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2025/02/09

セルロースナノファイバー入り和菓子!

日経新聞に、久しぶりのセルロースナノファイバー(CNF)の記事。

それがステキ(笑)。

CNFの使い道に和菓子があったというのだ。

木材由来の新素材、価格低下で離陸期 セルロースナノファイバー 和菓子食感良く/車部品を補強

和菓子に使用すればもっちりと独特の食感が出せるという理解が広がってきた」。日本製紙の松岡孝参与は手応えを話す。
CNFは植物繊維の主成分であるセルロースを細かく解きほぐしたもので、保湿性や増粘性が増す特徴がある。少し混ぜて食感を高めると売り込み、日本製紙は和菓子業界への提供を拡大。静岡県富士市の老舗「田子の月」などを開拓してきた。

もちろん、これは導入部であり、ほかにもボールペンのインキ、化粧品、生コンクリート、FRP……と、さまざまな用途を紹介している。

しかし、私には、こうした使い道がもっとも正しいと思う(^^;)。小さな用途からコツコツと、である。

記事自体が、製紙会社がCNFの製造と用途開発に力を尽くしてきたことを紹介するものなのであって、生産と用途が広がってきたことを示す。それはそれなりに頑張っているなあ、という印象を持つ。

Photo_20250208122201日経記事より借用

ただ、仮にCNFの用途が広がって儲かるのは製紙会社であることも一目瞭然。材料は紙と同じであるから、原材料は安い木質物なのだろう。高く、大量に買ってくれるとは思えない。

つまり林業には貢献しない、という私の想像どおりでもある。もしかしたら、原材料を木材から農業廃棄物にすることも考えられる。ようするにセルロースを含んでいればいいのだから。和菓子材料の小豆のカスなども使えば、和菓子業界に喜ばれるかも。

実際、製紙業界は林業界・木材業界とは違う。管轄も、どちらかと言えば経産省。

いや製紙業界からしても、CNF生産は副業にはなるが、そんなに大きな利益を生み出商品になるかどうかは怪しい。紙と違って、どんなに頑張っても量的には小さい。利益率は高いだろうが、パイがどこまで広がるか。

そこんところを勘違いして、CNFが林業を救う! 的な宣伝はアホだなあ、と感じるのだ。

もっと複合的に林業の木材生産、製材を中心に建材づくり、家具づくり、製材屑を製紙にCNFとバランスよく生産するシステムを構築しないと利益を生まないだろう。

 

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