食品等流通法はエガリム2法に近づけるか
通常国会で、生産コストを考慮した食品の価格転嫁に向けた食品等流通法改正案などが予定されている。
農家など売り手側がかかったコストを明確にし、買い手側がその費用を考慮して取引することなどを定めようとするものだ。努力義務だが、生産コストを小売り価格に反映させろというわけである。
これって、エガリム2法に近い? 近づけようとして改正を目論んだのか? 私が最初に頭に浮かんだのは、この点だ。
エガリム法およびエガリム2法は、フランスの法律。私は、以前、この法律に関する記事を書いた。まったく無反応というか、読者はいたのかどうかわからないほど、興味を引かなかったようだが。
トレーサビリティの次はコスト明示。適正価格求めるエガリム2法
まあ、この記事を書いたときは、日本側はエガリムに対して、まったくやる気のない国会答弁もあったのだが、私は遠からず議題に上げなくてはならないだろうと思っていた。今回の法改正案は、それに近づけるのか? だいたい資材代も肥料も燃料も値上がりしているのに小売価格を上げないように、卸価格を叩いている現状がおかしいのだから。農作物だけでない。小規模生産者は、団結できないゆえ常に買いたたかれる。
食品が値上がりすれば、消費者の買い控えにつながると言われる。しかし、米が高値だとぶうぶう文句言うが、フードロスはいまだに高い。2021年で、523万トンだという。全生産量の約2割である。世界中では生産量の4割近いらしい。価格が上がれば、無駄にしないように工夫するから、フードロスも減るのではないか。
法改正では、コスト反映に対しての支援制度を創設するものらしい(まだ法案を読んでいない)。国産原材料の安定供給に農家と連携したり、温室効果ガスやフードロスの削減に取り組んだりしたら、金融支援や税制特例をつけるというものだ。日本流の穏やかな内容になりそう。支援金で誘導しようというのも、相変わらずの行政手法だが。
ちなみにエガリム法の正式名称は、「農業および食料分野における商業関係の均衡並びに健康で持続可能で誰もがアクセスできる食料のための法律」。目的として上げられているのは、
①農業者と取引相手との適正な取引関係の促進
②食品の品質・地産地消の強化
③健康に寄与し信頼性および持続可能性の高い産品の促進
④食料分野におけるプラスチック使用の減少など
単にコストの価格転嫁だけでなく、さまざまな要素が含まれている。
コストを折り込んだ価格形成を行わせるのは、食料だけでなく林産物も含めて全商品で考えるべきだろう。木材なんて、50年60年単位でコスト計算してみたらいいと思うよ。これもサスティナビリティ経済だ。
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