Googleで巨石探し
生駒山と並行して南北に伸びる矢田丘陵。その某地に巨石があることは知っていた。
ある神社の裏手の山の中だというのはわかっている。が、まったく手がかりなく、道もない神社の裏山を歩き回って探すのは難しい。そこで諦めていたのだが、たまたま近くを車で走り、その時にスマホのGoogleマップを立ち上げた。そこにある分かれ道に逸れたらどこに行くんだ、カーナビにはその道は描かれていないし点……という気持ちだったのだが、なんと、Googleマップには巨石の印があったのだ。
分かれ道の方はそこそこに(^^;)、巨石の位置に興味がわいた。もちろんGoogleマップとはいえ、そんなに正確ではない。国土地理院の地図なみに等高線も入っていないし、山の中なのだから緑一色のある一点。ただ距離はつかめるし、こちらの移動に合わせて現在位置も示してくれるから、近づいているのか遠ざかったのか読み取れる。
ならば行かない選択肢はあるまい。
神社の裏から山に入る。道はない。かなりの急坂で、しかも落葉の量がすごくて、つるつる滑る。たまに大石はあったが、その周辺に巨石が見えるわけでもない。
それでも地形を微地形を読む。かつて、その石を祀っていたのだから、きっと当時は道はあったはずだ。今は消えたとしても地形として残るはず。Googleマップに打ち込んだ人も、たどり着けたのだから、行けないわけはない。
急斜面を滑りながらよじ登ると、垂直の岩壁が現れた。人為的に削ったのか、それとも崩壊したのか。高さ5メートル以上で、横には数十メートル。なかなかの岩壁である。しかも、その前が平らになっている。ここに過去何かがあったはず。消えた神社? Googleマップではかなり近づいている。
そう考えて、道跡ぽいところをたどると……。あった。
どーん。3つの巨石が並んでいる。いずれも細長くコッペパン状。
でかいよ。長さは10メートルは超すだろう。これが幻の巨石か。不思議なのは、岩の表面がわりとつるつるしていること。山の石なら尖っているはずなのに、川石のように削られて丸くなっている。人為的なのか、自然現象で起きることなのか。
浜に乗り上げた丸木舟ぽく見える。生駒は、かつてニギハヤヒノミコトが降臨した地である。神武天皇より早く、大和の地にやってきたのだが、その際は岩舟に乗っていたと伝わる。だから生駒山系には、いくつか岩船・磐船神社があって、岩を祀るところも数多いのだが、ここも伝説に結びつくのだろう。
以前は巨石の近くに神社があって岩を祀っていたのに、明治の神社合祀令で廃止になって、麓に下ろされたらしい。そして数十年も経つと、木々が茂り、わからなくなってしまっていたのだろう。
神社の施設の何かの痕跡か。
ちなみに、そこから再び森の中をかき分けて、つまり道のないところを下りたのだが、ときおり巨石を見かけた。渓谷の河床には細長い岩もあった。コッペパン状に岩がなるのは、何か地質的に意味があるのかもしれない。
地形と地質が伝説をつくり、時代とともに廃れて忘れられ、それがまた別の伝説を生み出す。失われた記憶が幻としての伝説になる。
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