靖国神社のタイワンヒノキと戦艦陸奥
東京滞在中に、靖国神社へ寄った。次に訪問するところの道行にあったうえに、約束の時間まで2時間近く空いていたので、ちょうど時間潰しになる。しかも神社は森があってゆったりできるからである。これまで靖国神社は鳥居前までしか行っていなかったから、これを機会に見ておきたいと思う気持ちもあった。
そして、やっぱり見るのは社殿に使っている木材(笑)。本殿、拝殿ほか、いい木を使っておられますなあ。
これは神門だが、なんと太い丸太か。直径1メートル前後の柱が12本。顔をくっつけて匂いを嗅ぐ。やはりヒノキの香りがする。ただ、ちょっと日本産よりきつい。1934年に建てたそうだが、タイワンヒノキだろう。樹齢1000年級の木と思う。(ちなみに私は、各地でタイワンヒノキを使っている建築物を訪ねるのを趣味とする。)
境内には、戦友会による献木がいっぱいあるが、やはりサクラが多い。かなりの大木が文字通り林立する。サクラは、軍と兵隊のシンボル的な木になっているのか。
だが、その前に見た文楽「妹背山婦女庭訓」では、こんなセリフがある。
「梅は武士、桜は公家よ、山吹は傾城。杜若(カキツバタ)は女房よ。色は似たりや菖蒲は妾、ボタンは奥方よ、桐は御守殿、姫百合は娘盛りと撫子の」。
武士、つまり戦う者を例える花はウメなのである。戦闘力がなさそうな公家がサクラ(^0^)。そのほかの例えも面白い。御守殿とは、将軍の娘を意味する。傾城は絶世の美女かな。でも遊女の意味もある。山吹をそれに当てるのは、太田道灌に蓑の代わりに山吹を差し出した女性のことか。“七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき” の和歌である。
ちなみに靖国神社の中にも梅林はある。それも献木のようだ。
さて、もう一つの見どころは、遊就館である。ようするに戦争博物館だ。ホールに零戦やビルマ鉄道の蒸気機関車C56が展示されてあるほか、中には鑑賞爆撃機彗星や特攻機桜花、震洋艇……などの展示もある。明治維新の戊辰戦争以降の戦争関連の資料が豊富にある。ここでは西郷隆盛は賊軍だね。
が、注目したのは、こちら。戦艦陸奥。
瀬戸内海に沈んでいた戦艦陸奥の砲塔を引き揚げたものが、なぜかここにある。なんで、これが? と思うだろうが、実は私の仕事に若干関わっているから。内容は今のところ秘密(笑)。いかに引き揚げたのか……。
これを見たから、靖国神社も仕事で訪れたことになるかな。
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