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森と林業と動物の本

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2025年3月

2025/03/31

プレジデントオンラインに「お墓」の記事を書いた裏事情

「プレジデントオンラインpresident on line」に

骨壺が蹴飛ばされ、遺骨が滅茶苦茶に…「散骨」「樹木葬」ブームの陰で起き始めた新たな"お墓トラブル"

という記事を書きました。

先にYahoo!ニュースに記した記事を深掘りした記事と思っていただければ幸いです。

森を守る墓!墓埋法の改正めざす

もっともYahoo!ニュースは、意外と?執筆テーマのカテゴリーに厳しく、私は森林に関わる科学と第一次産業をテーマとする記事ということになっている。そのため、樹木葬はかろうじてよくても、それをお墓を巡る社会的な記事にすると「指導」が入る(泣)。

そこで新たな執筆舞台を求めたのだが、プレジデントで書かせてくれることになった。それでも、プレジデント自体がビジネスマン向けであるし、基本月刊誌的な位置づけなので、「お墓が荒らされた!その裏で蠢く“自然保護団体”と地方政治のどろどろ」なんてテーマでは難しい。
そこでお墓全般を巡るトラブル全般の切り口になった。

う~ん、やっぱり社会派のトラブルネタは、週刊誌かな。。。。どこか、触手が動く編集者、募集中(笑)。

2025/03/30

ティラノザウルスと遣唐使とコウゾ

恒例の平城宮跡記念公園の一周散歩。

そこで出くわしたのが、ティラノザウルスのフォークダンスだった。

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なんじゃあ、こりゃ。ティラノがフォークダンスの曲に合わせて踊っている。ティラノの駆けっこ競争が流行っているのは知っていたが、今度はフォークダンスかよ。なかにはテンポが早くてなかなか疲れそうなダンスもあったが、これは思わず噴き出してしまうぞ。

で、その背景に注目だ。これこそ、遣唐使船である。この船で(ティラノは)唐まで幾度も海を渡ったのだ。ティラノもフォークダンスも、唐の国から持ち帰った文化である(^^;)\(-_-メ;)。

そして遣唐使についての説明のパネルや映像もあるのだが、そこに輸出品と輸入品が飾ってあった。驚いたのが、これだ。日本は、これを輸出していたのか!

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わかるだろうか。楮糸とは、コウゾの繊維である。これが日本から唐の皇帝に貢いだのか。

コウゾと言えば和紙の原料だが、これはコウゾを紙の原料として輸出したのではなかろう。和紙そのものが中国伝来のものだからだ。やはりコウゾから糸をつくって、布にしたいたのだろうと思われる。
コウゾは、「白い繊維」であることから、神を招き、神が宿る布として珍重されていたという記述もある。またカゴを編む素材としても、コウゾは重要だった。コウゾの別名にカゴノキもある。ほかカジノキ、カミノキなど。神が宿るから紙を漉いた、といえば出来すぎだが。

コウゾの繊維から糸を作って、それを編むと不思議な布になりそう。

 日本の和紙は、ほぼ輸入コウゾで作られているが、国産コウゾを広げるためには、紙だけでなく布としての利用も含めたら幅広くなるかもしれない。

 

2025/03/29

幻の「小赤」。金魚は繁殖する

我が家の庭には池があり、金魚を放っている。

最初はいくつか種類があって、そこに小赤と呼ばれる金魚すくい用の小さな金魚を20匹くらい入れた。徐々に数が減っていくのだが、逆に小赤から大きく成長するものもいて、今では10センチ近いものが約10匹いる。また別に入れた白赤のコメットという種も、3匹入れたのだが1匹に減った代わり、それがかなり大きくなった。合計11匹。

昨年、急に小さな金魚を見つけた。しかも赤に黒入り。そんな金魚入れていないから、池で生まれたのだろう。産卵したのである。小赤は、通常は和金で、ほとんと赤一色だが、これは変種ということか。コメットと交雑したのかもしれない。

それも数が減って行って、1匹だけが大きくなってきた。3センチぐらいまでなった。ところが。

それより明らかに小さな同じような赤黒の小赤を見かけたのだ。2センチあるかないか。2匹いたのか! と思ったが、どうしても3センチサイズの小赤が見つからない。まさか縮んだ(^^;)なんてことはないはずだが……。

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その後、やはり3センチ小赤をよく見かけるようになった。小さいヤツは生き残れなかったか……。と思っていた。

だが、ついに2匹同時に確認したのである。

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左はコメット。右に大小の小赤が見える。ちょっと水面の反射で見えにくいが、2匹いることを確認できた。

冬を過ごしたのか。これで合計13匹だ。このまま繁殖してくれたら楽しいが、改めて金魚を導入して交雑させても楽しいかもしれない。色だけなく、形態も変われば新品種になるかもしれない。
我が家の池のキャパシティは何匹までなのかよく観察しながら金魚養殖作戦に挑戦だ。

 

2025/03/28

林野庁「森林林業の現状」分析を楽しむ

林野庁が、最新の「森林・林業・木材産業の現状と課題」を出した。

こういうのに目を通しながら楽しむ。どこにつっ込めるかなあ、……と考えながら。なんて悪趣味なんだ(> <;)

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世界の森林と林業なのだが、森林率の順位で面積が大きいのは、日本は3位で、上位はフィンランドとスウェーデンになっている。ここまではよく知られた話だが、一方で人工林面積のランキングが面白い。大きいのはほぼ大陸国家の中で、スウェーデンが5位をキープしているのだ。これを森林面積と比べると約半分が人工林。日本より10ポイントも高い。フィンランドの順位は9位で日本の次だが、北極圏を含む。
北欧は「森の国」であることを売り物にしているが、目にする森の多くは人工林なのである。

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これは国民が期待する森林の働き。まー期待だから実態とは違って当たり前だが、木材生産を見てほしい。この乱高下はなんだ? メモリは3~4年刻みだが、1999年に急降下したうえで、2019年に回復したのはなんだ? そして2023年はまた落ちた。これらの理由を分析してほしい。
なお特用林産物、つまりキノコ類や野外教育も順位は下落傾向。野生動物も落ちているが、23年に一つ上がったのは、獣害が頻発したことが理由かもしれない。

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温室ガスの削減・吸収のグラフなのだが、ちょっとわかりにくい。ようするに森林が吸収する分は小さくて、輩出削減が大部分を占めるわけだ。でも、22年が4568万CO2トンなのを、40年には7200万CO2トンに増加させる計画なのか。グラフでは小さくても量は多い。
しかし、それなら森林の伐採を推進するのは矛盾だろう。別のグラフでは、木材利用をさらに増やす計画になっているけど。再造林をすれば大丈夫というものではないし、再造林そのものが半分以下の現状からしても、木を伐ってCO2を吸収させるなんて……(´_`)。

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これは違法伐採対策として上げているクリーンウッド法なのだが、あれ? クリーンウッド法は違法伐採禁止を謳っていないよね。合法木材推進にすぎない。違法木材を留められないのだ。
そして業者登録制だが、これによると現在登録した業者は696件か。日本に木材関連事業者って、何件あるのか。数千件?数万件?登録率も出してほしい。登録してもしなくても、違反して何の罰則もないわけだが。

……とこういう風に見ていくと、楽しめるのでありました。

 

 

 

 

2025/03/27

妄想~地球の生物が増えたのは山火事のせい?

山火事つづきである。そして、私も山火事に関するYahoo!ニュースへのコメント続きである。

思えば昨年のハワイ、そしてロサンジェルスで巨大な山火事が発生した頃から、山火事に関するコメントをつけだした。

そして今年は日本で大船渡から始まり、岡山・今治、宮崎、そして三重県伊賀市で連鎖的に起きている。なお韓国では同時多発的山火事がものすごく、死者もかなり出ている。その煙が日本にも流れてくるという。

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なぜ私のところにコメントの依頼が来るのか。

ようするに山火事専門家なんぞいないからだろう。そこで気象予報士など気象の専門家や消防関係者などにお呼びがかかるわけだが、山火事そのものを語れるわけではない。

私自身は、森林火災はともかく、焼畑に以前入れ込んでいて、それから野火や火入れなどの「火の生態学」をかじったほか、私自身もボルネオの大森林火災に出くわしたり、生駒山で山火事を発見したりしたことがある。実際の山火事は、消そうと思うのがむなしくなるほど大変だ。

私が話せることは何か。火災原因はそちらの専門家がいるので、これまでは生態学的観点と、林業から派生した山の仕事としての山林消防にテーマを絞っている。でも、同じ山火事に幾度もコメントを求められてもネタが尽きる。


ところで、決して公にコメントできないのだが……山火事の効用ということも考えておきたい。

一般に火事で木々が焼けることで植生の遷移が促進される面がある。火事がないと発芽しない種子もある。

それに加えて、山火事で焼けた木質が木炭になったら、それが土の中に残れば、炭素蓄積になるのではなかろうか……と思いついてしまった。木炭は、分解されることがないので、炭素は半永久的に土の中に蓄積されるではないか。

もしかして、地球は何億年もかけて森林火災を繰り返して土の中に炭素を溜め込んできたのではないか。それで土の性質も変わって来て、木炭にバクテリアなどが住みつき、植物の成長に影響する、という発想である。それが黒ボク土を作った。炭素を地中に閉じ込めたことで、大気中に酸素が増えた可能性もある。森林火災こそが、動植物の進化と多様性に寄与したのだ……。

こんな妄想をした。

火事は二酸化炭素を発生するから地球環境によろしくないと思いがちだが、木炭を残しつつ、新たな草木が繁ることで大気中の炭素を固定することになるかと思うと、長い目で見たら生態系を豊かにしていると言えなくもない。山火事だって悪くない?

あ、炎上する(^-^;

2025/03/26

「花粉症の原因」巡って30年

そろそろスギ花粉症からヒノキ花粉症に移りつつある、4月にはシラカバ花粉症が始まる……そんな発表が。

日本気象協会 2025年 春の花粉飛散予測(第5報)

ふと思ったのだが、スギ花粉に反応する人は、ヒノキ花粉にも、シラカバ花粉にも反応しやすいのだろうか。ありとあらゆる花粉に反応する花粉症罹患者だっているのなら、年中何かの花粉に曝露していると思うのだが……。

そうなっても、スギは憎いだろうか。いつも花粉症の季節には「スギを全部伐れ!」という声が響くのだが、ヒノキを伐れ、シラカバを伐れ、そのうちダケカンバもクヌギもケヤキも伐れ、もちろんブタクサにすカモガヤも焼き払え、除草剤を撒け!とは言わないのだろうか……。

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スギ花粉の写真は飽きたので、シラカバ並木の写真を。これを見て,くしゃみする人がいたら教えてほしい。


今朝の朝日新聞に、こうしたオピニオンが。

花粉症の原因は人間側に? 環境激変、追いつけぬ身体 神里達博

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わざわざ花粉症の歴史を振り返り、イギリス、アメリカ……と花粉症が発見されて、いよいよ日本でも1963年の「発見」が語られる。ただ、それ以前の日本に花粉症はほとんどなかった、と書かれているのは、ちょっと問題だ。単に名称がつかなかっただけで、はるか昔からスギに触れる人の中にはいたと思う。さらにヒノキにもシラカバにも。「発見」されなかったら、風邪扱いだろう。順序も英米日と並べる必要はない。さらに言えば、イヌやネコ、サルも発症している。

ともかく、結論としては、花粉症は人間の身体に問題があるのではないか、と結びつけている。

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これらはあくまで仮説であり、反論もあるのだが、ようやく、こうした意見が新聞に載るようになったか、というのが私の気分だ。

私は、『「森を守れ」が森を殺す!』を出版した頃から、こうした仮説を紹介・主張してきたのだ。もはや前世紀、出版は1996年だから、約30年前からと言ってもよいだろう。

時代が、私に追いついたね( ̄^ ̄)。。。

 

 

 

 

2025/03/25

我が家の植生遷移

このところ毎朝、庭の動植物チェックをする癖がついたのだが、毎回いろいろ発見がある。

気にしているのは、新しい草花の登場。今年目立つのは、スイセンだ。

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あれ? こんなにスイセンがあったっけ、と思ってしまうのだ。急に庭の各所にスイセンが伸びだした。昨年までまったくゼロだったかどうかは確認していないのだが、少なくても今年のように目立つことはなかった。今年は、ほとんど記憶にないは場所に芽を出している。

なぜ今年になってワサワサと生えてくるのか。しかも写真のように石の下から伸びてきたものもある。かわいそうだから石を少し動かしたが。

スイセンは、種子が飛んでくるというよりは球根が分球して増えるはず。もしかして、父が昔、球根を植えた・もしくは種子を蒔いたのだろうか。しかし、長く成長しなかったのが、今年は何か条件がよくて急に伸びだした? 私が手入れしだしてから、環境が変わったのかもしれない。そこそこ土をいじっているし、市販の肥料に加えて堆肥も入れた。

そういや、こんなアヤメも、隅の方で花を咲かせていた。通常は気づかないような場所。

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これも、昔植えたのかなあ。昨年見かけたのかどうか記憶にない。庭の植生も、毎年遷移をしていくのだろうか。

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こちらは、なぜか我が家に姿を見せるネコ。近寄ると逃げるのに、いつも庭にいる。餌はやらないぞ、と固く決意しているのだが……ねえ。
植物だけでなく、動物層も遷移していくのかね。

2025/03/24

「森」が取れた「聞き書き甲子園」

なんと、本日3月24日に、「聞き書き甲子園」フォーラムが開かれたそうだ。オンラインもあったそうだが、もちろん私は聞いていない(^^;)。

そして、気づいたのである。

「これって、以前は「森の聞き書き甲子園」だったよな……。今は森がついていないわ。。。」

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23回目を数えるが、私はスタートした時の記憶がかすかにある。林野庁主催で、林業に関する技術者を森の名手・名人を100人剪定して顕彰するのではなかったっけ。そして高校生が彼ら名手名人らをインタビューして記録に残す……という趣旨であった。

そのうち森林や林業関係ばかりでは足りなくなったのか、川や海の名手名人も加えるようになった。そしてタイトルからも「森」を外したわけか。でも、「農」は入っていない。それどころか、選ばれる人は、あまり第一次産業ぽくもない。

【第23回聞き書き甲子園】優秀作品が決定いたしました

農林水産大臣賞が木造船で、文部科学大臣賞ががま細工。林野庁長官賞は漆器だよ。

もう、林野庁が絡む必要ないんじゃない?

だいたい、毎年100人からの人を選定していたら、ネタも尽きるだろう。そのうち町工場の旋盤技術者とか、大型クレーンを操るオペレーター、いやゲーマーやユーチューバーも入れるかもなあ。

私は多少裏事情を知っているが、選び方はかなりいい加減。地元自治体の推薦があって……とかいうが、推薦されなきゃプラットフォームにも載らないわけで、自治体職員の胸先三寸だ。師匠はもらわず、教わり始めて3年目の弟子がもらったケースも知っている。師匠とけんか別れした弟子がもらったケースもあったなあ。

結局、名人芸的な伝統技術の伝承や顕彰ではなく、聞き書きする高校生の教育的効果のみが目的と化してしまった。

まあ、聞き書きというのは、いわばオーラルヒストリーである。宮本常一的に名もなき市井の人の人生を聞き取ってはどうか。その点からは民俗学的な範疇に入る。むしろ、聞き取りをする対象者も、高校生に探させて選ばせたら本格的なルポルタージュ作品を生み出せるかもしれない。ノンフィクション作家の養成講座みたいになる。

もう、文科省に任せて、農水省も林野庁も環境省も下りたらいいんじゃない?

たらたら続けるだけが目的となるのはみっともないよ。

2025/03/23

庭のバケツにわいたもの

庭にバケツが置かれていて、雨水が自然に溜まる。まあ、春以降なら庭木の水やりにも使うわけだが……。

改めて覗くと、なにやら蠢くものが。そう、ボウフラである。

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これはすくった杓子の中。バケツにはかり多くいるようだ。

温かくなってきたのは数日前だから、それ以前の寒い日に越冬した蚊がバケツに産卵したことになる。おそるべし。

蚊は、ほんの少しの水でも産卵、孵化、そして脱皮して変態し成虫になってしまう。

これはいけないと、庭の各所に水がたまっていないかチェックをすることにした。小さな容器の底に水がたまっていれば産卵する可能性は高い。絶滅は無理でも、今繁殖を押さえておかないと、夏にはどうなるか。すでに鬼ボウフラもいるから、もうすぐ孵化するのだろう。そうなれば蚊が舞い出す?! 

もはや春から蚊など害虫に悩まされる時代になったのかもしれない(泣)。もっとも、最近の真夏は暑すぎて蚊も飛ばなくなった。これからは春の秋が蚊のシーズンなのかもしれない。

2025/03/22

関西万博の日本館

いよいよ関西大阪万博まで、あと3週間。みんな、盛り上がってる? いえ~い!!

万博と木材という点からは、大屋根リングが取り上げられることが多い。が、ほかに日本館も「木材使いました!」と力説しているパビリオンだ。

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内壁材や外壁材として使用されるCLTは、280組560枚。総使用量は、約1600立方メートル。これ、多いのか少ないのか。。。ちなみに展示はなんだ?建物そのものが強調されているが。
林野庁のモクレポにも特集記事が。CLTを使っていることを強調している。

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日本館のHPには、「円環状の構造体によって、いのちのリレーを体現する日本館は、ホスト国のパビリオンとして唯一無二の存在感を放ちます。最大の特徴は、円を描くように立ち並ぶ無数の「木の板」。その隙間からは内部を垣間見ることができ、中と外、展示と建築の連続によって、日本館のテーマにもある「あいだ」を来場者が意識するきっかけをもたらします。主にCLT(直交集成板)で構成される「木の板」は、万博終了後に日本各地で建物としてリユースされることを前提に、解体や転用がしやすいよう工夫されています。

 

なお、大屋根リングに使われた木材は、2万7000立方メートル。スギ、ヒノキ、オウシュウアカマツと並ぶが、一番多いのはフィンランド製のオウシュウアカマツだ。
最近の記事では、福島産の国産材を使ってます! と必死でPRしているが、
出荷しているウッドコアによると、福島県産のスギ材でつくった集成材を約4500立方メートル納入したという。つまり使用割合は1割6分になる。ほかに四国のヒノキも使っているが、加えても2割に達する程度ではないか。とはいえ以前は3500立方メートルだと言っていたから、頑張って増産したのかな。

主催者側のHPには、木造リングについて「樹齢30年ほどの木材を伐採し、新たに植林することでCO2の吸収・固定が促進される」と説明しているのを見つけた。え? 樹齢30年で伐っちゃったの??? これが本当なら、伐期40年規定を破ってやわやわの木を使ったのか、と思ってしまうし、まさか国産材の使用割合を増やすために無理して、伐期齢に達していない30年生スギを伐採したのか……と邪推もする。それに再造林きっちりしたか確認したのかも疑問。伐ってすぐに再造林しないよなあ。たいてい2~3年後。
実際の調達は、ボリュームゾーンの50年60年生の木ではないか。主催者とやらは、そんな林業事情を知らずに語ったように思える。

こうして突っこみつつ、だんだんリングや日本館を見たくなってきたぜ( ̄ー ̄)ニヤ。

 

 

2025/03/21

ご神木?の正体

昨日、大阪の街を歩いていて高津宮(高津神社)を通り掛かった。ちょっと参拝。

仁徳天皇を主神とする由緒があるが、今はむしろ多くの上方芸能人が参っていることで知られているかもしれない。

そこで見かけた不思議な木。

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もともとは、ご神木だったのだろうか。「いのちの木」と小さく書かれているだけだ。

しかし……この断面はなんだ。立っている時はどういう状態だったのだろう。中に樹皮が巻き込んでいるので、雷でも落ちて傷ついていたけど、傷を修復して蘇ったのかもしれない。だから「いのちの木」?

そういや、戦中のB29の空襲でも、周囲は焼け野原になったが、この高津宮だけは焼けなかったという。また江戸時代から幾度もの火事を乗り切ったそうである。その時代の龍の彫刻もあった。

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この木の全体像を見たのだが……野ざらしだからか、腐朽が進んでいる。かなり傷んでいるのでわかりにくいが、樹種はなんだろうか。

近くの案内板には、このようにある。

この長い桟橋は奈良県天川村から運ばれた材木で作られています
土と木で作られた舟は「とこしえの舟」と名付けられ
その上に浮かぶ古木は秋田県鳥海山の地中から見つかった2万年前の神代杉です
高津宮の新しい秋祭にあたり 2万年の時空を旅して この舟の上にすえられました
舟のうしろには樹齢400年のケヤキの大きな命のかたまりが
「とこしえの舟」を今日から始まる永遠の未来に押し出そうとしています

いのちの木のことを示しているのなら、秋田県の神代杉か、ケヤキになるが。

わかりにくいよ(-_-;)。

 

2025/03/20

生駒山の巨大松

生駒山の稜線には信貴生駒スカイラインという自動車に沿ってハイキング道が伸びているのだが、その一角に巨大松が並んでいる。

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これ、写真からはわかりにくいだろうが、直径1メートル超えのものが何本もある。周りの木々はちょっと貧弱な雑木ばかりなのに、突出して松の大木があるのが不思議。しかも、これだけの巨木がまとまってあるのは価値があるのではなかろうか。

おそらく戦前に植えられたのではと思うが、樹齢も100年を超えているだろう。真っ直ぐ通直の幹といい、よい原木が採れるぞ、と考えてしまうのは私の悪い癖(^^;)。木材欲しさというより、巨木を除くのは公園の植生改良にもなると思うが。

何か所か切り株はあるから、枯れたのか倒れたのを処理したと思うが、まだ数十本は残るだろう。伐りだした材はどうしたのか。このまま寿命が来る前に伐って搬出したら、それなりの値段が付きそうに思う。しかも近くに自動車道があるのだから、搬出も苦労しない。

とはいえ、生駒山全体が国定公園であり、松の生えているところは大阪府の森林公園でもあるし、道路は近鉄所有だから、無理だろうなあ。

2025/03/19

木育流行り

奈良県の三郷町(大阪との県境)に奈良おもちゃ美術館が明日、3月20日にオープンする。

東京おもちゃ美術館が全国展開するチェーン店の一つである。おもちゃと言っても木製が多くて、木に親しむ施設として全国的に広がっている。たしか全国に13くらいあって、そのうち幾つかは私も訪ねた。自治体など公的機関の運営が多いが、民営もある。岩手県の花巻おもちゃ美術館は林業会社の経営だ。

Topics_open奈良おもちゃ美術館(HPより拝借)

Dsc05718花巻おもちゃ美術館

奈良の施設も、刺殺じゃない視察したい希望はありつつも、オッサンが一人で入場料を払って入るのは恥ズすぎる。子供連れで一般目線で行くのがよいのか。あるいは「視察するぜ!」と上から目線で行くのがよいのか。誰か行く人の後ろにくっついていくのがいいな。男ばかりだとよりハズいけど。

もともと、ここは奈良産業大学のキャンパスだった。それが奈良学園大学に改名して奈良市に移転したので、その跡地に設立された施設だ。昨今、閉校した学校施設の使い道がいろいろ模索されているが、おもちゃ美術館も学校跡地に多い。三郷町の場合は、場所が山の上ではなかったか。

ところで、奈良に極めて近い大阪のイオンモール四條畷にも木育施設ができるようだ。

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すでにイオンモール大和郡山にも木育広場が作られている。

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どちらも無印良品が運営しているようだが……そのほかスーパーマーケットなどでも木育的な子供を遊ばせる一角を設けているところもある。なんだか木育流行り? これらは無料だから、集客メインなのだろう。子供を連れてきた親は、無印かイオンで買い物をするから。

木育を否定するわけではないが、私はいま一つ効果面で限定的と感じている。木のおもちゃで遊ばせといたら木に親しみ、森に親近感持つだろう……なんてのは子供なめてんのか、と思う。それに木材から木、森へと意識を広げられるのか。

絶対に必要なのが、理念やマンパワーだ。インストラクター、ガイド抜きでは教育効果は弱く、そうした人員を配置するのはコストがかさむ。結局、ボランティア頼み。自治体運営が多いのもそのせいだ。
集客も、イオンのように買い物目当ての客がいないのなら、よほど頑張らないと時とともに厳しくなる。むしろ民営の方が真剣さがあるかも。

さて、どうなるかな。

2025/03/18

常緑樹の落葉

我が家のミカンの木が、最近よく葉を落とす。昨年(~今年)は、よくミカンを稔らせてくれたのだが……。

ミカンは常緑樹。冬も葉を落とさず常に緑……のはずなのだが、かといってずっと同じ葉をつけ続けるわけではなく、生え代えるものであることはわかっている。五月雨式に葉を落とし、また新葉が生えてくる……のだが、この春先には、かなりの葉を一気に落とした。落葉樹なみだ。もちろん裸になったわけではないが、密生からスカスカになった感じ。

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実は、剪定もした。ミカンは、この時期に余分な枝を刈り取っておかないと新たな枝が少なくなり実がなりにくいからだ。できるだけ重なり合う枝葉を切り落とした。そんな剪定をしている最中に葉を落としだした。大丈夫か?

まだ次の葉が生える様子はないのだけど。こうした常緑樹の庭木には、目隠しの意味もあって、我が家も隣家から家の中が見えないように常緑樹を多く植えているのだが、春先は落葉樹もまだ新葉がないし、常緑樹も葉を落としたもんだから、なかなかの見通しになってしまった(^^;)。

ほかにも常緑樹はたくさんあるが、みんながみんな落葉しているわけでもない。

ちなみに我が家は、なるべく有機物を外に持ち出さないようにしているので、これらの葉も溜め込んで積み上げ堆肥にする予定。ミカンの実のジュースを絞り終えた果皮もコンポストに入れて、寝かせている。


ともあれ常緑樹の落葉について、もっと意識してみたい。

 

2025/03/17

獣害でそば屋が休業

奈良県天理市の高原地帯に「荒神の里 笠そば」というそば屋がある。

すべて自分たちで栽培したそばを使っていることが名物だ。それも挽き立て・打立て・茹がきたて 。それなのに、そばを出せなくなったため一時休業するという。その理由は、獣害だそうだ。

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詳しいことは書かれていないが、昨秋の収穫時期に獣害等により壊滅的な被害を受けた事から、皆様方に地元産のソバを提供する事が困難な状況となりました、とある。

獣害とは、イノシシなのか、シカなのかわからないが、壊滅的とは……。高原だからイノシシはこれまであまりいなかったと思うのだが、登ってきたのか。あるいはシカが柵をかいくぐったのか。いずれにしろ5月には在庫が底を突くのだろう。他地域からそば粉を仕入れてまで開業を続けないとは、思い切った決断。

ここは個人の店とは違って地域おこし的につくられた店だ。

もともと山の中の高原地帯で、1978年に始まった国営総合農地開発事業、つまりパイロットファームとして60ヘクタール以上の巨大農地を造成したのだが、このような国主導の農業は何を栽培するか、どうやって売るかを考えていない。栽培するものに困る例もよく聞くが、手間のいらない作物としてそばが人気。それはこの施設も同じだ。私も、よく似た事例を各地で聞くのだが、実は成功しているところは少ない。たいてい失敗するのだねえ(> <;)。

ここでも4分の1に当たる15ヘクタールでそば栽培を始めた。とはいえ、そば粉だけでは利益など出ない。輸入品にかなわないからだ。
だが1994年に結成された笠そば栽培促進協議会女性部が、そばの加工と販売、そば打ち体験教室……などを始めた。素人のそばうちからスタートしたのである。栽培から加工・販売まで一貫して地元で行うそば屋として、笠そば処がオープンしたのだ。

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かつてのそば畑と笠そば処。なかなか繁盛していた。私自身も、幾度も訪れている。名人級の美味いそば……とまでは言わないが、それなりに楽しめる。ほかにも農産物直売もやっていたはずだ。

それにしても15ヘクタール分のそばを食い尽くすとは、どんな獣害だろうか。

 

2025/03/16

カワイイが最強?陶芸と木彫

先日、訪れたイタリアンレストラン「こもれびガーデン」。実はふらりと入ったのだが、わりと知られた名店だったらしい。予約せずに訪れたことを驚かれたほどだ。幸い昼には少し早い時間だったので、もぐりこむことができた。

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ランチコース。なるほど味は本格的だ、と思わされたのであるが、それ以上に目を引いたのがお皿や器。なかなか味のある、凝った代物。しかも全部一品もので、違う。何よりかわいい。いむゆる何焼とか陶芸家誰それの作品……といった陶芸品ではない。

ここで食事した人が、この器に魅了されて欲しがるそうだ。このレストランの裏手の一角に小さなログハウスのお店があって、購入できるらしい。その見せとレストランは別経営で、敷地のオーナーが一緒なだけだが、見事な連係プレー(笑)。

その店「風色~kazeiro」も覗いてみた。何人かの陶芸やガラス作家の手びねり作品を扱っているのだが、いずれもテーマはポップでカワイイ、ことだろうか。ちょうど「わんことちゃんこの器展」を開いているそうだ。そのHPより拝借した写真で紹介すると、

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犬や猫の顔、てんとう虫、トンボ……といったものがモチーフの作品が目立った。

ほかにも陶芸にありがちな土の色だ釉薬がどうだ……というこだわりよりも現代的な犬や猫をモチーフとして色もデザインも今風。

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なるほどなあ。時代はカワイイ、か。。。。

そう言えば前より気にかけていた木彫作家がいる。

はしもとみお、という女性の彫刻家なのだが、主に犬や猫などの動物を彫る。得意とするのは、亡くなった愛犬や愛猫そっくりの姿。大変な人気で、注文しても何年も待つという。私も展覧会に行ったことがあるが、カワイイがテーマであった\(^o^)/。

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木彫でもっとも格式が高い作品は仏像だろうが、それよりも人気なのがペットなど動物なのである。ほかにもオランウータンやチンパンジー、ヒツジ、カメ、ワニ……と多彩であった。それもしぐさが従来の動物木彫とは一線を画す。なぜなら……カワイイから。
別にこれらの作品に芸術性はない、というつもりはない。作品そのものの出来は十分によい。感動させる力もある。ただ、従来の木彫(あるいは陶芸)作品づくりとは違った波がここにはあることを感じた。

価格は知らないが、仏像を彫るより人気を呼んで、人々の心を捉えるだろう。

芸術に限らない。求められるデザイン性と時代について考えさせられたのである。

 

2025/03/15

最恐!謎の洞窟神社

久々の生駒山探検。前々より目をつけていたのだが、場所の確定も含めてなかなか行けなかった廃神社。

これは恐いよ~。超弩級の恐い神社であり、謎多き宗教施設。

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一応、ハイキング道沿いにあるのだが……あまり利用されていなさそうな道をたどる。そして、少し逸れたところにある鳥居。もっとも、ここに行くには巨木の倒木をいくつも乗り越えなければならないのだが……。

この辺りは巨石がごろごろしているのだが、その隙間に幾つも仏像が安置されている。神社なのに仏像なのだが……。それだけなら、あまたある廃神社と同じ扱いなのだが、ここには洞窟があるのだ。

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ようやく見つけた入り口。当初は、生駒山の洞窟は石灰洞でも火山洞でもないし、岩の隙間だろう……と思ってなめていた。が、わりと深さがあるみたいなので、懐中電灯とヘッドランプを用意して臨んだのだが……。

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いきなり謎の神様。ここで終りかと思いきや、脇から奥に伸びるルートがあって……


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迷路のようにグルグル廻りながら、岩の隙間なのかどうなのか洞窟を進む。すると、次々に登場する仏像。これは恐い。

どうも、少し石積みがあるし、それなりの加工はされているようだが、生駒山にこんな洞窟があるなんて。。。


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最深部にドドド、と並んでいた仏像群。これは恐かった(泣)。

全長は何十メートルだろうか。匍匐前進まではしないが、かなり身をかがめて進まねばならない。その後、一度外に出てから、再びちゃんと細部を調査しようかな、と思ったが、怖くなって止めた。出られなくなったらどうしよう……と感じてしまうのだ。私が消えても誰も気づかないだろう。

しかし、これを誰がつくったのか、神社を開いたのか。南無妙法蓮華経の碑がたくさんあったので、日蓮宗系の寺院と関わりがあるのだろう。見たところ新興宗教的でもあるが、各所にある石の加工物も含めて、かなりの財力と労力がいるはず。……と理性的に考えるものの、やはり恐い。

生駒山は「日本最古の里山」と私が呼ぶだけあって、自然とともに人為の跡が数多く残る。むしろ人為に左右されてできている自然でもある。

ネットには、かなりこの神社の探訪記がアップされていたが、あえて神社の名前は記さないでおく(笑)。

ただ、ここに至る途中は、こんな廃墟というか、むしろジブリ的な景観も見られるよ。

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このトンネル?を抜けて、廃道のような道をたどっていく。

2025/03/14

トランプは森のラストベルトを救うか

アメリカのトランプ大統領の言動と政策には、まったくうんざり来る。ときに反吐を吐きそうな気分になる。だいたい法律ではなく大統領令ばかりなのが恐ろしい。

が、今回の大統領令はどうだろうか。あまり大きく報道されていないようだが。

トランプ氏、国有林の商業伐採推進する大統領令に署名 関税対象のカナダ木材依存脱却

内容は、国有地での商業伐採の「即時拡大」を掲げたもの。

当局に、認可の迅速化や絶滅危惧種保護法などの環境保護規制を回避する方策を検討するよう指示している。「外国の生産者」に頼らないよう木材の国内生産を拡大するのが目的で、「米国には、国内需要を十分にまかなえるだけの豊富な木材資源がある」と説明している。ちなみに昨年、アメリカで消費された木材の23.6%は、カナダからの輸入だった。

アメリカは、木材輸出国である。ただ、国境を接しているカナダからの輸入も多い。それを国富の流出だとトランプは感じたようだ。アメリカ北西海岸地帯に森のラストベルトがあるように、仕事を奪われた林業労働者も多い。彼らは麻薬や酒に溺れていく。林業振興で、それらの問題をアメリカ国産材の増産で解決する!


しかし消費者に求められる木材は、丸太ではなく製品としての木材である。ちゃんと製材・加工していないと消費者は使えない。林業労働も高度化しており人材育成なしに使えない。そして森林は機械の並ぶ工場ではなく生物資源としての複雑さを持っていることも理解しているとは思えない。

仮にアメリカが木材生産を増やしても、それを即消費者に届けるのは難しい。製材をどうするか、林業労働力は足りているのか。価格は跳ね上がる、そして伐採のよる環境破壊や再造林など跡地問題の考えねばならない。さもなけれは持続性を失う。

ただ…これを読んで、日本でもやれと思う林業関係者は多いだろうな、と感じた。日本でも「豊富な木材資源がある」とどこかの省庁が連呼しているし、「外国の生産者」つまり外材ではなく国産材を使え、そのために国産材の生産を拡大しろ、という声が強い。国有林を伐ろうという動きが広がっているのも同じかもしれない。日本の林業家はトランプ主義者だった?

しかし、林業労働者が不足し、量も質も安定的に供給できない、乾燥・製材・加工も追いついていない。外材と国産材の材質が違って代替にならない、原木は安いのに製材品になると価格が跳ね上がる産業構造。そして再造林の低迷……などの課題が横たわる。そもそも木材需要が伸びていず、非木質建材もいっぱいだから、価格が上がれば木造建築は減るだろう。アメリカより厄介だ。

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アメリカの人工林

日本の森のラストベルトを救う政策とは何か。アメリカが反面教師になるかな。

2025/03/13

Wedge ONLINEに「古墳の宿…」の記事を書いた裏事情

Wedge ONLINEに「奈良にある日本最古の道にオープンする“古墳民宿”SNSが生んだ新たな観光資源」を執筆しました。

「奈良にある最古の道」とは、山辺の道のこと。おそらく弥生時代からあった道とされ、古墳時代に入ってからはヤマト王権の主要な豪族の領域だった。おかげで、周辺に何百何千という古墳が並ぶ。天皇陵だけでいくつあるか。

その中の古墳の一つ、西山塚古墳が宿になったのである。全長114メートルの前方後円墳だ。

実は、毎日新聞奈良県版の大和森林物語に記した記事が元になっている。昨年から幾度も取材していて、ようやく記事にしたのだが、奈良県版だけでは惜しいので、Wedge on lineにも紹介したわけである。

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この写真は、2月に取材に行った際のもの。墳丘からのものだが、雪が積もっていて使うのを諦めた。

今回は切り口を少し変えて、媒体の性質も考えてビジネスマン向けに、事業展開を重視した内容にした。

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こちらは、昨年のまだ建設中の写真。いかにして、資金を調達し建設を進めたのかが面白い。こんな可能性あるんだなあ。

 

2025/03/12

徳田虎雄本から思い出した自身の経歴

先日の東京で移動中にスケジュールの隙間があって、その際に目についたBOOK OFFに入った。ここで20~30分くらい時間を潰そう。

そこで見つけたのが、この本。

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わが語録 真実を求めて~生か死か』(徳田虎雄)。日本最大の病院グループ徳州会の総帥だった徳田虎雄の本である。内容は、写真とキャッチな語録を組み合わせた妙な本。

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なぜ、この本に注目したかと言えば、編集したのは私だから。そう、私の作品なのである。初版は1986年3月18日とあるから、なんと39年前になる (@_@)。いや、本づくりには半年1年かけたから40年前の私の仕事だ。

もちろん私一人でつくったのではなくて、当時勤めていた出版社のほかのメンバーもいるし、実際の進行ではデタラメなこと、ひどいことが幾度も起きて最後は放り出していたが……。それを昨年10月に再版……というより復刻していたのか。まあ、徳田虎雄が亡くなったことに合わせて柳の下のドジョウ狙いなのだろう。

この本の裏話をすれば、凄まじい事実がいくらでもあるのだが、時代的には徳田の前半生にすぎないし、もはやどうでもよい。ただ気づいたのである。

この年の7月に、私は処女作を出版している。それが『不思議の国のメラネシア』。出版社に勤めながら、別の出版社から自分の本を出版するという真似をしていたのであった。まあ、出る直前に会社は辞めていたが(笑)。

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実は前年1985年にペンネームでも本を出していた。これはゴーストライティング?みたいなものだから書名は出さないでおこう。

言い換えると、私にとって今年は出版を仕事として始めて40周年ということだ。う~ん、ちょっとショック。うぎゃあ、と悲鳴を上げたくなる。そんな年になったか。

以来、私は何冊の本を書いたのか。ちなみに87年には『チモール知られざる虐殺の島』を出版している。

森林ジャーナリストとしての本は『「森を守れ」が森を殺す!』が最初で、こちらは96年出版。その後、だいたい毎年1冊は出している。

だが、これらの歩みの前に、編集者としての本づくりをしていたことを思い出したのである。この徳田虎雄本のほかにも関わった本は何冊かある。

でも、今年出版する本はないかな……。

 

2025/03/11

川上村の山火事

今日は別件で東吉野村と川上村に行く予定があった。となれば、昨日起きた川上村の山火事が気になる。

ただ奈良は朝から結構な雨が降ったので、もう鎮火しただろうとわりと楽観視。

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実際、現場をダム湖対岸から見ると、段々畑跡が焦げているだけに見える。

だが地元の人に聞くと、まだ鎮圧とも鎮火とも連絡はないという。消防団も待機中。

役場前には災害派遣の車両が並び、上空には自衛隊のヘリが舞う。

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ダム湖の水を汲み上げ運んでいた。

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3.11の日の出来事である。

2025/03/10

林業機械に林業3原則を植え付けろ!

林野庁が、「林業機械の遠隔操作に関する安全性確保ガイドライン」に関する意見を募集していた。つまりパブコメの募集なのだが。

意見公募の趣旨・目的・背景
近年、林業の安全性及び生産性の向上を目指した林業機械の遠隔操作技術及び自動運転技術の開発が進展しています。このうち、遠隔操作林業機械は実用化段階にあり、自動運転林業機械は開発・実証段階にあります。これらの新しい技術の導入により、林業の労働に関する諸課題の解決が期待されている一方で、その運用に当たっては、これまでにはない危害が生じる可能性があります。
これらの状況を踏まえ、林野庁では令和6年7月に「林業機械の自動運転・遠隔操作に関する安全対策検討会」を設置し、遠隔操作林業機械を使用することで新たに生じるリスクを回避・軽減することを目的としたガイドライン案の検討を行いました。本案について、広く国民の皆様から意見を募集し、提出いただいた意見を考慮しつつ、ガイドラインを策定することを目的として行います。

遠隔操作できる自動運転機械は、建設土木の世界では少しずつ導入が始まっているが、いよいよ林業界にも入ってきたか。

これが普及すると、もはや林業家の質がまったく変わってしまうような気がする。森の中で過ごしたいという人は求められないかも。もっとも、ここではあくまで「安全性」が課題なのだね。

私は、いっそ林業の基本理念を林業機械のAIに植え付けてほしいと夢想する。

かつてSFの世界でロボットが普及することを見越して、作家のアイザック・アシモフは「ロボット工学3原則」を提唱した。ロボットの開発には、この原則を守ることが必須なのだ。それは作品「わたしはロボット」の中の話なのだが、広くその原則はほかの作家の作品にも取り入れられている。

第1原則:ロボットは人間に危害を加えてはならない
第2原則:ロボットは、第一原則に反しない限り、人間の命令に従わなくてはならない
第3原則:ロボットは、第一、第二原則に反しない限り、自身を守らなければならない

それに匹敵するような原則を林業機械にも設定できないか。

第1原則:林業機械は森の生態系を破壊してはならない
第2原則:林業機械は森の資源を持続的に利用しなくてはならない
第3原則:林業機械は第1、第2原則に反しない限り、利益の出る作業をしなければならない

こんなん、どうかなあ。どれも、林学の世界では当たり前の原則だ。林業は保続にありと100年以上前から言われてきたし、資源を枯渇させてはならないのも決まりきったこと。そして儲からない作業をすることは経営ではない。

多分、今の林業家なら「ムリ!」と言って投げ出すかも(笑)。

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研究途上のロボット。人が操縦しつつ、何百キロもの物体を運んだりつかんだりできる。

2025/03/09

仁徳天皇陵墳丘の植生

大阪堺市の大山古墳、通称・仁徳天皇陵の墳丘部に研究者が初めて立ち入ったというニュース。

日本最大の大山古墳、初の立ち入り 歴史・考古学系の17学会・協会 

世界遺産になりつつも調査を拒んできた宮内庁だが、一度天皇ほか皇室関係者の意見も聞いてみたいものだ、と思っていたが……。ようやく立入が認められたというだけで前進だが、その写真を見て思ったこと。

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この新聞記事の、いつもある空撮ではなく下の墳丘部を歩く写真(堺市・宮内庁提供)が気になる。これではわからないと思うのなら、ネットの記事の中には10枚披露されている。内部を歩くのは2枚だけだが。

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意外と明るいので驚いた。見た目は、墳丘にはびっしり木々が繁っているように見えるのだが……。どうもギャップ(空隙)があるようだ。しかも、足元には落葉のない部分も。なんとなく、道ぽくなっている。

そこでグーグルマップでも確かめる。

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思い切り拡大すると、意外や土部分の見える箇所がいくつもある。また倒木も確認できる。崩壊が起きているのか。ナラ枯れか。加えて草原ぽい箇所もあった。全部が全部、森に覆われているわけではなかったのか。

これまで立入禁止と言いつつ、実は人は入っているような気がする。こっそり侵入ではなく、宮内庁関係者も何らかの口実を設けて上陸している可能性だってある。

以前、某地であった宮内庁の考古学関係部署にいる女性とあった際に、御陵を調査したら大変なことになる、トンデモなものが出土している……と言っていたことを思い出した。天皇制に激震が走る?

もっとも、この大山古墳だって、仁徳天皇とは時代が違うと言われているし、そもそも江戸時代まで一般人が普通に出入りしていた。そしてはげ山だったという。畑を作っていたんじゃなかったか。幕末に尊皇思想が広がったからか、植林した記録もあるのだ。本当は葺き石で覆った石づくりの古墳に直すべきだったと思うが……。

天皇陵の調査に入れて喜んでいるのは歴史・考古学系の学者だろうが、植生調査もしてほしいね。森林系の学者も立入を申請したらよいのに。

2025/03/08

芽吹きと鳥害

庭にも春の気配が感じられる。

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これはニラ……ではなく、スイセン。食べたら死ぬ。ただ、こんなところにスイセンの球根を植えた記憶はないのだが。
そしてアジサイも芽が膨らんできた。ここで、どこまで古い枝を刈り取るか悩む。

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やはり最大のエポックは、これ。ついにフキノトウが出た。なんとか我が家でフキノトウ収穫をできるようにしようと思って昨年移植したのだった。フキの葉は枯れたが、芽吹きの準備が。
ただし、これは収穫しない。まだ一つだけだもの。これは放置して大きく花を咲かせるのを待ち、その種子が庭中に飛ぶことを期待している。それで庭のそこかしさにフキが育てば、いよいよフキノトウを収穫できるだろう。

一方で、庭の最後の柑橘を収穫した。これはナツミカン系が稔る木なのだが、果汁があまり多くないので通常は収穫しない。食べるのが面倒くさいから(^_^) 。誰か皮をむいてくれ。ただ、実をつけたままだと母樹が弱ると聞いたので、今年は採ることにした。

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だが、よく見ると、穴が開いた実も多かった。鳥だろう。

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不思議と真冬でなく、春先になってから柑橘類の鳥害が増えた気がする。鳥は真冬に何を食べているのか。

2025/03/07

謎のウイスキー

昨夜は飲み歩く。一人で(^○^)

今日はウイスキーの気分。まずはバーボン。それも知らない銘柄だったが、次は何にしようか。バーテンダーと相談するが、決まらない。

ふとバックで目に留まったのが、このボトル。

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まったく知らない銘柄なのだが、この盆栽ラベルが気になったのだ。スコッチなのに盆栽。

で、頼んでみる。

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しかしauchentoshanと検索すると、ラベルが違う。探した末に、2010年のブレンドは特別らしい。が、それでもラベルが違う。さらに特別の13年ものだけが盆栽ラベルだったのだ。

ロックでいただく。意外や甘い香りとまろやかな味わい。これはイケる。クピクピと飲んでしまう。

ハッと気づいた。あわててアルコール度数を見る。52.5度だった。チョーきつい酒だった。

酔うわ~。でも、旨い。盆栽スコッチ、旨い。

夜中に胃が痛くなったけど。

2025/03/06

Y!ニュース「三陸は山火事の多発地帯……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「三陸は山火事の多発地帯。大船渡の山の復活を考える」を執筆しました。

大船渡の山火事に関しては、幾度もYahoo!ニュースにコメントをつけているが、さらにコメント要請が続く。またテレビ局からの取材も入る。いやあ、私は山火事の専門家ではないし……と思っていたが、同時に記事の内容、これでいいの?間違いではないけど誤解されない……? と思うものも目立つ。

そこでまとめて記事にすることにした。

とは言いつつも、被害を強調するのもイヤなので、復活の芽も考えておくことにした。もちろん被害は甚大で、避難者も苦労していると思われるが、あまり悲観的にならなくてもいいんじゃない? と思っている。

生態系はもちろん、人もレジリエンス、復元力を持っているし、持ってほしい。

ちなみに写真は、相変わらず苦労している(^^;)。Yahoo!には大船渡の山火事の写真がないよう。手持ちも当然ない。探すと、釜石の山火事の跡地のものが出てきた。もちろん、これも私が撮影したのではなく、当時の記事を書くために提供してもらったもの。改めて使わせていただくことにした。焼けた跡地が緑に覆われていて、ぴったりではないか。

2025/03/05

花粉症番組で「スギは冤罪」と力説

昨夜、テレビ出演した。「TOKYO MX」テレビだから、東京ローカルになるのかな。

その中の「激論サミット」という番組。テーマは花粉症だ。この時期は、何かにつけ花粉症関連の番組や記事が求められる。

依頼があったのはほんの数日前(実は東京滞在中)なのだが、当初、東京のスタジオへと言われたので、「私、奈良在住なんですが、東京までの交通費と宿泊代を……」というと、ペンディング(^^;)。同時に、概要を聞いて「無花粉スギは有効か」とか林野庁の政策を取り上げるというので、全否定しておいたから、まあ出演はないだろうな、と思っていた。

ところが、再び「出演者がいなくて」と再依頼があり、オンライン出演となった。(東京に呼んでくれないのかよ。お江戸で遊ぼうと思ったのに……と、ちっとは思った。)それでも、私の花粉症に冠して書いた記事は読んでくれたようで、その路線でもいいということになる。

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これは仮台本。

ただ始まる前の挨拶で、司会の堀潤さんが、「大船渡の山火事」について触れたので、思わず山火事と三陸地方について論じてしまい、「こちらをテーマにした方がよかった」となりかけた(笑)。

しかも本番でも、最初に「花粉症って、何か問題か」と降られたので、思わず「スギではない」論を展開。その後の流れをぶった切る。出演者にはドイツ人のメントラインさんもいたのでヨーロッパの花粉症の話になる。幸い、みんな乗ってきてくれた。出演者の中にも、「舌下免疫療法で治りました」という人(西内啓さん)もいたので、ようは求められるのは治療法ではないのか、スギを減らすことばかり考えるのは本末転倒である!という論調に引っ張る。だいたい世界中でスギ以外の植物の花粉症があるのだから……となった。

いやあ、私としては我が意を得たり、でしたよ(⌒ー⌒)。

最後に求められた一言でも「スギは冤罪だ~!」と叫ぶ。再審を乞う。

 

2025/03/04

トランプ、木材にも関税か

連日、ニュースでトランプ米大統領の顔が映ると気分が鬱になる。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領とのやり取りなど、下品なマフィアの脅しのようで、交渉手段としては下の下だ。(それにしても、大統領、副大統領が同席するのはいかがなものか。あそこに爆弾テロでもあったら、両者共倒れ。リスク管理はしないのだろうか。)

とまあ、ちゃちな外交評論がしたいのではなく、問題は脅しの手段に関税関税、と連呼する点だ。アホなんだなあ、とため息。

あまり話題になっていないが、木材にも関税をかけると言っている。

トランプ氏、木材にも関税検討 海外依存度の高まりを問題視

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毎日新聞によると、トランプ米大統領は、木材の輸入が米国の国家安全保障を損なっているというのだ。

アメリカは、いうまでもなく木材輸出国だ。日本もたっぷり買っている(建材だけでなく木質ペレットも)が、同時に輸入国でもある。近年は 国内の木材サプライチェーンが弱体化したため輸入量が増えていることを問題視しているらしい。
主に輸入先は、カナダや中国、ブラジルなど。これらの国は巨額の政府補助金で木材をダンピングしているというのだが……。

カナダは国境地帯で木材のやり取りをしているのだから、輸入も多いが輸出も多い。これを問題視するのが不思議だ。中国は、製品輸入だろう。中国産木材ではなく、何に加工しているのかを考えるべきだ。ブラジルから輸入する木についてよく知らないが、樹種が全然違うので代替できるのかどうか。

ちなみに日本も、近年はアメリカへの木材輸出が増えている。中国やフィリピンで加工してから輸出する分もある。それが関税で止まれば……。

まあ、大統領以下が森林はいうに及ばず環境全般に興味がない(というより環境保全を敵視している)のは想像できるが、国内の木材供給力を強化するため、森林伐採の許認可手続きを簡素化する命令も出しているそうだ。

ようするに、伐って伐って、伐りまくれ!……なのだろう。

仮にアメリカ国内の伐採量が増えたとして、それらが国内需要に回される保証はない。むしろ、だぶついた分を輸出に回す可能性も高い。日本にも米材が押し寄せる可能性もなきにしもあらず。今度は外材価格が暴落するウッドショックを招くかもしれない。

前回のウッドショック時では、せっかくの値上がり時期に増産せずにチャンスを逃した。遅れて増産した時には価格は下がっていた。今度はどうする? 国産材は、いかに対応すべきか早めに考えておかないと、また置いてきぼりだろう。

2025/03/03

自然尊厳法人~自然に法的な人格を

タイトル読んで、???な人も多いかと思う。だが、実際に決定したことだ。

ニュージーランドでは、森林や山や川に「法的な人格」を与えているのだ。

今年1月には、タラナキ山(マオリ語でタラナキ・マウンガ)を、人間と同じ権利を持つと認めるとした。この山は、ニュージーランド北島で2番目に高い標高2518メートル。タラナキ山とその周囲の山頂と土地を含む。
法律で、タラナキ・マウンガには人間と同じ権利、義務、責任、賠償責任が与えられた。植民地時代に(白人政府に)接収されたこの山が、マオリ族から盗まれたことも認定され、補償がおこなわれる。なお山を管轄するる法人名は「テ・カフイ・トゥプア」。法律で「生きた、分割できない全体」と認定した。

実は山だけではない。2014年には北島の広大な原生林「テ・ウレウェラ」に人格権を付与。これが自然に対して法的な人格を与えた最初で、ちゃんと法律を定めている。もちろん世界初の国である。政府の所有権はなくなり、トゥホエ族がその保護を担うことになった。

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また2017年には、北島のワンガヌイ川「アワ・トゥプア」(祖先の川)として法的な人格を認めている。

ニュージーランドで山に人格権認める法案が可決、先住民マオリの世界観認める

ニュージーランド政府は、「森、川、山に「生きた存在」として法律で権利を認めているわけだ。

法的人格とは、法律によって組織や団体に与えられる法律上の人格で、権利や義務の主体となる資格(権利能力)を指す。法律に従い一定の手続きを経たものだけに法律ではの人格が認められるものだ。一般に株式会社もNPO法人も、この法的人格がある。ならば、一定地域の自然に関与するステークホルダーが法人を設立するケースもあり得る。

 

これまで私はノンヒューマンズ・パーソンズという考えに触れてきた。こちらは動物全般であり、世界に広がっている。

ノンヒューマン・パーソンズ~動物に“人格”が認められる時代がやってきた

野生動物にも法的人格を与えて尊厳を持って対応しなければならないという考え方が世界に広がっているのである。

ニュージーランドは、動物という枠さえ飛び越えて、森や川や山、言い換えると自然そのもの、いわば生態系や景観に人格を認めたのだ。

もちろんこれらの法律は、先住民マオリの存在と信仰、理念、思想……などが基礎になっているのだが、決して飛び抜けたものではないだろう。そのうち世界に広がる可能性もある。自然尊厳法人とか自然共有法人みたいなものが定められて、普通に登記が行われるようになるかもしれない。

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勘違いしないでほしいが、人格を認めたらすべて保護するものではない。家畜、実験動物、そして獣害からの駆除も認められる。会社だって廃業・解散できる。人間が人間を殺す死刑も法的に存在しているのだから、自然を開発することもできるだろう。ただし、法的人格を尊重して行わねばならない。駆除するにしても、痛みや苦しみを与えない。自然も開発しても劣化させないようにしなければならないのだろう。

コモンズの悲劇は、超えられるだろうか。

モクレポに見る木材輸入額推移

林野庁のモクレポが出た。

モクレポ令和7年2月号

いつも木材輸出関連に目を向けがちだが、今回は輸入額のデータを見てみた。

概観は、こんな具合。

・2024年(令和6年)の木材輸入額(HS44類)は、前年比104%の1兆4,567億円。木材輸入額第1位はベトナム、第2位はEU、第3位は中国となった。
・ 品目別の輸入量を見ると、丸太が前年比88%と減少する一方、製材が前年比119%、合板が同107%と増加した。

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なんと、輸入先の一番はベトナムである。二位のEUに差をつけ圧倒的だ。が、数年前は1000億円に届かず4割程度だったのだ。急伸したのは、いうまでもなく木質ペレット輸入であろう。こんなもの、木材貿易と思えない。燃料なんだから、石炭石油と一緒にしたらどうか。

品目別を見ると。

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なんと、木質ペレットやチップなどの項目がない。隠すな(笑)。

しかも大半を占めるのが、丸太は北米、製材はEU、合板はマレーシア、インドネシア。ベトナムは、合板のところにちょっこと名を出すだけで額はしれている。

金額的にも、木質ペレットを除くとEUの製材が非常に多い。

輸出額と比べると、単位が二桁ほど違うよねえ。

2025/03/02

平城宮跡のコーンと古墳

安全コーン。よく工事現場などの周辺、あるいは進入禁止場所の入り口に置かれている円錐形のものだ。たいてい合成樹脂で造られている。

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平城宮跡の大極殿前に見かけたコーンは、竹製……ではなく、中は合成樹脂製のようだが、竹のカブリモノをしていた。日本製かどうかはわからないが、和風感を出す。風景に溶け込みすぎて、逆にコーンの役目を果たしていないような気もする……(^^;)。

とはいえ、なかなかオシャレではないか。景観に配慮している。

奈良では、意外とこうした身近で気づかないところに配慮がある。東大寺大仏殿前のトイレは、木の囲いがあってトイレぽくないし、コンビニも目立つ赤や青の色彩を隠している。こういう街のエクステリアに木を使うことを景観木工と呼んでいるが、土地のイメージを左右する。

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最大の木工……いや木造建築物。大仏殿に次ぐそうである。

ところで、この大極殿の北東、少しのところに巨大前方後円墳が発見された。コーンだけでなくコフンにコーフンである。

ただ墳丘はほぼ削られており、敷地は道路や住宅地になっているが、出土物や周辺に掘られた溝から推定されたという。今になって大王級の古墳が新たに見つかるとは……。しかも蛇行剣で有名になった富雄丸山古墳とのつながりもうかがえて、どの豪族の誰の墓か気になるところ。墓が潰されたのだから、大王家に距離を置いていた人物かもしれない。

奈良で巨大な古墳跡を発見 全長200メートル、前方後円墳

前方後円墳が造られた時代からすると、平城宮の建設は、ざっと300年くらい後になる。開発のためには(古い)遺跡を破壊するのは当時からやっていたのだなあ。ほかにも平城宮では約40の古墳が壊されているという。

訪ねてみようかと思ったが、雨だし、きっと見学者がごった返しているのではないかな。
実は、ほんの少し前には南西部分に巨大建造物が見つかっている。こちらは貴族の邸宅跡と推定されている。

何かと出る場所なのである。その周辺に、またコーンが置かれるだろうな。

 

2025/03/01

靖国神社のタイワンヒノキと戦艦陸奥

東京滞在中に、靖国神社へ寄った。次に訪問するところの道行にあったうえに、約束の時間まで2時間近く空いていたので、ちょうど時間潰しになる。しかも神社は森があってゆったりできるからである。これまで靖国神社は鳥居前までしか行っていなかったから、これを機会に見ておきたいと思う気持ちもあった。

そして、やっぱり見るのは社殿に使っている木材(笑)。本殿、拝殿ほか、いい木を使っておられますなあ。

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これは神門だが、なんと太い丸太か。直径1メートル前後の柱が12本。顔をくっつけて匂いを嗅ぐ。やはりヒノキの香りがする。ただ、ちょっと日本産よりきつい。1934年に建てたそうだが、タイワンヒノキだろう。樹齢1000年級の木と思う。(ちなみに私は、各地でタイワンヒノキを使っている建築物を訪ねるのを趣味とする。)

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境内には、戦友会による献木がいっぱいあるが、やはりサクラが多い。かなりの大木が文字通り林立する。サクラは、軍と兵隊のシンボル的な木になっているのか。

だが、その前に見た文楽「妹背山婦女庭訓」では、こんなセリフがある。

梅は武士、桜は公家よ、山吹は傾城。杜若(カキツバタ)は女房よ。色は似たりや菖蒲は妾、ボタンは奥方よ、桐は御守殿、姫百合は娘盛りと撫子の」。

武士、つまり戦う者を例える花はウメなのである。戦闘力がなさそうな公家がサクラ(^0^)。そのほかの例えも面白い。御守殿とは、将軍の娘を意味する。傾城は絶世の美女かな。でも遊女の意味もある。山吹をそれに当てるのは、太田道灌に蓑の代わりに山吹を差し出した女性のことか。“七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき” の和歌である。

ちなみに靖国神社の中にも梅林はある。それも献木のようだ。

さて、もう一つの見どころは、遊就館である。ようするに戦争博物館だ。ホールに零戦やビルマ鉄道の蒸気機関車C56が展示されてあるほか、中には鑑賞爆撃機彗星や特攻機桜花、震洋艇……などの展示もある。明治維新の戊辰戦争以降の戦争関連の資料が豊富にある。ここでは西郷隆盛は賊軍だね。

が、注目したのは、こちら。戦艦陸奥

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瀬戸内海に沈んでいた戦艦陸奥の砲塔を引き揚げたものが、なぜかここにある。なんで、これが? と思うだろうが、実は私の仕事に若干関わっているから。内容は今のところ秘密(笑)。いかに引き揚げたのか……。

これを見たから、靖国神社も仕事で訪れたことになるかな。

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