熊野古道の雲海の村
今朝、何気なくつけたテレビで野迫川村が登場していたので驚いた。奈良県で最小、いや全国でも最小の村である。
それもモーニングショーだから全国版でわりと長く(15分くらいのパートだったと思う)放送された。ローカル番組でなく、これほどこの村が取り上げられるのは珍しいのではないか。
何しろ人口327人……とテレビでも紹介していたが、実態としてはその半分、150~160人くらいではないか、と言われる本土最小の村なのだ。そこに外国人観光客が殺到しているという。観光客は年間5万人ほどだが、その3割が外国人!
何が目的かと言えば、まず熊野古道が走っており、次に雲海が年中見られることが売り物の、天空の村であること。ちなみに私も幾度となく訪れているが、なぜか雲海は一度も見られない(^^;)。
それにしても熊野古道全体では、8割が外国人だというもはや日本人より有名になっている。ただ熊野古道と言っても、この村は有名な中辺路ではなく小辺地というルートで、山越えの多い道のため相対的に訪れる人は少ない。それが逆に名所になっている。古道が歩きたくても人が多すぎると楽しめないという人も多いのだ。番組では、まさに世界中から人がやって来ていた。オーバーツーリズムを嘆いているのは、日本人だけではないのかもしれない。
以前より「雲海が見られますよ~」と売り出していたものの、なかなか客は増えなかったのに、ネット、それもSNSでたっぷりの写真とともに紹介されたことでバズッたらしい。
私にいわせれば、潜在力はあったのだ。なぜならこの村の隣が和歌山県高野町。年間100万人以上が押し寄せる高野山の総本山だ。ほんの少しの工夫で、それらの一部に足を伸ばしてもらえる。
もっとも気をつけないと足を救われるかもしれない。
小辺地ではないが、熊野古道の一部、十津川村の一角にはこんなところもある。
古道のすぐ側に作業道が伸びているのだ。それも古道に平行して何百メートルも開削した。当然、林業事業体が敷いたのである。そして、この道から巨大な皆伐地が目に入る。これって世界遺産を訪れる人に対する林業家の嫌がらせ?と思ってしまう所業だ。
古道を歩いてきた外国人は、それを目にして、その場で写真をとり、それをユネスコのイコモス(国際記念物遺跡会議) にメールで送るそうだ。イコモスは日本政府に問い合わせ、文化庁が林野庁に、さらに奈良県に問い合わせるという。
林業が世界遺産を壊したといわれないように。
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