平城宮跡のコーンと古墳
安全コーン。よく工事現場などの周辺、あるいは進入禁止場所の入り口に置かれている円錐形のものだ。たいてい合成樹脂で造られている。
平城宮跡の大極殿前に見かけたコーンは、竹製……ではなく、中は合成樹脂製のようだが、竹のカブリモノをしていた。日本製かどうかはわからないが、和風感を出す。風景に溶け込みすぎて、逆にコーンの役目を果たしていないような気もする……(^^;)。
とはいえ、なかなかオシャレではないか。景観に配慮している。
奈良では、意外とこうした身近で気づかないところに配慮がある。東大寺大仏殿前のトイレは、木の囲いがあってトイレぽくないし、コンビニも目立つ赤や青の色彩を隠している。こういう街のエクステリアに木を使うことを景観木工と呼んでいるが、土地のイメージを左右する。
ところで、この大極殿の北東、少しのところに巨大前方後円墳が発見された。コーンだけでなくコフンにコーフンである。
ただ墳丘はほぼ削られており、敷地は道路や住宅地になっているが、出土物や周辺に掘られた溝から推定されたという。今になって大王級の古墳が新たに見つかるとは……。しかも蛇行剣で有名になった富雄丸山古墳とのつながりもうかがえて、どの豪族の誰の墓か気になるところ。墓が潰されたのだから、大王家に距離を置いていた人物かもしれない。
前方後円墳が造られた時代からすると、平城宮の建設は、ざっと300年くらい後になる。開発のためには(古い)遺跡を破壊するのは当時からやっていたのだなあ。ほかにも平城宮では約40の古墳が壊されているという。
訪ねてみようかと思ったが、雨だし、きっと見学者がごった返しているのではないかな。
実は、ほんの少し前には南西部分に巨大建造物が見つかっている。こちらは貴族の邸宅跡と推定されている。
何かと出る場所なのである。その周辺に、またコーンが置かれるだろうな。
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