林業機械に林業3原則を植え付けろ!
林野庁が、「林業機械の遠隔操作に関する安全性確保ガイドライン案」に関する意見を募集していた。つまりパブコメの募集なのだが。
意見公募の趣旨・目的・背景
近年、林業の安全性及び生産性の向上を目指した林業機械の遠隔操作技術及び自動運転技術の開発が進展しています。このうち、遠隔操作林業機械は実用化段階にあり、自動運転林業機械は開発・実証段階にあります。これらの新しい技術の導入により、林業の労働に関する諸課題の解決が期待されている一方で、その運用に当たっては、これまでにはない危害が生じる可能性があります。
これらの状況を踏まえ、林野庁では令和6年7月に「林業機械の自動運転・遠隔操作に関する安全対策検討会」を設置し、遠隔操作林業機械を使用することで新たに生じるリスクを回避・軽減することを目的としたガイドライン案の検討を行いました。本案について、広く国民の皆様から意見を募集し、提出いただいた意見を考慮しつつ、ガイドラインを策定することを目的として行います。
遠隔操作できる自動運転機械は、建設土木の世界では少しずつ導入が始まっているが、いよいよ林業界にも入ってきたか。
これが普及すると、もはや林業家の質がまったく変わってしまうような気がする。森の中で過ごしたいという人は求められないかも。もっとも、ここではあくまで「安全性」が課題なのだね。
私は、いっそ林業の基本理念を林業機械のAIに植え付けてほしいと夢想する。
かつてSFの世界でロボットが普及することを見越して、作家のアイザック・アシモフは「ロボット工学3原則」を提唱した。ロボットの開発には、この原則を守ることが必須なのだ。それは作品「わたしはロボット」の中の話なのだが、広くその原則はほかの作家の作品にも取り入れられている。
第1原則:ロボットは人間に危害を加えてはならない
第2原則:ロボットは、第一原則に反しない限り、人間の命令に従わなくてはならない
第3原則:ロボットは、第一、第二原則に反しない限り、自身を守らなければならない
それに匹敵するような原則を林業機械にも設定できないか。
第1原則:林業機械は森の生態系を破壊してはならない
第2原則:林業機械は森の資源を持続的に利用しなくてはならない
第3原則:林業機械は第1、第2原則に反しない限り、利益の出る作業をしなければならない
こんなん、どうかなあ。どれも、林学の世界では当たり前の原則だ。林業は保続にありと100年以上前から言われてきたし、資源を枯渇させてはならないのも決まりきったこと。そして儲からない作業をすることは経営ではない。
多分、今の林業家なら「ムリ!」と言って投げ出すかも(笑)。
研究途上のロボット。人が操縦しつつ、何百キロもの物体を運んだりつかんだりできる。
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