野では漆の生産が行われていた。質のよさで一世を風靡したそうだが、現在は生産どころかウルシノキさえほぼないだろう。今は柿と梅の産地である。

なぜ消えたのか。まず中国産漆に席巻されたうえ、ほかの産地で吉野漆に中国産を混ぜて「吉野漆」の名で売り出すという商売が行われ、そのため質の悪さが指摘されて値を下げる……というようなことが起きたらしい。なんだか、今でもよくある産地擬装と同じことが明治時代に行われたのである。

そしてこの漆の産地の隣には吉野塗、下市塗と呼ばれる漆器もあったのだが、それも消えてしまった。

この道具類も、今ではつくる人がいるのかどうか。国産漆の産地は岩手の浄法寺と茨城の太子町ぐらいだが、道具はどうして調達しているのだろう。

産業とはちょっと気を緩めると悪辣な偽物が出回り、ブランドを失って消えていくものなのだ。ちなみに、この展示会のために参考にしたのが京都府福知山の漆だそうだが、こちらも消えつつあるところをNPOが引き継いだものなので、産業として残っているとは言えない。

私は、その福知山の漆掻きを取材したことがある。

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道具はよく似ているようだが……写っている人は最後の現役だったはずだが、もういない。

なお見学者の中には漆に詳しそうな人が何人かいた。学芸員も困っただろう。私も、つい口を挟んでしまったが(笑)。
展覧会は終わったが、写真は拡散してください、と言われたので、気になる方がいれば見せてもらえることもあるだろう。

2024/12/23

ため池やダム湖の生態系

またまた散歩。

このところ買い物ついでに店の周囲を歩くことが多いのだが、ついつい道のあるまま気の向くまま奥へ奥へと進んでしまう。どんどんスタート地点(そこに車を置いているので、必ずもどらなくてはならない)から離れてしまう。谷の奥に向かって、このまま行けばどこに出るだろう(^^;)かと思いつつ歩くのが楽しい。

そこで畑を手入れしていた人と出会い立ち話。「このまま進むと、隣町の遠くに出て(スタート地点に)もどるのが大変だよ」とアドバイス。散歩なんだからかまわないかと思いつつ、教えてくれた近道を進むことにした。

それは「私は行ったことないんだけどね」という注釈付きで、道から逸れてうえにあるため池に沿って進むと、また登り口があるという。「私は行ったことないんだけど」その上に別のため池があるから、そこを巻いて奥に進むと、自動車の通れる道に出るから、その方が近いはず、とのこと。ただし「私は行ったことないけどね」。

頑張っていくことにした。

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最初のため池をなんなくクリア。畦道のようだが、しっかりしているから迷わない。池の上というか奥には水田があった。これって江戸時代なら隠し田扱いになりそうな、見えないところ(^^;)。
が、ここからが大変だった。道が消えかけている。それでも踏み跡を確認しつつ進む。なに、いつも通る獣道より歩きやすいよ……。さすが「行ったことはない」道だ。

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竹藪の間を突っ切る。通る人は滅多にいないようだ。倒木が道を塞いでいたが、そこをくぐれば、また道らしき踏み跡があるさ。

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ついに上のため池に出た。こちらの方はかなりデカい。山の上の方に大きなため池をつくるのか。ダム湖、堰湖と遜色ないかもしれない。もし決壊したら、谷に大量の水が落ちていくから危険性もある。

ため池は、人工的につくるという点では、ダムと一緒だ。ただダムを自然破壊という人は多いが、ため池に文句を付ける人は少ないだろう。むしろため池という水辺には多くの動植物が棲む生態系が生まれるのだ。もちろん建設してからの年月もあるが、作り方と規模によってはダム湖が新たな生態系を育む可能性がある。逆に言えば、ため池を造成した直後は、それなりの自然破壊だったのだろう。

実は、こうした人工的な池・湖には、形態亜種が生まれたケースもあるのだ。たとえば淡水魚が、数十年、そこに閉じ込められることによって形態が変異してくるのである。さて、そうした動物は保護の対象となるか。保護するなら湖沼を守らねばならない。

単にダム建設に反対ばかりするのではなく、オルタナティブな取り組みも考えられそうだ。

さて、池からシバラク登ると、道に出た。地道だがかろうじて軽トラなどが走れそうな道。ここを下れば近道だというのだな。

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その途中に、庭の石造物の墓場があった(´Д`)。なんで、こんなに大量に積んであるのか。中には高さ5メートルくらいの巨大五重塔的石灯籠もあったし、ゾウさんのほかにも人物などさまざまな石造物がある。

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世代交代でもして、和風の庭を嫌ってリノベーションした際に捨てられたものかなぁ。今は和風庭園は減っているだろう。造園業者は引き取っても転売もできずに山に積み上げているのか。買えば数十万円はするものも、ここでは無用の長物であった。
もしかしたら、この手の行き場をなくした庭の石造物はかなりの量になっているのではないか。重量物だから撤去も簡単ではなく、費用もかかるだろう。そして転売できる可能性は低く、持て余す。墓石さえ捨てられる世の中だから、なんとか再利用する手段はないか。たとえば、山の中に上手く配置したら面白い遊園地にならないか。

ともあれ、地元の人も「行ったことのない」道を見事歩き通して、出発地点までもどれたのであった。

 

2024/12/22

野良じゃがで炭素蓄積

野良ジャガを収穫した。

野良ジャガとは何か。勝手に生えてきたジャガイモである。植えた覚えも、植える気もないジャガイモが我が家の庭によく生える。

おそらく以前、捨てたイモが種芋になっているのだろうが、これまでも幾度か収穫はしている。が、取り忘れたイモが地中に残っているのだろう、また生えてくるのである。ジャガイモの地上部はわりと特徴があるのでわかる。今回も放置し続けて、どこまでイモが育つのかと思っていたのだが、その成果はこんな具合。

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豆粒のような小さなものから、そこそこの大きさのものまでわりと多い。もちろん、ありがたくいただくことにする。

我が家からは、できるだけ有機物を持ち出さないようにしている。落葉も剪定枝や切り倒した幹まで庭で処理して、土に還るように仕掛けている。そこに野良ジャガが育てば、さらに空気中の炭素固定になるはずだ。さらにコンポストで生ゴミも貯めて堆肥化しているから、増えるばかり。我が家の炭素蓄積は年々増えているのである( ̄^ ̄)。

だから野良じゃがを収穫して食べるのは、ささやかな炭素放出だ。

いっそ来年はちゃんと由緒正しいジャガイモを育ててみようかとも思う。サツマイモより簡単だし。これが来年にかけてのささやかな願掛けである(笑)。

 

 

2024/12/21

木のストローと木の葉書

そろそろ年賀状を書こうか……枚数は大幅に減らして……と考えつつ、机の上を片づけた。パソコン以外のスペースに何かと書類などを積み重ねてしまうのが悪い癖。何が埋もれているやら。

すると、まず見つかったのが、先日いただいた図書カード。これは有り難い。Amazonでなく新刊書を購入するときに使おう。
そして次に姿を現わしたのが木のストローと木の葉書であった。

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そうそう、先日の講演の打ち合わせの際にいただいたのであった。この葉書に年賀状書いてもいいかな(1枚だけ)、と思いかけたが、実はサインペンやインクジェットプリンターによる印刷には対応していないのであった。すると図案を印刷することもできない。昔のように干支のハンコでも捺して、油性ボールペンで手書きするべきか。でも、蛇のハンコもない。

なかなか使い道に困る。それでも、昔の木の葉書は本当に薄い板であって、葉書であっても封書代の切手を張らねばならなかったが、これは薄いヒノキのツキ板製だ。おそらく2枚の間に和紙などを挟み込んで強度を保っているのだろう。(そのことを考えると、木より和紙の方が強いことになる。)

ストローも、あまり長く液体に浸けておくとへたるしなあ。

使い道は、意外と難しい。結局、記念品として飾っておくことになってしまうのだろうか。

2024/12/20

害獣より家畜

毎回、普段は行かないところを散歩することを心がけている。すると、何かと発見がある。

今回見つけたのは、こちら。

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ヤギ(^o^)。ヤギを飼っているところは、最近増えてきたように思う。しかし、里山の農地に草を食んでいる姿はなかなか愛くるしい。

野生動物はイノシシにタヌキ、キツネ、アライグマ、イタチ……と数多いが、飼育系も多いのだ。

生駒は、なかなか不思議な動物がいるところで、乗馬系のウマや養豚場のブタもいる。警察犬などの訓練施設もある。そこにヤギにヒツジのほかニホンザルやエミューまでいる。サルも首輪をしてつながれていたし、ペットホテルかのような施設もある。なお家畜という点では、ミツバチも家畜扱いだ。

森の中でエミューを見つけたときはビックリしたな。なんでオーストリアの走る鳥がいるのか。何か柵があると思って覗き込むとエミューが何羽かうろついているのだもの。誰が飼っているのか? 残念ながら周辺に人影はない。人影どころか人家さえないし、登山道ぽい道しかないから車も入れないところなのだ。餌などは通いで与えているか。

その写真は公開を控えたい(^^;)ので、先日の東京科学博物館の「鳥展」で見たエミューの剥製。

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思えば、野生動物の獣害が問題になっているが、家畜を飼えばいいのではないか。害獣の餌を先に食べてもらうほか、先に動物がいると野生動物は近づきにくくなる。本当はウシやウマなど大型動物がよいが、ヤギでも効果があると聞く。

イヌの放し飼いも獣害対策に効くというのだが、イヌの放し飼い自体が禁止されているから、ヤギやヒツジを放し飼いにする(笑)。ダチョウもいいかもしれない。

もともと人里とは、動物が多いところだった。いや動物の多いところに人は住みついて待ちをつくった。そして人が住む場所は、動物にとっても住みやすい。シカは森ばかりよりも、適度に切り開いた土地の方が好きだ。下手な野生地より人里の方が動物は住みやすいのである。1820年代のニューヨークには2万頭のブタと13万頭のウマがいたそうだ。
日本でも江戸の町は動物にあふれていたことを幕末に訪日した外国人の記録にある。

それを一時期は駆逐したが、最近またもどってきたのが、現在の獣害なのかもしれない。

2024/12/19

ちょっと田園地帯を歩けば

ようやく冬を迎えて、散歩に力を入れている(^^;)。運動不足を多少とも解消するためにせっせと歩くのだ。

そして歩くのは市街地だけど、ちょっと住宅街の合間にある田園地帯が多い。そこで見かけるのが……。

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さまざまな農業廃棄物である。これはダイコンとかハクサイなど葉物野菜のいらない葉部分を切り捨てたのだろう。そして右によく見ると、ジャガイモもゴロゴロとある。わりと大きいのだが、傷でも付いていたか。それを惜しげなく捨てる。

で、この地帯はイノシシ多発地帯なのだよ(笑)。イノシシを呼び寄せているのだろうか。足跡は、田畑近くの森の中にいくらでもある。

ほかにも、せっかくのシカ柵の扉部分に鍵がかかっていなかった場所もあった。シカだって扉を押すぐらいはできるのだよ。簡単に開けるだろう。また柵が破れていても修繕していない箇所もよく見かける。

今の獣害問題の一端はこうした点にもあるのではないか。奈良のシカの被害が多い地域を調査したら、全然柵のメンテナンスをしていなかったことがわかったこともある。それで「シカによる被害ガ~」と言われても困る。

 

2024/12/18

林野庁の考える「再造林」

林野庁の情報誌「林野」令和6年12月号

ここに「今後の再造林に向けて」という特集記事がある。

いやあ、これが興味深い……こういうのをマッチポンプとか、アクセルとブレーキを同時に踏むというのだろうか。

まず最初に、日本の森林資源がいかに充実してきたかを示す。世界的にも上位で、人工林面積や森林蓄積をグラフで現して、「現在は多くの森林で収穫作業としての伐採の時期を迎えています」。単に伐採と書かず、「収穫作業としての」をつけるなんて秀逸だ(笑)。

何がなんでも伐採を増やす、木材を増産するという立場は崩さない。そのうえで、木材価格が落ちたことや林業従事者が減ったことで再造林が進まないという。そして省力化、低コスト造林を進めています……との宣言。そして「省力、低コスト造林に取り組む事業者への支援を拡大しております」と結ぶ。

ドンドン伐採しろ、そして跡地にはちゃんと植えてね、という論法か。まず再造林は伐採とセットになっていることを示すべきじゃないの。再造林しないと伐採届は受け取ってはダメなんであって、伐採後放置しているのは違法行為なんだと伝えるべきだろう。再造林しないのなら伐採してはダメ、とはっきり言うべきだ。

まあ、私は、再造林以前に皆伐を減らすべきだと思うが……。再造林できるレベルに皆伐面積を減らせばよい。

最後に「各地で行われている試み」を囲みで少しだけ紹介している。

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盗伐天国の宮崎県が再造林条例で持て囃されるかあ。

ちなみに地方では、コンテナ苗使っても全然省力化にならないとか、植栽本数を減らすことに対する疑問の声が出ているんだが。もう林野庁の製作に対しての信頼感がなくなっている。銀行員が盗みをしたり、警察官が殺人を犯したら「信頼がなくなる」というが、林野庁は何をしたのやら。

 

2024/12/17

ウッドデザイン賞、ネタ切れ?

今年のウッドデザイン賞が発表になった。

その中で私が目を止めたのは、「大阪・関西万博特別賞 (国際博覧会担当大臣賞)」。

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なかでも気になるのは、monaccaのブランドを持つ、木のアタッシュケース?(株式会社エコアス馬路村)である。

これ、前世紀の商品ではないか。私が馬路村によく行って目にしていたのはそれぐらいだ。

最初は木の皿とかトレイをつくっていた。元は大分県の中津江村~現在の日田市か~で生産を始めていて、その現場に私も訪ねたことがあるのだが、こりゃ売れんわ……と内心思ったことを思い出す。そして、実際に生産がストップしていた。つくってもつくっても売れずに在庫が溜まっていたからである。そして破綻した。

馬路村では、その技術を応用してカバンとしてブランドも立ち上げたのだが……それが20数年前。それが、なんで今頃受賞するんだ? だいたい万博って、未来の技術を紹介するものなのに、前世紀の技術に賞を与えるなんて。審査する方は応募があったからとなるのだろうが……。

ネタ不足か(^^;)。そもそも万博特別賞そのものがうさん臭いが。

ちなみにmonaccaのページはこちら

ウッドデザイン賞の趣旨については、こうある。

私たちは、木を使うことによって、社会課題の解決を目指す活動を、「ウッドデザイン」と定義しています。SDGsやカーボンニュートラルへの取組が必須となっている今、森林や木材の利活用がクローズアップされています。木を活かして、新たな時代の価値をデザインする。「ウッドデザイン賞」は、木の良さや価値を、デザインの力で再構築することを目的として、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。

応募対象分野

ウッドデザイン賞は、建築・空間・建材・部材、木製品といった「製品」だけではなく、コミュニケーション、技術・研究といった「取組」も含め、木に関するあらゆるモノ・コトを応募対象としています。各分野に中分類とサブカテゴリを設定しています。応募の際は分野、サブカテゴリを選んでいただきます。

今年で10年目というが、そろそろネタ切れかね。木造建築も、目を見張るものがなくて、昨年のものとはどう違うのだろう、昨年は受賞せず今年受賞のわけは……とか考えてしまう。応募はここ数年内に完成させたものといった条件はつかないのか。

いっそ「法隆寺の心柱」なども応募したらどうだろう。1300年続く伝統建築技術をウッドデザインとすると面白いよ。

 

 

 

 

 

2024/12/16

Wedge ONLINE「奈良のシカ」記事写真の裏事情

Wedge ONLINEに
〈奈良に学ぶ野生動物管理〉奈良公園で人とシカが共生できるこれだけの理由、鹿せんべいあげてほのぼのシーンに隠された知られざる努力

を執筆しました。最近は、Yahoo!ニュースの本数を減らして、こちらにも注力(^o^)。

有害鳥獣駆除となると、すぐに「かわいそう」「人と野生動物との共生を」の声が上がるわけだが、果たして実態は?というわけ。ただ、それを実践しているのは、日本広しといえども奈良公園だけではないか、というのが私の見立てである。

幸い掲載する写真は山ほどあるのだが、意外な盲点があった。

まず鹿せんべい売り場の写真を使おうとすると、なんと看板に「150円」とはあるではないか。現在は200円なのだ。ちょうどよいアングルと思える写真に限って数年前に撮ったものだった。その間に値上げしとる。が、現在使うと誤解を生むので使えない(TОT)。

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さらに観光客がシカと自撮りしようとしている写真。こちらは服装が夏ではちょっとまずいかな、と躊躇する。ただ季節までこだわると、横断歩道待ちのシカなども引っかかってくる。また緑が減って写真の彩りが減る。……というわけで、冬以外の薄着の写真も使うことにした。

やはり、定期的写真を更新しないといけないね。今度、冬景色の奈良公園を撮りにいこう。

2024/12/15

山辺の道で見たもの

山辺の道を訪れた。とくにこの道を歩こうという意図ではなかったのだが……山辺の道の人気ぶりを体感。日曜日だから、そこそこ人はいるとは思っていたが、正午前後は、そりゃもう(笑)。天理トレイルセンターはごった返している。みんな朝から歩いて、ここで昼食なのか。

私は、そこから龍王山に登ったので、多少人影は減ったが、それでも少なくない。そして、あれこれあって、なんとか下山。そこで出くわしたのがこの光景だった。

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「天使の階段」こと光芒。

実は時間が押していて、急いでいた。まだ午後3時半~4時ぐらいなのにもう日が暮れかけていたのだが……そこでこんな景色を目にしたら、足が止まる。

近年は熊野古道を歩く人が増えて、しかもその8割が外国人だというが……この人気、そのうち山辺の道に来るんじゃないかなあ。熊野古道ほどきつくなく、日帰りできて、日本の農山村風景を味わえる。外国人向きのような気がする。

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日本人が歩けるのは、今のうちだよ(^o^)。

2024/12/14

「自然」の経済……生態経済学プラス1

このところの私の講演、とくに林業関係のテーマでは、ネイチャーポジティブについて語ることが増えた。いきなり地球環境問題を持ち出すと林業関係者は引くのだが、あえて強調している。なぜならネイチャーポジティブは森林と林業活動に直結しているから。そして、この認識が世界の潮流となってきたからだ。ネイチャーポジティブを無視した林業は時代後れ、いや産業として失格の烙印が押されるだろう。

そんなときに「生態経済学」という分野があることを知った。地球環境問題を毛嫌いし、CO2地球温暖化説を必死で否定する。そのうえで産業は儲けるため、林業で儲けたいんだ、という時代後れな人向け(笑)。

もっとも、「生態経済学」は生態系で儲けるための学問ではない。生態経済学とは、経済は社会と有限な生物圏に組み込まれていると考える。現在の生物多様性の重要性を説くネイチャーポジティブの礎とも言える学問であった。

この新しい学術分野を提起したのは、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのロバート・コスタンザ教授である。1989年にISEE(国際生態経済学会)を設立した人だった。そして持続可能な社会の実現に向けた政策提言を行っている。

私が知ったのは、公益財団法人旭硝子財団が主催するブループラネット賞(地球環境国際賞)の2024年に受賞したからである。なぜか私の所に案内が来るようになった。本年度の受賞者はロバート・コスタンザ教授と、受賞団体である生物多様性についての知見と科学的評価を提供している政府間組織IPBES(イプベス)のアン・ラリゴーデリー事務局長とルサンド・ディジバ博士。

生物多様性と生態系サービスの科学的評価を通して、持続可能な経済活動へのパラダイムシフトの実現を提言

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これまで生態系は、人間社会にも多くの恩恵、サービスを与えていることは指摘されて来た。いわゆる「生態系サービス」だ。

供給サービス:食料、水、原材料、エネルギー資源など、人間が生きていく上で欠かせない基本的な資源の生産や供給を担う。
調整サービス:気候調節や洪水防止、水質浄化、授粉など、自然現象を調節し環境リスクを軽減する。
文化的サービス:レクリエーション、景観、精神的・宗教的な価値など、豊かな文化や幸福など物質的ではない恩恵を与える。
基盤サービス:栄養循環や土壌形成、光合成など、全ての生態系サービスの基盤となっている。
ただ、これを唱えても人は動かない。そこで経済学的な価値を見える化したのが、生態経済学と言えるかもしれない。
教授の論文によると、(1997年『Nature』の『世界の生態系サービスと自然資本の価値』)、全世界の生態系サービスの価値を体系的に試算した結果、当時の米ドル換算で年間33兆ドル(2007年のドル換算で44兆ドル相当)に達したという推算を明らかにした。この金額は当時の世界のGDPを上回る価値なのである。
日本でも、よく日本の森林の経済的価値を年間6700億円……などと発表している。もっとも、これは木材やキノコ生産からの計算で、生態系サービスは入っていない。そこで林野庁が、水質の浄化や二酸化炭素吸収などに対する評価を加えると、総額でざっと75兆円とした。
まあ、数字の根拠はあやふやなので厳密に考えることではないが、こんなにあるんだから大切なんだ! と訴える効果はありそうだ。
もっとも、それなら年間に開発で減った森林の面積や林業で伐っている木材の量から、生態系サービスの減少分も計算して引くべきだろう。
私は、経済学の中では行動経済学が好きだ。ようは人間の心理を経済的行動に組み込んだ学問で、単純な損得では動かない行動の解析が面白い。林業家は、なぜ損する行動ばかりを取るのか、という謎を解きあかしてくれた(笑)。
ならば、生態経済学にも人類の行動面を組み入れられないか、と感じる。ようするに行動生態経済学である。
なぜ人類は自然を破壊するのか、なぜ環境問題を毛嫌いする人が一定数いるのか、なぜ行動する人の足を引っ張るのか……といった点を心理学的に解明してくれるかもしれない。
ちなみに教授の言葉にいま必要なのは、成長中毒社会からの脱却」がある。いわゆる脱成長だろうが、とにかく成長しなければ死ぬ、と勝手に思い込んでいる人が少なくないことも事実。ひたすら規模の拡大を求める心理を解明しないと、それを抑えることもできないだろう。
成長中毒こそが環境嫌いを生み出し、環境嫌いの人ほど陰謀論を生み出す……というのが、私の仮説( ̄ー ̄)ニヤ。
この際、陰謀論行動生態経済学を提起すべきか……と夢想したのである。

2024/12/13

科博「鳥展」の見どころは……マンガ?

東京滞在中に、また2時間ほど空き時間が。どこに行くかと考えた結果、国立科学博物館の「鳥展」にした。

上野公園にはいくつも美術館があって、モネ展もやっていたんだけど、まあ~「睡蓮」はもうアチコチで見てきたしなあ、とパスしたが、前を通り掛かると、なんと、とてつもない行列でそもそも入れないのであった。

閑話休題。正直、動物の中で鳥はあまり関心を向けてこなかった。嫌いではないのだが、私のキャパには入りきらないのである。それでも恐竜の末裔だとか、最近何かと気にかかる話題もある。

さて入ると、初っぱなから鳥の科学的な説明(定義)がある。空飛ぶ動物の中には哺乳類、爬虫類、両生類までいるそうだ。もちろん翼竜や昆虫も飛ぶ。逆に鳥の中には飛ばないのもいるし……とまあ、科学色満載なのだが、それがなかなか面白い。
オオコウモリの剥製は、それなりに迫力。恐竜からの進化も紹介されているが、恐竜(獣脚類)が鳥に進化する過程では、翼竜のニッチを奪う意味もあったのかもしれない……とか考える。

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いきなり頭上に、世界最大の飛ぶ鳥だった(絶滅種)ペラゴルニス・サンデルシ の復原模型が吊るされている。なんと嘴に歯(正確には骨の突起だけど)もある。翼開長は6~7メートル以上あったらしい。約2500万年前に北アメリカに生息したとされる。

ほかにエピオルニスやジャイアント・モアなど身長2~3メートル級にもなった巨大走鳥類の骨格標本も展示されているし、なかなかテンション上がる。鳥も面白いじゃないか!
鳥をテーマにした記事、書籍も書こうかな。そうなれば取り扱うカテゴリーを拡大分散させよう……とスケベ心も湧く。

が、私が展示でもっとも面白く感じたのは、漫画だった(^^;)。

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最新の研究成果を漫画で説明してくれている。科学、科学とすると敷居が高くなるところを上手く抑えている。私にはピッタリだ。書きっぷりも面白い。ちゃんとテーマを抑えてオチのつく漫画にするのはたいしたものだ。

実は、美術館と博物館との差ということを考えていて、どうも美術館には「作品だけを見て!」という担当者の意志が漂っている。作家名や作品のブランドなどで注目するのではなく、一作品の良さを感じろ、という、いわばゴーマンさが臭う。説明は最低限の美術館展示が多いのだ。
だが、作品の鑑賞には、作家の素性、製作時の状況、背景の社会から感じるものもある。そこにストーリー性があることで、作品の魅力にハマることも多いのだ。凡人ほど、それが必要ではないか。

その点は、やはり博物館の方に軍配が上がるなあ……と私は思ったのであった。

それと観覧者に、女性の割合が高いことに気がついた。もちろん男女カップルもいるが、一人来訪女性がやたら目につく。年齢は老若さまざまだが、若手も少なくない。連れ立って来て話し込んでいる様子からは、研究者?学者?少なくても鳥ファンなのだろうと思わせる様子。

動物の中で鳥類は、女性ウケするのかもしれない。だから私も鳥の本を書こうと思ったわけではない、ないけど。違うけど。

2024/12/12

Y!ニュース「森を守る墓を!墓埋法改正を」を書いた理由

Yahoo!ニュースに「森を守る墓を!墓埋法改正を」を執筆しました。

なぜ、私が昨日まで東京に行っていたかと言えば、この座り込み……もとい坐禅の主と会うため。

御年84歳。600キロを行脚して、1週間の座り込みもとい坐禅をする。その体力はどこから湧くのか。ちなみに私と並んで歩くと、歩くスピードで負けます。しかも1日2食。

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実は、写真を取るのに苦労した。議員会館の敷地内に入って撮影するなと言われるので道路幅だけでは近すぎて、背景が入らない。これは、掟破りの敷地内隠し撮りだけど(笑)。国会議事堂前であることがわかるだろう。

もう少し座る場所を右にしてもらえると、街路樹も邪魔しなくなって撮りやすいのだけど……と注文つけたら、明日からそうするわ、と言われたので今日の坐禅は見えやすくなったでしょう。誰か、撮りに行ってください(^o^)。

 

 

2024/12/11

気分は秋

試験管を振る野口英世像とイチョウの黄葉。上野公園にて。気分は秋(笑)

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もう一つ訪れたのが、東京タワー近く。

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青空の足元も燃えている。



2024/12/10

国会前にて。めざせ墓埋法改正

次のような文書がある。

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自然宗仏國寺の黙雷和尚の筆による。内容は、墓地埋葬法の改正の請願。この請願のため、和尚は鹿児島から東京まで行脚して、ついに8日、東京に着いた。そして国会議事堂前に大座している。御年84歳。

黙雷和尚の仏國寺は三重県大台町の森の中にある。そこで数百ヘクタールもの山林を所有し、「森のお墓・いのちの森」と名付けた自然葬(散骨)を行っている。

ただ散骨や樹木葬には近隣の人の反対の声が常に上がる。その理由の一つとして、法律が整備されていずに、かなりあやふやの状態であることが上げられる。散骨は、これで厚生省(当時)の見解として「自然葬を禁じる規定はない」、法務省は「節度を守って行う限り問題はない」と回答した。これを根拠としている。

一方、樹木葬は地目も墓地とした土地で行うかぎり問題はない。ただし、こちらも人によっては別の解釈で嫌う声が上がる。

もともと散骨も樹木葬も、自然に還りたいという故人の思いを実現するためのものである。同時に自然(森など)を守りたいという思いもある。

残念ながら現在の樹木葬には、その理念をほとんど理解していない業者の経営するものが少なくない。散骨は主に海にするケースが多いが、こちらも業者によっては態度に不満が出る。

墓地埋葬法の改正に取り組む意思のある政治家はいるか。官僚はいるか。

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国会前。

2024/12/09

奈良の都の木製品無料画像

たまたま見つけた奈良文化財研究所のホームページで、無料使用できる画像が公開されていた。

画像と施設の利用 

もちろん手続を踏まねばならない(かつ有料)ものもあるのだが、一定点数は無料公開なのだ。

CCBYの表示があるコンテンツについては、出典として「提供 奈良文化財研究所」とだけお示しいただければ、申請は不要です。(改変‧商用利用もご自由にご利用ください)
コンテンツを編集・加工等して利用する場合は、上記出典とは別に、編集・加工等を行ったことを記載してください。なお、編集・加工した情報を、あたかも当機構が作成したかのような態様で公表・利用してはいけません。

面白いので、いくつかダウンロードしてみた。もちろん、「提供 奈良文化財研究所」であり、画像サイズを小さくした。

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土器や土偶が多いが、木製品もそこそこある。木簡のほか櫛、下駄、箒などの日常用品や、呪いの人形まで。呪いというわりには可愛かったりする。竹トンボならぬ木トンボや動く人形もあった。このところ、わけあって奈良県内の古墳巡りしているものだから、この手の画像使えるかな。

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先日、木でつくった現代の木トンボを見たのだが、その元祖は奈良の都にあったのだ!

古代の木の利用も楽しめる。

 

 

2024/12/08

謎の花畑から考える

奈良の平群町を少し歩いた。

この町は小菊の栽培で知られる。よく墓花などに使われる小ぶりの菊である。その畑を見ていると……。

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なんか、ヘンな花の咲き方だなあ、と思ったが、よく考えたら、すでに小菊の収穫は終わっているのだ。多くは秋分の日向けだろうし。小菊はたいてい茎を刈り取って出荷するから、畑には根元だけ残る。そこにまた花が咲いているのであった。

いわゆるヒコバエだ。切り株から芽の出る萌芽更新である。これも温かい秋のためだろうか。しかし、茎を伸ばす前に花を咲かせるとは。秋がずれ込み、急に寒くなったからだろうか。大慌てで次世代を残そうとして花を咲かせる? 何かの条件が、植物生理に刺激を与えたのかもしれない。

そう思って見ていると、水田もあるのだが……。

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刈り取りの終わった稲からもヒコバエが伸びて、そこに実を結んでいる。触ってみると、まだ十分に中身は入っていなかったが、これが稔れば、そこそこの米の収穫ができるだろう。

でも、人の口に入ることはなくて、たいていイノシシなど草食動物が食べる。彼らにとって美味しい餌になるんだよなあ。奈良県西部にシカはいないがイノシシは増えている。アライグマなどもいるそうだし。こうした田畑が野生動物を人里に引き寄せるのだろう。

ヒコバエを楽しめるのは花だけにしておくべきだ。花も、摘み取りたい気持ちになったが、やはり他人の畑。まずいかねえ(^^;)。

2024/12/07

煙立つ生駒山

仁徳天皇の逸話の一つに、「高き屋にのぼりて見れば煙立つ 民のかまどは賑わいにけり」とあるそうだ。

煙は、農村に立ち上る煙は、豊かな生活の象徴だったのだろうか。

逆に貧窮問答歌を詠んだ山上憶良には、「竈には 火気吹きたてず 甑には 蜘蛛の巣かきて 飯炊く」という長歌があるとおり、煙は炊飯を意味していたのだろう。

とまあ、いきなり古典文学ぽくなったが、生駒山を見渡す高台に立って、煙を見た。

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おや、街道沿いに煙がもくもくと。ただし火事のような煙ではない。まさか雲が盆地に溜まっているわけではあるまい。あの辺りは棚田があるな……と思い出して、野焼きだろうと気づいた。
野焼きは禁止とされているが、農家が農地で焼くものは例外として認められている。

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さらに別のところにも発見。結構な煙が各所から上がる。消防車が走ることもなく、ちゃんと管理されているのだろう。いい風情ではないか。現場近くに行ったら、どれほど煙が立ち込めているのかわからんけど。

 

ああ、たき火がしてえ。我が家の庭で小規模に落ち枝を燃やした際は、ほんの10分ほどだったのに苦情が来た。

2024/12/06

国会で獣害問題の質疑

国会の予算委員会中継を見ていたら、秋田のクマ騒動から、北海道の銃裁判にジビエに……と獣害問題の質疑が続いていた。

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なんだか、和気あいあい?な質疑が続いて、こういう国会もいいなあ、思った次第。

どうやら立憲の徳永議員と自民の江藤農水大臣は、一緒に現場視察も行ったらしい。さらに石破総理も、もともと農水大臣や地方創生大臣を務めたほか、防衛大臣の経験として「獣害駆除に自衛隊を出せないかという声がありましたが……」なんて答弁も出た。さらに「ジビエ議連の会長を長くやっていて……」とジビエカーの普及にまで言及した。

こういう話題は与野党が角突き合わせることもなく、むしろ方向性に異議はなくて合同で取り組むべき議題なのだろう。

ただ防護柵の予算増額関連では、農水省が「すでに農業を廃業するまでに追い詰められた地域では、柵をする必要がなくなっていたり、農業をやらないから被害額も落ちているのであって獣害が減っていることにならない」現状まで指摘。一方で徳永議員も、ハンターが駆除個体を埋めずに土をかけただけで済ます問題に触れた。それなりにわかってらっしゃる。

もっとも石破総理の「山が荒れているから動物が里に下りてくる」発言には異議あり。そういう認識では困る。「山が荒れている」という文言は林野庁が好きなのだが、この場合の「荒れている」のは林業地の問題であって、天然林、里山林はむしろ自然が豊富になっている。だから動物の数も増えたのだ。山で増えたから里にまで下りてくる……と考えてほしい。

さらにジビエカーも、現場ではまったく役立たずとされていることを知ってほしい。だいたい解体設備を持ったトラックは、駆除現場の近くまで行けないことが多い。連絡があってから、すぐ駆けつける体制をつくるのも難しい。
むしろ必要なのは、その場で解体せずに駆除現場から近くの解体施設まで速やかに運ぶことだ。たとえば軽トラのような細い山道まで入れる小型の車の方が役立つだろう。その車に冷蔵設備を備えていたら、運搬中の劣化を抑えることができる。巨大ジビエカーを欲しがるのは、補助金目当ての業者ばかりだ。

ま、そんなツッコミはあるのだが、聞いていて面白かった。

ちなみに、このところYahoo!ニュースのコメントを付けるのが動物関連、とくに獣害問題が増えてきた。本日付けたのはこちら。

「クマを殺すな」「山に返せ!」クマ駆除に抗議する人たちに「圧倒的に欠けているもの」の正体…昨今、クマ駆除に“ブチ切れる人”なぜ増えた? 

人々に愛されるネコ、実は世界最悪レベルの「侵略的外来種」

だんだん林業分野が減ってなってきた。でも奈良のシカにも正体不明の疫病にも広がってきた。

これは10年ぐらい前から仕事分野の多様化を心がけ、林業ばかりでなく、動物関係の著作を増やした努力の実が結んできたということかな。

2024/12/05

道の駅と富雄丸山古墳

先日、奈良天理市の道の駅を紹介したが、実は先週末に奈良市に新たな道の駅がオープンした。我が家から車で20分もかからないかな。

「道の駅クロスウェイなかまち」。中町という地名なのだけど、ダサい名称だ(笑)。
まあ、敷地は広く、建物は木調で、いくつもの棟があって、ドッグランまで併設している。なかなか豪華である。中心は、やはり農作物など地場産品。なんとなく、観光地の土産物売り場を連想してしまう。

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オープンから数日経って平日ならすいているかな、と思って訪れたのだが、まだごった返しているわ。

建物も商品陳列も、なかなかオシャレにしている。そしてよく売れている。ただ私には、あまり魅力的でなかった。木製品は入り口横の薪ぐらいしかないし(^^;)。核になるものがない。ほかの土産物店でも並んでいるような品が多い。あえて特徴を出しているのが、これかな。

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そう、富雄丸山古墳で発掘された蛇行剣をイメージしたお菓子。ただし、中身はポップコーン?だった。それはつまらんだろう。どうせなら蛇行した煎餅ぐらい焼けなかったのか。安易に走ってはいけない。ちゃんと剣の形にしなければ、そのうち人気がなくなるだろう。

とはいえ、富雄丸山古墳が名所であるのは間違いない。なぜなら、この道の駅の隣にあるのだから。(間に田畑などが横たわるけど)

せっかくだから、そちらにも行く。

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こんな道路標識?が。もともと古墳は公園になっていたから、道はしっかりしている。

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たどり着いた。以前のような発掘現場の屋根は取り外したようだ。警備員もいない。でも、監視カメラがあるようだ。中に潜入してみてえ、と思いつつ、自粛。思えば、この古墳に関しては30年ぐらい前に「奈良最大の円墳!」と記事を書いたこともある。その後も幾度か訪ねている。あの頃は、簡単に森林に入ることができたのに、とちょっと残念な思い。

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こんな感じ。3つの古墳が重なっているかのよう。

そのうち道の駅周辺に古墳の資料館でも建って、観光客を呼べるかもしれない。奈良市というが、大和郡山市に隣接しているから、再来年の大河ドラマの主人公・豊臣秀長の居城もある。薬師寺、唐招提寺も、平城宮跡公園も近い。また高速道路インターもある。すごい恵まれた立地だ。

だけど、しかし……今のままでは安直な道の駅だよ。

2024/12/04

日本環境法律家連盟とメガソーラー

先日、奈良県平群町で、日本環境法律家連盟(JELF)の会合、視察が開かれた。この地が、現在裁判が進行中の平群メガソーラー建設の舞台だからである。

この連盟は、日本の環境問題に取り組む弁護士の集まりで、全国各地で環境問題関係の裁判を取り扱っている。今回も東京もいうに及ばず北海道や沖縄の問題まで扱っている人たちが参加していた。ホームページより引用すると

JELFは環境保全の観点から訴訟などを通じて無駄な公共投資による環境破壊を食い止めようと活動しています。例えば、長崎県諫早湾の干拓事業、沖縄県辺野古基地、リニア新幹線開発など、大規模開発による自然破壊に対し法律家の立場から反対運動を進めています。

また、自然生態系の保全はJELFにとって重要な課題のひとつです。アマミノクロウサギを原告とする訴訟や、エゾナキウサギ、シマフクロウを守る裁判を行ってきました。

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私は、後ろでそっと見守る(^^;)。

平群問題は、私も常々記事にしてきたので、現在の状況を紹介しておこう。

今回起こしている裁判は、正確には二つに分かれるのだが、原告は業者だけでなく奈良県相手の行政裁判もある。むしろ現状では行政裁判が主になっており、県の出した許可の執行停止を求めている。

途中裁判官の交代もあったのだが、現在の裁判官は、建設現場の視察(現地進行協議と呼ぶのだそう)まで行った。そして来年1月14日に結審することまで決まった。ということは3~4月には判決が出るだろう。

ともかく、今も工事が進んでいるので、長引けば長引くほど建設は進んでしまう。現在は調整池の建設だから、災害防止につながる作業だが、盛土をしてソーラーパネルの設置が始まると止める意味がなくなる。

私からすれば、すでに森林伐採は終わり、調整池建設にかこつけて随分地肌を削っているのが見えるから、もはや環境的には破壊し尽くしているんだよな。

弁護士の方針や判決の行方はともかく、行政が一度許可認可を出したら、いかに引っ込めるのに抵抗するのかよくわかる。そして取り返しがつかなくなることも。罰則もあるのかないのか。業者がすっぽかせば終わってしまう。

おそらくこれは、盗伐問題でも一緒で、違反行為があっても、伐採してしまったらコッチのもんという業者側の発想がなぜ持てるのか理解できるようになった。

実は、平群から南に下った香芝市では、万葉集でも知られる景勝地・二上山に巨大な産廃施設が建設中で、こちらも問題になっている。

だが同じく地元自治体の認可を受けているし、今のところ違反行為も見つかっていないというから止める手立てがない。すでに巨大な土のピラミッドが造成されてしまった。

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法的に環境破壊を止めるのは、極めて難しいことを痛感する。

 

 

2024/12/03

熊野古道の雲海の村

今朝、何気なくつけたテレビで野迫川村が登場していたので驚いた。奈良県で最小、いや全国でも最小の村である。

それもモーニングショーだから全国版でわりと長く(15分くらいのパートだったと思う)放送された。ローカル番組でなく、これほどこの村が取り上げられるのは珍しいのではないか。

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何しろ人口327人……とテレビでも紹介していたが、実態としてはその半分、150~160人くらいではないか、と言われる本土最小の村なのだ。そこに外国人観光客が殺到しているという。観光客は年間5万人ほどだが、その3割が外国人!

何が目的かと言えば、まず熊野古道が走っており、次に雲海が年中見られることが売り物の、天空の村であること。ちなみに私も幾度となく訪れているが、なぜか雲海は一度も見られない(^^;)。

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それにしても熊野古道全体では、8割が外国人だというもはや日本人より有名になっている。ただ熊野古道と言っても、この村は有名な中辺路ではなく小辺地というルートで、山越えの多い道のため相対的に訪れる人は少ない。それが逆に名所になっている。古道が歩きたくても人が多すぎると楽しめないという人も多いのだ。番組では、まさに世界中から人がやって来ていた。オーバーツーリズムを嘆いているのは、日本人だけではないのかもしれない。

以前より「雲海が見られますよ~」と売り出していたものの、なかなか客は増えなかったのに、ネット、それもSNSでたっぷりの写真とともに紹介されたことでバズッたらしい。

私にいわせれば、潜在力はあったのだ。なぜならこの村の隣が和歌山県高野町。年間100万人以上が押し寄せる高野山の総本山だ。ほんの少しの工夫で、それらの一部に足を伸ばしてもらえる。

もっとも気をつけないと足を救われるかもしれない。

小辺地ではないが、熊野古道の一部、十津川村の一角にはこんなところもある。

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古道のすぐ側に作業道が伸びているのだ。それも古道に平行して何百メートルも開削した。当然、林業事業体が敷いたのである。そして、この道から巨大な皆伐地が目に入る。これって世界遺産を訪れる人に対する林業家の嫌がらせ?と思ってしまう所業だ。

古道を歩いてきた外国人は、それを目にして、その場で写真をとり、それをユネスコのイコモス(国際記念物遺跡会議 にメールで送るそうだ。イコモスは日本政府に問い合わせ、文化庁が林野庁に、さらに奈良県に問い合わせるという。

林業が世界遺産を壊したといわれないように。

 

 

 

2024/12/02

「チェキ」が売れているとな

インスタントカメラ「チェキ」が売れているという記事を読んだ。

チェキはフィルムカメラである。ただし、撮影後すぐにプリントされる、一昔前からポラロイド社のものが有名だった代物。

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フィルムカメラなんて、ほぼ絶滅危惧種だと思っていたし、インスタントなら一時期「写るんです」が一世風靡したけど、携帯電話にカメラを付きだした頃には消えた。その後、デジタルカメラ全盛となるも、どんどん携帯電話、そしてスマホのカメラの性能が上がっていくうちに、コンパクトカメラさえも劣勢になる。今はプロ仕様の高級カメラかスマホか、フィルムカメラは大型版だけか…という時代。ちなみに私はコンパクトカメラが気軽で好きなんだけどね。スマホでも撮るが、イマイチ撮影感覚がない。辛い。。。

ともあれ、なぜインスタントカメラなのか? 価格を見ると、1~2万円代から、5万円もするものもある。価格ではコンデジの廉価版クラス。ただしフィルム代が別にいる。どうも1枚あたり費用は100円を超すようだ。安くない。
また「レンズ付きフィルム」を謳った「写るんです」に比べてカメラそのものだ。実際、性能もそこそこいいし、技術的にも高い仕様だ。安物カメラの代わりではなさそう。一方で出生産者(富士フィルム)からすると、利益率が高くて美味しい商品らしい。

だが、圧倒的に「その場でプリント」が好まれているのだろう。スマホでも何でも、データとしてはあってもプリントするものはほとんどない。だいたいプリンターが別途必要で面倒で高い。
SNSやホームページなどネットへの掲載やメール・メッセージなどによる転送で拡散させることはできるが、紙にプリントされることに価値を見出されているのではないか。調べると、用途としては個人の趣味のほか、アイドルの撮影会などでも使われるそうだ。

この「プリントする」ことの価値。これだ。

もちろんデジタルカメラに逆襲するわけではない。オルタナティブな用途を探る。隙間的ではあるが、売れるもの。利益率が高いもの。

ここで連想したのが、木材の用途。木材の使い道はたいてい代替品がある。金属にプラスチックにガラス、コンクリート……。性能的にもそちらの方がよいものが多く、大量生産ができて価格も安い。製品づくりも簡単で自動化されたものが多い。

その中で、ああだこうだと木材の有効性を唱える声があるが、それは無意味なのではないか。必要なのは、全然方向性の違う使い道。価格でも高機能でもなく、ただ欲しくなる用途。ゲーム性やファンシー性のある趣味品。ネタになるもの。ファッション性の高いもの。あるいは医療に使えるもの……。

それが何かわからんのだが……(笑)。

2024/12/01

古代の木材カスケード利用

今の林業を衰退せしめたのは、木材利用の歩留りの悪化だ。

とまあ、そこまで断言はしないが、木材価格が落ちているのに歩留りまで悪化したのでは、林業は儲からない。

そんなときに見かけたのが、古代の木材のカスケード利用である。

そこは藤原宮跡資料室。平城宮に先んじた日本最初の都城跡だが、その一角に奈良文化財研究所の藤原宮跡資料室がある。ここにも寄ってきた。なかなか穴場で人は少ないのだが、展示品は第一級だし、無料観覧できる。第一、立地が遺跡の真ん中(^_^) 。

ここにもハニワや土器がいろいろ展示されているが、やはり目を引くのが、巨大な丸太。

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古代の藤原宮の宮殿に使われたと思われる柱なのだが、実は出土したのは平城宮跡。そしてよく見ると。

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このように中がくり抜かれている。なぜかと言えば、に使っていたからだという。まあ、今なら土管か側溝のような用途かもしれない。ちなみに本当に土器で排水施設もつくられていたから、それは土管そのものだ。

藤原宮は、その規模は1辺5キロを超す大規模な都だったのだが、飛鳥宮から遷都後十数年で、平城宮にまた引っ越す。その際に、宮殿などは解体して部材を平城宮まで運んだようだ。もっとも、再び元の用途には使えない木材もあったから、それを再利用して樋などをつくった模様。まさに木材のカスケード利用である。木材資源は貴重だったのだろう。

ちなみに木材は、当時から滋賀県の田上山から運んだとある。それを川を使いつつ陸上も運搬して藤原宮、つまり橿原市まで運んだのに、またそれを平城(なら)まで移動させたのだから、たいした輸送力だ。ちなみに丸太には、運ぶ際の筏にするための穴まである。

 

余談だが、こちらには日本最初の貨幣・富本銭の展示があった。実は、明日香村の萬葉文化館で本物の富本銭を展示している。それが有料で、私も入場料を支払って見たのだが、なんとこちらでは無料で、しかも常設展示(^^;)。国(奈良文化財研究所)と県、市町村と管轄はバラバラなので、こういうことが起きる。穴開き銭だからではないが、穴場。

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なお、この横に、富本銭より前につくられたと思われる国産通貨もあった。それを無文銀銭という。何の紋様も字も書かれていない、単に丸くて穴の空いているだけ。しかもいびつで、大きさも定まっていなかったようだから、地金の塊で、試作品みたいものだ。畿内で少しだけ流通したようだが、中国の唐銭も入ってきた中、自作したのだろう。みんな試行錯誤しているだよ。

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