林野庁の考える「再造林」
林野庁の情報誌「林野」令和6年12月号。
ここに「今後の再造林に向けて」という特集記事がある。
いやあ、これが興味深い……こういうのをマッチポンプとか、アクセルとブレーキを同時に踏むというのだろうか。
まず最初に、日本の森林資源がいかに充実してきたかを示す。世界的にも上位で、人工林面積や森林蓄積をグラフで現して、「現在は多くの森林で収穫作業としての伐採の時期を迎えています」。単に伐採と書かず、「収穫作業としての」をつけるなんて秀逸だ(笑)。
何がなんでも伐採を増やす、木材を増産するという立場は崩さない。そのうえで、木材価格が落ちたことや林業従事者が減ったことで再造林が進まないという。そして省力化、低コスト造林を進めています……との宣言。そして「省力、低コスト造林に取り組む事業者への支援を拡大しております」と結ぶ。
ドンドン伐採しろ、そして跡地にはちゃんと植えてね、という論法か。まず再造林は伐採とセットになっていることを示すべきじゃないの。再造林しないと伐採届は受け取ってはダメなんであって、伐採後放置しているのは違法行為なんだと伝えるべきだろう。再造林しないのなら伐採してはダメ、とはっきり言うべきだ。
まあ、私は、再造林以前に皆伐を減らすべきだと思うが……。再造林できるレベルに皆伐面積を減らせばよい。
最後に「各地で行われている試み」を囲みで少しだけ紹介している。
盗伐天国の宮崎県が再造林条例で持て囃されるかあ。
ちなみに地方では、コンテナ苗使っても全然省力化にならないとか、植栽本数を減らすことに対する疑問の声が出ているんだが。もう林野庁の製作に対しての信頼感がなくなっている。銀行員が盗みをしたり、警察官が殺人を犯したら「信頼がなくなる」というが、林野庁は何をしたのやら。
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